古代兵器ニヴルヘイム
退院して屋敷に戻ってきた。
そして、ログインすると拠点にいた。どうやら私たちは魔物にキルされたようで、リスポーン地点である拠点に戻されたみたい。
そりゃ、強制ログアウトだったもんな……。
「あーあ……。また摩天楼攻略かよ……」
と、ぼやいていると。
突然、外からハァ!?というワグマの声が聞こえた。私は自分の部屋から出て向かってみると、ワグマと衣織、そして何か知らない人間?がいた。人間というには関節部分が機械のような感じがしているが。
「これが古代兵器ですか!?」
「そーらしいよ! なんか手に入れちゃった!」
「なんかって……。私たちより先に攻略できたんですか? というか、あなたのどこにそんな時間が……」
と、ワグマが何かに驚いているようだった。
私は声をかけてみると。
「なにしてんだよ」
「あ、ゼーレ! 見てみて、古代兵器のニヴルヘイムちゃん!」
「初めまして。私は人間型戦闘兵器ニヴルヘイムと申します」
「……古代兵器?」
「あの摩天楼ダンジョンの頂上にあるとされていた古代兵器です。どういうわけか手に入れてきたんですよ、オイリが」
「……は?」
意味が分からない。
私たちですら一日かけてもせいぜい三階くらいだったぞ。それなのにもう手に入ったのか? というか、昨日には私の見舞いに来てたし、夜も来てたし、どこにそんな時間が? 今日だって朝、退院したからできるとしてもそこまで時間がないだろう。
「私が説明するですよ!」
「デイズ?」
「私とオイリさんで摩天楼ダンジョンに挑んだのですが、運よく転移トラップを見つけまして! それで転移したらいきなり最上階だったんです! オイリさんが古代兵器を起動したらマスターという扱いになったので連れてきました!」
「転移トラップ? そんなのあったか? 割とくまなく探したよなワグマ」
「そうですね。そんなの見当たらなかったような……」
転移トラップというのがあったのか?
魔物が出るのは知っていたがそういうのは一切見当たらなかった。
「いやぁ、魔物から逃げてる最中に壁にぶつかったら壁が壊れてさー。魔法陣があってそこに入ったら転移しちゃったんだよね!」
「……私たちの苦労って」
「わざわざ登んなくてもよかったのかよ……。それを見つける作業をしたほうが早かったわけだ……」
無駄骨かよ私たちは。
「ねぇねぇゼーレ。このニヴたんと戦ってみて! ちょーつよいから!」
「あん? まぁ、いいけどよ」
「戦闘ですか? かしこまりました。マスターの友人のようなので殺しは致しません。戦闘モードに移行します」
と、ニヴルヘイムがそういうと、突然体が変形し始めた。
両手が機関銃のような形になったかと思うと。
「では、戦いを開始いたします」
マシンガンをぶっ放してきた。
私は思わず身を引く。ノータイムでマシンガンを撃つのかよこいつ……。
「弾切れ……。近接戦闘モードに移行します」
というと、素早く私との距離を詰め、剣に変化した右腕で切り上げてきた。紙一重で躱す。ものすごく素早いから対処しづらいな!
私はとりあえず顔面を思いきり蹴った。
「ダメージを確認……。手加減して勝てる相手ではないと判断いたします」
その時だった。
一瞬、ニヴルヘイムの姿が消える。次の瞬間には目の前にいた。私は剣を素手でつかむ。ダメージは受けるがこれしか防ぎようがねえ!
なんだこいつ、超強いぞ?
「右腕の拘束を確認。ただちに対処します」
ぽこんと、右腕が外れた。
私は外された右腕をぶん投げる。だがしかし左腕で防がれた。だがそれでいい。私は思い切りとび膝蹴りを顔面に叩き込んだのだった。
ニヴルヘイムはそのまま倒れる。
「戦闘継続不可能。戦いを終了いたします。自動で修繕します。少々お待ちください」
「ええ!? 勝つのぉ!?」
「なめんなコラ……。こちとら蒼眼の死神様だぞオイ……。そう簡単に負けてたまるかよボケェ!」
「戦闘兵器でも無理なんですね……。ですが、私たちの中で一番ダメージと疲労を与えてますね」
「なんかちょっと傷つきます……」
マジで疲れた。二度と相手したくないぞ。