正体見たり枯れ尾花
夜が来た。
しーんと静まり返る夜の村。私たちはひっそりと畑近くにあった倉庫の物陰に隠れる。
「民家からは誰も出てこないね。やっぱ神隠しが怖いのかな」
「だろうな……」
「神隠しって一体なんなんだろ。ゼーレ、検討はついてたりする?」
「魔物の仕業だろうってのは……まぁ、わかるが……。何の魔物かまでは……」
私たちが話していると。
人の気配がした。私はオイリに黙らせる。すると、ザッザッと足音を立てて姿を現したのはワグマ、ハーレーの二人
「来たのかよ」
「まあ……。それより、少しまずいことになりました。ミナヅキさんが謎の影に連れ去られてしまい……」
「……しゃあねえ。案内…し、ろ?」
違和感がある。
私はよくワグマを観察してみた。どこかがおかしい。私は、どこがおかしいか考察していると。
「ゼーレ。このワグマ……なんかおかしいよ」
「わかってる……。私が時間稼いでみるからワグマにフレンドメッセージを送ってみろ」
「うん……」
私はワグマ(?)の方を向く。
「準備くらいさせてくれ。夜なんだから私も少し怖いからな」
「それくらい構いませんよ」
「…………」
ハッキリわかった。こいつらはニセモノだ。
私はオイリの反応を待たずして、ワグマをぶん殴る。ワグマの形をした奴を殴るのは少し抵抗があるけどな。
「確認してないよ!?」
「コイツはニセモンだ! 私が怖いだなんて言ったらワグマは"あなたが?"って笑うはずだ。実際、オイリも聞いててそう思っただろ?」
「まぁ……うん……」
オイリが思うことがワグマも思わないわけがない。
すると、そのワグマの変身が解ける。それは猿のような見た目をしていた。
猿が人様を騙して連れ去っていた。何の魔物かは知らねえが……!
「キキっ!」
ハーレーに化けていた猿は仲間を見捨てて逃げていく。
私は吹っ飛ばした猿の方にとどめを刺し、すぐにその猿を追いかけていくのだった。
猿は森の中に入っていく。見失わないように全速力で走っていくと、なにやら洞窟のような場所についた。
洞窟内にその猿は入っていく。私も後を追い、入っていくと広い空間にたどり着いた。
そして、その空間には。
「青いはっぴを着た男!」
縛られてぐったりしている男や、村の男の子みたいな子もいた。
そして。
「ワグマ? なんでお前ら縛られてんの?」
「むー!」
「オイリ、解放してやれ」
「うん」
オイリはワグマたちの猿轡を外す。
「迷惑かけましたね……。私たちもレナント村に向かっている道中に襲われて連れ去られてしまったんです」
「俺がいながら……悪い」
「謝ることではないと思うけどね。ただ、この部屋の奥に僕たちを連れ去ったボスがいる」
ということだった。
私は村人たち全員を解放し、ミナヅキと一緒に行かせる。そして、私とハーレー、ワグマ、オイリの四人はボス戦に挑むことにしたのだった。
私は手を竜変化させておく。
「さァ、喧嘩の始まりだぜ」
扉を開ける。
中にいたのは馬鹿でかい猿だった。猿の見た目をしながらも、腕はムキムキに鍛え上げられている。
リンゴをむしゃむしゃと食べ、尻をかいていた。そして、猿は私たちの方を向くと飛び起きて、警戒している。
「ウキ……」
「まずは……一発!」
私はそのまま一発ぶん殴る。開戦の合図だ。