三日月の紋章
私はその日、帰ってきたのは夜だった。
家に帰る前に銀行に寄ってもらい、金を下ろす。うちの両親は金だけはあるので、生活費には困らないくらいの貯蓄はあった。
金を下ろし、そこで二人とは別れる。
晩御飯を買っておくためにコンビニに寄ったとき、私は柄の悪い中学生に絡まれていた。
ここら辺は治安はそこまでよくない。高校は治安いいところに立っているが、中学はマジで治安が悪い。
「おねーさん、俺らにも何か買ってよ」
「メビウスでいいから買ってきて」
「……私はテメェらのパシリじゃねえよ」
「あん? 言うことが……」
私はその舐めた口調の男の首筋を片手で掴み持ち上げる。
「舐めた口聞いてんじゃねぇよハゲ。殺すぞ」
「す、すんません……」
「それに、タバコなんて吸うと健康に悪いぞ。今のご時世、それにも警察は厳しいんだ。めんどくさくなる前にやめちまえ」
私は男たちを解放して、コンビニで晩飯を買ったのはいいものの。
その男の子が仲間を連れて報復に来やがった。さっきはよくもと言って、果物ナイフを振り回す。刃物出してきたと言うことはそういうことと捉え、容赦なく返り討ちにした。
「自信満々に挑んでくるのはいいけどよ、相手の実力を測れないバカは不良向いてないぜ」
「うがっ……あっ……」
腹部に入れた一撃が、男の子を呼吸困難に陥らせた。
悶え苦しんでいる。
「さて、と。勉強でもちょいとしようか。これはお前が起こした喧嘩だ。どうケジメをつけたらいい?」
「がひゅ……」
息が荒くなっている。
他の仲間は全員気絶し、鼻血や口の中を切ったことによる出血があった。私の拳はすっかり返り血に染まって気持ち悪い。
「ま、もうどうでもいいわ。アイツら待ってるし帰るとしよう。じゃあな中坊」
私は疼くまる男の子を放置し、やっとさっきに至る。
「ゲームゲームーと。アイツら待ちぼうけ食らってんだろうな」
私は怒られるの覚悟でゲームにログインした。
ゲームの空には満点の星空が広がっていた。月も浮かび、夜だと言うことを思い出させる。
すると、突然、私の手の甲に三日月の紋章が浮かんだのだった。
「んだこれ」
《特殊紋章:三日月の紋章 を手に入れました》
というアナウンスが聞こえてきた。
特殊紋章とは? 三日月の紋章? 訳が分からん。手の甲には、まるで刺青を掘ったかのように三日月の紋章が入っている。色は月のような薄い黄色。
「あ、やっとログインした……ってなんですかその手のものは」
「わからん……」
「へぇ。紋章」
「知ってるのか?」
「手に入れた報告が一件だけあるね。僕たちのアイドルグループのリーダーが手に入れてた。紋章を手に入れると、その紋章に呼応した魔物と出会うと、必ずテイムできるみたい。うちのリーダー、それで火竜を仲間にしてんの」
「となると……」
私は三日月竜をテイムできるというわけか。
この世界のドラゴンの価値は分からないが、それでもあのドラゴンをテイムできるということ。
これは詳しく調べてみる必要があるな。
「リーダーに続きゼーレまで……。ほんっと、この紋章のことわかんないねえ。今のとこら呼応するモンスターが必ず捕まるってことしか判明してないし」
「ま、それは後々、だな。とりあえず……さっさと行こうぜ、あそこに」
「あそこ?」
ハーレーはあそこというと全員理解したようだ。
私は何も知らんけど。