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修学旅行・小樽編 ④

 風呂上がりに部屋に戻り、髪を乾かす。

 ドライヤーで髪を乾かしていると携帯から着信音が鳴った。テレビ電話をかけてきたのは衣織だった。私は電話に出ると、電話には桃と衣織の姿が映っている。


「花音! そっちどーお?」

「ま、ぼちぼち楽しいぞ。そっちは?」

「たのしーよ!」

「そうか。で、桃はなんでそんな浮かない顔をしてんだよ」


 桃は少し複雑そうな顔をしていた。


「お前が撮ってたのをまだ罪悪感感じてんのか? もう気にすんなよ」

「いえ……そうじゃないんです。ただ、ちょっとご相談が……」

「ご相談?」

「衣織さんが……その」

「その?」

「お金の使い方、下手じゃないかって聞きたいんです!」


 桃は後ろに置いてあった何かを手に取った。

 私はそれを見てなんとなく察した。


「あなたたちの分もって木刀四つ買ったんです!」

「えへん! いいでしょー? かっくいーよねぇ!」

「……バカだな」


 たしかに修学旅行で木刀を買うやつは……いないと思ってた。それは漫画の中だけであって都市伝説的なもんだと思っていた。第一、観光地においてある木刀は1本少なくとも2千円はする。それを4本ということは8千円。バカみたいな使い方をしていた。

 私は少し言葉が出なかった。


「衣織……お前バカだろ……」

「え、なんで? かっくいーじゃん!」

「しまうとことこかどうすんだよ……。結構な荷物になるし、大体買うとしても修学旅行の終わりらへんだろ……。なぜ序盤で荷物を増やすんだ……」

「あ、そー言われれば……」

「それに木刀なんて実用性ほっとんどねえからな? 持ち歩くにしたって重いし女子は振り回すのだってつらいだろ……」

「あら、電話してるんですか?」

「あ、月能!」


 月能は私の携帯をのぞき込むと、少し固まっていた。


「え、なんで木刀4本買ってるんですか……?」

「お土産!」

「おバカ!」


 月能も呆れたのか、おバカと声を出した。


「なぜ後先考えずに買うんですか……。木刀なんていりませんよ……。もう、私の分は帰ったらお金を払うので。とりあえず家に郵送しなさい。できるでしょう」

「あ、郵送っていう方法があったね! せんせーに渡してくるー!」


 と、部屋から出て行ったようだ。


「すいません。止めたんですけど買うって言ってきかなくて……」

「あれはイノシシみたいなもんだからな……」

「とりあえず衣織は目を離すとほんっとうに変なものを買う癖がありますからね……」


 木刀なんて買ってもずっとしまいっぱなしになるだけだろうに。

 護身用とか家に強盗入ってきたときとかに使えるとかは言うだろうが、阿久津家ならもちろんそういう警備システムがあるので必要がない。

 私と月能にはほっとんどいらないし、桃に関しても木刀で戦うより警察に通報して隠れていたほうがまだ安全だろうに。


「親御さんがお小遣いを月2千円にしてるんですよ。あれ無駄遣いするから」

「そうそう。そういう制限があるから普段は自分の買いたい服とかしか買わねえんだけど……。修学旅行だからってものすごい小遣いもらったんだろ? あいつ小遣い多いとマジで変なもの買うから力づくでもいいから止めろ。な?」

「そうですね……」


 あれはお小遣いを制限して正解のパターンの子供だからな。










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