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不良少女はゲームでも喧嘩がお好き  作者: 鳩胸 ぽっぽ
完全スーパーアイドルと不完全の不良少女
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同情の声がする

 帰ってこれたのは夜の7時前だった。

 私は家に帰ってすぐにログインする。現在は金曜日。

 なんだかメッセージが届いていた。


『Sky Rimのライブが金曜夜7時からゲーム内で行われます! 配信や現地会場でぜひ、スーパーアイドルのライブをお楽しみください! そして、Sky Rimから重大なお知らせがあるようです!』


 と。

 そろそろかよ。ライブ会場は王都のようだ。私は現在王都にいるからちょうどいいな。現地まで足を運んでやろう。

 人混みがすごそうだけど。


 私は書かれているライブ場所に向かうと、ものすごい巨大なステージと、群がる人々が押し寄せていた。女性プレイヤーがものすごく多い。

 男性プレイヤーもいるっちゃいるが。


「これが日本のスーパーアイドルの集客ねぇ」


 すると午後7時を迎える。

 ステージにライトが灯り、5人がステージの壇上に上がる。ミナヅキとハーレーの姿もある。あいつらアイドルだもんな。私はほかの観客と同様に手を振ってみると。


「あ、目が合った」


 視線が合った。


『いやー、すごいっすね。こんだけの人数が俺たちのライブに来たんすか』

『ファンはこれだけいて、僕たちにたくさん期待してくれているってことだよね。なら、その期待に応えてあげようか』

『じゃ、まずは手始めにGrow Up!から行こうか!』


 と、音楽が流れだした。

 マイクを持った五人が歌いだす。ダンスも完ぺきで、このライブの熱狂具合はとてもじゃないが、愛されてるんだなと感じた。


 そして、曲が終わり、再びトークタイムとなったようだ。


『今、俺たち週刊誌にとられたってこと、知ってるよね』

『あれに関して、弁明だけはさせてもらう。俺たちはたしかに一般の人とゲームをしている。が、そういう恋心とかは断じてない』

『むしろあれは恋なんてするにはおこがましいからね……。あれは女の子っていうより男の子……』


 と、ミナヅキたちが話している。

 週刊誌に撮られていたのか。女の子っていうより男の子って。私のこと言ってんだろ。


『とりあえず、その話題の女の子に壇上に上がってきてもらおうぜ! 来いよゼーレ!』


 と、言われた。

 私は絶対に行かない。だがしかし、行くことを望まれているようで、スタッフの人たちが私を見つけるや否や壇上に挙げられてマイクを持たせられる。


「はっはっは。よぅ、久しぶりだな」

「うるせえ……。なんでこんな衆人環視に私をさらすんだよ……。こちとら疲れてんだよ……」

「どうしてかな?」

「修学旅行ってのはいっただろ。その行先で強盗団に襲われるわ、誘拐犯に殴られるわ、盗撮されるわで……」

「マジの犯罪ごとに巻き込まれすぎだろお前」


 と、ミナヅキたちから憐れまれる視線で見られてしまう。会場の人たちもなんだか哀れんでいるように見える。


「ってか、お前ら週刊誌に撮られてたの?」

「お前単刀直入に聞くな……」

「見てないの? いろいろとニュースになってたんだけど」

「普段テレビとか見ねえしスマホいじんねえし」

「古い……」

「これが今の現代っ子なのか?」


 と、会場からなんだか現代っ子かどうかということも言われてしまった。


「ま、こんなやつなので恋心はない。そもそも、俺たちをアイドルだって知らなかった奴だし」

「こんなところで弁明させてもらうのはちょっと気が引けたけどね。ごめんね。だから嫉妬しないでほしい」

「いや、嫉妬しないっていうか……。むしろ幸せになってくれとしか私たち言えないんすけど……」

「うん……」


 と、チャットは幸せになってくれであふれていた。

 

「ま、こいつにとっては犯罪ごとに巻き込まれんのは好きだろ。喧嘩できるし」

「天下の不良、蒼眼の死神様は好きだろ」

「蒼眼の死神っていうんじゃねえ!」


 会場のチャットは不良なんだという声と、聞いたことあるという声が。


「ってか、これ配信とかされてんだろ? 不良と交友関係あるっていうとまずくねえの?」

「すべてオープンにするんだよ。隠し事はいけないからね」

「そういうもん?」

「そういうもの。君もすべて白状して、懺悔でもしておいたほうがいいよ」

「懺悔って……。まぁ、不良だったのは事実だけどよ。それは昔の話。今は普通に高校生活送ってます……。目ん玉失ってるけど」

「喧嘩でね」

「喧嘩っていうか銃で撃たれたんだけどな」


『マジでこいつ何者?』

『銃で撃たれたってそっちの人?』

『喧嘩って銃使うの? 不良こえー……』

『いや、銃はふつう使わねえし……。ってかなんで生きてるの?』

『それ。目ん玉撃たれたってことは角度によっちゃ脳みそ貫いてるよな?』

『あの、うちの叔父さんが去年の冬くらいに轢いた女の子と顔そっくりなんですけど』


「あー、あったな。去年初もうで前に轢かれたな。スリップしただけだし別に悪意とかあったわけじゃなさそうだからなにもしなかったけど」


『なんで生きてるの?』

『なんで笑い話にしてるんだこいつ』

『頭おかしい』


 なんか人間やめたとか言われ始めた。


「これが俺たちのすべてだ。まだこのゲームは続けるつもりではいるし、こいつのクランを抜けるつもりもない。だから……黙っていて済まなかったとだけ言わせてほしい」


『気にしないでというか……不良の子を幸せにしてあげて』

『ゼーレの心の傷を癒せるのはあなたたちだけです』

『私たちファンはゼーレさんの幸せを心から願っております』

『色々調べたら確かに裏付けできたのマジで神話だよ。叔父さんも自ら出頭したのもマジだし、警察の人からちょっと聞いたけど東京で不良グループが銃撃事件ってのあって女の子一人重傷ってニュースあったし』

『前殺害予告受けてなかったか?』

『お前ら結婚して幸せになっちまえよ……』


 なんかみなにすげえ同情されてる。









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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] そらまぁ....ハードラックが酷いからな
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