昇級審査
やって来たのはコロシアムみたいな場所。
コロッセオみたいな円形の闘技場で、中心には戦士たちが戦う舞台があり、周りは観客席だった。
「おし、じゃ、ハーレー、ゼーレ。頼みましたよ」
「頼んだってなにが?」
「何がって……。クラン昇級審査ですよ。クランのうち二人を選出して、4クラン合計8名のバトルロイヤルで戦うんです。勝ったクランはそのままワンランク昇格。賞金と拠点を持った際に受けることができるようになるクエストのランクが上がるみたいです」
ということだった。要するに、対人戦バトルロイヤルという感じか。
代表者二人が私たちということで、私は舞台まで降りていく。ハーレーと私が選ばれたのは、クランで戦いが一番できるからだろうな。
私は舞台に続く道を歩いていくと、光が入って来て、月夜が舞台を照らす。
既に戦う相手は舞台の上に登っていた。全員いかつい。鎧とかを充分に着込んで、闘志満々だ。
「やっと来たかよ。これで8名。全員だよな?」
「はい」
と、奥の方からレフェリーのような人が歩いてくる。
プレイヤーではなくもちろんNPC。白い旗をもち、自分の持ち場につけと指示を出してくる。
私の右手には黄色いスカーフが巻かれており、これがチームということを表していて、自分のスカーフと同じ色の陣地に立って、スタートが切られるようだ。
私は持ち場に立つ。
「全員、用意ができたようですね。では、バトル開始!」
レフェリーがそう叫ぶと、いきなり私の目の前に爆弾が投げつけられる。
「女をまず瞬殺!」
という男の声。
私は爆弾を握り、ぶん投げる。
「っし、また喧嘩か。いいぜ、かかってきな!」
私は手を竜変化させる。
ドラゴンのようにゴツい手。私はまずドラゴンの爪で一人を切り裂いた。
そして、襲いかかって来たもう一人の赤いスカーフを巻いた男の顔を掴み、ぶんぶんと振り回す。
「むぅん!」
私は、男をぶん投げた。
ぶん投げられた男は青いスカーフを巻いた男たちを巻き込み吹っ飛んでいく。
「っし! ストライク!」
レベルが上がり力のステータスが上がっている。
人一人投げ飛ばすことは容易で、ドラゴンの手は私の手より少し大きく、ガシッと物を掴みやすい。
「こんなもんじゃ終わらねえよ」
私はそのまま追い討ちにいく。
私はそのまま飛び上がり、竜の手で投げ飛ばしたことからもろとも腹部を貫き、一気に三人をキルした。
残りは赤いスカーフを巻いている男たちのみ。その男たちは私を見て、少し怯えているようだった。
「俺の出番ねえな」
「そうだな。私がアイツらやるとしようか!」
「ひっ……」
私がアイツら目がけて攻撃を仕掛けようとすると、そいつらは降参!!と叫んだ。
「はい、降参という意思表示がされました。これにて昇級審査を終わりとします!」
と、レフェリーが叫び、私はそのまま走るのをやめて竜変化を解いた。
あっという間に終わった。
「……なんつーか、消化不良」
「どんだけ暴れてーんだ……。側から見てた俺でもちょっと怖えぞ」
「…………じゃあ戦わせんな」
ちっ、この程度の相手じゃやっぱつまんねーな。