修学旅行・小樽編 ⑦
疲れた……。
強盗団全員を倒し、私はホテルの扉を開けて警察を誘導する。警察に事情などを説明しておいて、警察は強盗団を連れて行った。
そのあとに戻ると、先生にばっちり叱られ、無事でよかったといわれたが、萩原先生だけは。
「お前どんだけ伝説を作るつもりだ?」
と呆れていた。
そして、私は風呂場にやってきた。さすがにあの人数を倒すのは骨が折れる。ついこの間まで入院していて体力が落ちたのもあるだろうが……。
私がお風呂に入っていると、クラスの女子たちもおそるおそる入ってきた。
「市ノ瀬さんすごいね……。全員倒したって……」
「あ? ああ。あんな奴ら弱いからな。お前らは私みたいな真似すんなよ」
「したくてもできませんー!」
だろうな。
「あの、ちょっと聞きたいんだけどさ、なんか呪われてたりとかする?」
「この前だってアレルギーで死にかけたとか言ってたし……」
「その目だって今年でしょ……?」
「あの、大丈夫?」
と、皆に心配されているようだった。
私が何かに呪われてるからこういう不幸を引き寄せるんじゃないかということ。奇遇だな。私も呪われてると思ってる。
呪いの装備なんてつけてないと思うんだがな……。
「本格的にお祓い行ったほうがいいと思う……」
「その、たぶん市ノ瀬さんは恨みはたくさん買ってるから……」
「それ月能にも言われたな……。マジで一回行っとくか?」
本当に呪われている気がしてならない。
せっかくの修学旅行なのにああいうやつらに出くわすし、今年もまだ5か月ちょいある。果たして私は無事に来年を迎えることができるのだろうか……。
「まぁ、大丈夫ですよ。あなたたちに被害があることはありません。全部花音が止めますから」
「私の負担が多すぎるだろ……。まぁ、多分引き寄せてんのは私か……お前だよ月能」
「私ですか?」
「多分今回の強盗団……。お前がいるから来たんだぞ」
「そうなんですか?」
「一人とらえて所持品見たらお前の写真があった。お前がこのホテルにいることを知られて誘拐しようとしたんだろ」
「あらー」
「あらじゃねえよこの野郎……」
お前がこんな警備がざるな普通の高校にいるから引き寄せられるんだぞ。お前は本当にいい餌なんだから。
私がいなかったら誘拐されてるからな?
「まぁ、結果は無事だったじゃないですか。それに、阿久津家の私を誘拐はそうそうできませんよ。護身術は一通り習ってますから」
「習ってるとはいえどだろうが。10人一気に来られて相手できんのかよ」
「それは無理ですね」
「お前……もう今更遅いけど来世はちゃんと警備がいいとこ行ったほうがいいぜ」
じゃないと私の負担が大きすぎるんだよ。
「はああー----マジで疲れた……」
「そのため息の長さが物語ってるね……」
「本当に無茶しないでね……。市ノ瀬さんに死んでほしくないし……」
「とりあえず、お祓い行こうね」
どんだけお祓い行かせたいんだ。




