修学旅行・小樽編 ②
回らない寿司屋に行くのは人生で二度目くらいか。
ネタが本州で食べるのよりとても大きく、採れたてのウニとかいくらとか、ものすごくおいしかった。
男子三人は本当にお高いところに連れてこられて、ものすごく固まっていた。
「美味かったな。ウニって採れたてのほうがマジで美味いな」
「そうでしょう。ウニは本当に味が違いますからね。採れたてが一番おいしいです」
「俺回らない寿司屋初めてだったし会計金額みて目ん玉飛び出そうになった……」
会計金額が万を超えていた。それをカードでさらっと払っていた月能はお嬢様だということを再認識させられたようだった。
私たちは特に見るところもないので、とりあえず海沿いを歩く。
「おたる水族館ここから近いですし行ってみますか?」
「おお、いいな! 魚の後の魚! 行ってみようぜ!」
「はい。入場料はかかるのでそれは各自で」
「そりゃさすがに全部負担はさせられないからね。だいじょーぶ。阿久津さんの分は僕が払うよ。お寿司連れてってくれたし」
「まぁ、阿久津家にとってははした金だろうけどな」
「それでも……」
と言いかけた時だった。
「おい」
と、後ろから声をかけられた。
振り返ると、ものすごい顔で睨みつけてくる男の人たちがいた。素行はそこまでよくなさそうなところを見るとまた不良。
私ってだいたいこういうのに絡まれるんだよな……。
「なんだ?」
「落としたぞ、ハンカチ」
「え? あ」
私はポケットを見るとハンカチがなかった。
「ありがとな」
「いや……」
「ごめんねぇ。君。こいつ、顔いかついから不良だと思ったでしょ? ビビらせてごめんね」
「いや、びびっては……」
と、話していると。
「おい、てめえが不良の吉崎か……?」
と、ガタイがいい男の人がのそのそと歩いてきた。
目の前の顔が怖い男は違うといっているが、ごちゃごちゃうるせえと殴られていた。
「俺の連れをやりやがって……。覚悟はできてんだろうな!」
「がふっ……」
何度も腹をけられている。
私はしょうがないので、男の肩をたたいた。
「あ? んだてめ」
「そい」
私は回し蹴りを食らわせる。
男は不意に蹴られて脳震盪を起こしたのか、そのまま気絶したのだった。
「なめた真似私の前でしてんじゃねえよ。大丈夫か?」
「あ、ああ。それよりあなたは……」
「大丈夫ですよ。喧嘩じゃ絶対負けませんから」
「伝説の不良が負けるなんて見たことねえぜ?」
「伝説の不良……?」
「その話はいんだよ。それよりこの男どうする? 海に投げ捨てるか?」
「それはだめでしょ!?」
だよな。
まぁ、この男をここで寝そべらせててもアレだし移動しないとな。報復とかはしてこないでもらえると助かるのだが……。
私は男に近づくと、少し震えていた。
「おう、目が覚めたみてえだな。まだやるか?」
「す、すんません! 伝説の不良って……蒼眼の死神……」
「おう」
「な、なめた真似してすんませんした!」
と、逃げ去っていった。
「なんで私ってこういうのに絡まれるんだろうな……」
「類は友を呼ぶって感じじゃないですか?」
「類友はいらねえんだよな……」
ついてないぜ。北海道来ても。