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ボス猿の理由

 でか猿は私を見て警戒している。


「ウッキー!!」


 猿が鳴く。すると、奥の部屋から続々と子分の猿が出て来て私たちを囲む。

 私たちは背中を預ける形で、お互い猿の方を向いていた。


「……この子分倒してやっとボスからに挑めんのかね」

「だろうな」

「この数……キツくないかしら」

「まー、やってみなきゃわかんないよ」


 私たちはそれぞれ武器を構える。

 猿は、飛びかかって来たのだった。私はそのまま竜の手で殴り飛ばす。


「猿ども! 私を殺してみるがいい!」


 猿どもをまず蹴散らさなくては。

 竜の手で猿を切り裂き、殴り飛ばしながら倒していく。そこまで苦戦するような相手ではないが、数が多い。


「おりゃあああああ!」

「やっぱゼーレには敵わねえが……。俺もやれるんだぜ」


 数分後には猿たちは全員片付いていた。

 残りはボスだけとなる。だが、そのボスは少し逃げ腰だった。私たちを見て勝てないと踏んだんだろうか。

 だがしかし、逃がすわけにはいかんなぁ。


 私は、そのまま殴りかかった。

 地面を蹴り、飛び跳ね、顔をぶん殴ろうとする。逃げられないことを察知したのか、そのボス猿は私をはたき落とす。

 私は地面に叩きつけられた。


「反応早いな……クソ……」


 体力が少し持っていかれちまった。情けない。

 私は起き上がり、そのボス猿を見る。ボス猿は、逃げ腰ではもうなくなっており、私たちを殺すつもり満々だ。


「ウキィ!」


 と、踵落とし。、

 オイリがもろにその踵落としを食らってしまった。オイリはぬぐうううう……と持ち堪えたようだ。さすが戦士職。かわせなくても耐えれるか。


「オイリ、よく耐えた!」

「防御には自信……あるもんね……」

「"ディーダウン"」


 と、ワグマが何かを唱えた。

 

「闇魔法特有のデバフ魔法です。相手の防御を下げました。攻撃を叩き込むんです!」

「おう、センキュー!」

「俺もかっこいいとこ見せさせろ」


 と、ハーレーが猿の足をぶん殴っていた。猿はグラっとバランスを崩し、転んだ。

 私は、もう一度飛び上がり、猿の心臓目がけて落下していく。竜の手で貫いてやるよ。


 私がトドメを刺そうとしたときだった。


「やめてください!」


 と、男の声が。

 やめろってなにを、だ。私は竜変化を急いでとき、猿の上に落ちる。猿も攻撃する意志がなくなっていた。


「猿さんは悪いことしてません! 人間を頼ろうとしただけです!」

「人間を?」

「あの部屋に入ってみてください」


 青いはっぴを着た男がそういうので、私は立ち上がり部屋の中に入っていく。

 そこには、何やら見慣れない格好の女の人がいた。


「……そなたは」

「……なんで人間がここに? まさか、さ」

「やめなさい」


 私は言おうとしたことを遮られぶっ叩かれる。


「身なりが相当いい……。上流階級の人ではありますね。ただ、顔がほてっています」

「そのお猿さんたちはその人間を助けようと人間を攫って看病させてたんです」

「……の割には俺ら猿轡されてたけど」

「お前ら、もしかして襲い掛かったんだろう」


 私がそういうとハーレーが目を逸らす。


「なるほどな……。ちっ……。そういうことなら暴れないほうがよかったのかよ」

「ウキ……」

「ちっ……。しょうがねえか。ワグマ、こいつをまずうちのとこで預かろうや。猿どもが看病するより人間の医者に見せに行ったほうがいいだろ」

「そうですね。お猿さん、構いませんか?」

「ウキ……」


 猿は頷いた。


「猿。テメェの仲間殺して悪かった」

「ウキキ」

「こっちも殺されそうにはなった。お互い痛み分けって感じで済ませてほしい。この女は私たちが助けるからよ」


 そういうと、猿も納得したようだ。

 もちろん、猿たち全員殺したわけではなく、殴り飛ばした奴は気絶しているだけで無事なようだ。流石に剣や爪で切り裂いたやつは死んでるが。


「で、お姫様よ。私たちと来てもらおう……」

「そんな顔で言ったら奴隷商人みたいですよ。怖くないので一緒に来てください」

「はい……」

「あなたは何者なのか、とかは今は問いません。まずは病気を治すことに専念いたしましょう。ほら、ゼーレ。おぶってやりなさい」


 というので、私はその女をおんぶする。

 そして、その猿の洞窟を後にした。











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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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