修学旅行・函館編 ④
私は自販機に小銭を入れた。
トランプに負けた……というよりかは、イカサマがばれてしまい、それで強制的に負けという扱いになり、買わされることになった。
私は自分の分と月能たちの分を買い、しばらくしていると、外に行っていた班も続々と戻ってきたようだった。
びしょ濡れだーといい、みんな着替えて夕飯の時となる。
「美味そうだな」
「そうですね」
今日はカニづくしらしい。
目の前にはズワイガニのむき身とお出汁があったり、焼かれたタラバガニのぶっとい足一本が置かれてあった。
今日の夕飯はカニしゃぶらしい。カニが花咲いており、刺身でも食べてもよし、お出汁にくぐらせて食べるのもよしということだ。
私は試しに一本食べてみる。出汁にくぐらせず、しょうゆをつけて。
「うまっ! 身ィぷりっぷり!」
「ですね! これは新鮮でおいしいです。さすが北海道ですね。食の大地は伊達じゃないです」
「これ高いだろ……。味わって食わねえと……」
「そうですね。これくらいのカニですと……一人当たり1万はしてそうですね」
「カニってたっけぇ……」
私は今度は出汁にくぐらせて食べてみる。
これもうまい。出汁は昆布だしのようで、昆布の風味とカニの味が合わさってとてもうまい。これは何杯でもいける。
私はカニの足を食べつくしてしまう。ほかのみんなもだいたい食べつくしたようで、少し物足りない顔をしていた。
すると、旅館の人が私達が食べたカニの殻を鍋に入れ始めた。
「では、〆にいきましょう」
と、カニの出汁をとったかとおもうと、ご飯を用意して鍋の中に入れる。
溶き卵もいれてぐつぐつと。カニ雑炊! いいねぇ、雑炊にするっていうのは〆にぴったりだな。私はレンゲを受け取り、器に雑炊をよそい、かきこむ。
しっかりとカニから出汁が出ており、そのカニの出汁をご飯が吸い込んだようで、とてもうまい。
「うめぇ!」
「カニがものすごくいいものですからカニの出汁が出てますね。雑炊は私そこまで好きじゃないのですがこれは結構いけます」
「カニってこんなうめえし無駄がねえのな……」
「だねぇ」
雑炊を私は一気に平らげてしまった。
カニづくしの夕飯はとてもおいしかった。ぷりぷりのカニはまた食べたいと思わせてくれる。カニだけでものすごく腹が膨れた。
みなも食い終わり、今度はお風呂の時間となった。
お風呂にいこーとみなが歩き出す。
私としてはお風呂も少し気になるところだ。こんないいところの旅館なのだからお風呂もいいものに違いない。
私はそんな期待を胸に大浴場に向かったのだった。
大浴場に裸で入ると、カメラを持った男が立っていた。