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不良少女はゲームでも喧嘩がお好き  作者: 鳩胸 ぽっぽ
要塞都市ヴェルディア
208/241

怪しいのは

 昼。

 月能、衣織、そして侑李がやってきた。


「やぁやぁ。君が次の殺人犯の標的だそうだねェ。不良という過去はどこまでも忌まわしい形でついてくるものだねェ」

「からかいにきたのかよ」

「違うよ。月能くんに犯人がいつ来るかの考察を頼まれてねェ。刑事さんからいろいろ話を聞いたんだろう? 何か不審に思うこととかは言ってなかったかい?」

「不審に思うこと、か」


 特にない、な。

 福岡、大阪って距離は新幹線とか使えばすぐに来れる距離ではあるし……。


「私としては、刑事の人たちが怪しいと思っているよ」

「刑事が?」

「福岡で起きた殺人事件で犯人の次回の犯行声明があったって言っていただろう? それは警察が知らないはずがない……。だけれど、赤髪の大王は襲われたんだろう? 赤髪の大王もこういう風に身辺警護とかされていたはずだよ」


 言われてみればそうだよな。

 身辺警護されているのに襲われたとなると……。犯人は限られてくるというわけか。警察は二十四時間見張っているだろうし、近づけるとなると……。


「それに、警察関係者のほうがそういう不良生徒の情報は耳にしやすいだろうし、護るという大義名分で簡単に近づくこともできるだろう。警察をそこまで信用しないほうがいいだろうね」

「……わかった」


 アルテミス……。侑李の言い分にはものすごく納得できる。

 たしかに警察ならば不良生徒の喧嘩の情報とか入って、そういうのをつかみやすいし、近づきやすい。

 となると、朝方来た警察の人も疑ってかかったほうがいいというわけか。


「まぁ、君は阿久津家の力を使える。阿久津家の持てる力をすべて使ったほうがいい」

「そうですね。とりあえず、刑事さんたちは私たちの許可なしでは入れないようにしておきましょうか。上層部にコネがあるので大問題にしてあげましょう」

「あ、阿久津家ってやっぱすごいね……。それより、だいじょーぶ? 怖くない?」

「怖いって何が?」

「だって、殺されそうになってるし……」

「いや、殺されそうになってるって言うけど今年に入って何回死にかけたと思ってんだよ」


 いつものことだ。

 だがしかし、殺人犯、が警察にいる……。なんとなくだが、その読みは正しいような気がする。だがしかし、公務員というのは部署とか管轄とかあるわけだし、どうやって怪しまれずに来るわけだ?

 同じエリアならともかく……。


「警察だって部署とかあるだろ。わざわざ殺人が起きた後に異動するとか不審がられないか? そういうことできるのかそもそも」

「こういえばいいんではないだろうか。本庁から応援にきた、と」

「応援?」

「犯人は警察庁に努めている警察官であり、本庁から応援に来たと近づき、襲う。少し怪しまれはするだろうが、事前に話を通しておけば容易ではないだろうか」

「な、なるほど……」

「犯人を捕まえられない警察の無能さを知らしめたくないから優秀な人材を本庁から派遣するとか言っておけばいいんじゃないかな?」

「お前……よくそこまで頭が回るな。お前が犯人だったりしない?」

「まさか」


 本庁から派遣された、か。たしかにそれだと大阪に行くというのも納得はできる。

 だがしかし、侑李の考察はただの机上の空論みたいなものでしかないが。一応筋は通っているような気もする。


「問題は襲ってくるタイミングだろうねェ。そればかりは考察の余地もない。決まった法則があればいいのだけれど、テレビで伝えてくれるのは夕方だの朝方だの明確な時刻ではない……。夕方、朝方となっているのをみると時間には法則性はないのだけれどねぇ……」

「きっと見張りの警察の人が眠い時間を狙ってるんだよ!」

「ふむ……。そうかもしれないが、見張りは交代制だろう。それに、警察官ならば少しの言い訳を用意しておけば近づけるとは思うよ。たとえば見張りを交代する、とか。ああ、そうか。見張りを交代した時に襲ってるんだろう」


 となると、見張っている警察の人が怪しい、というわけか。


「ふむ、そうなると見張りの警察官が怪しいねェ。けど、階級がそこまで高くないなら怪しくはないはずだ」

「どーして?」

「優秀な警察官を送るならばわざわざ巡査とか送りたいかい?」

「そうですね……。巡査や巡査部長とかはそこまで送りたくはないですね。送るとなると……刑事以上の階級でしょうか」

「そうだろう? となると、刑事以上の階級をすべて疑ってかかったほうがいい」


 侑李、すごいな。

 おおよそテレビで言ってる情報だけで考察したんだろうけど……そこまで考察するか。


「とりあえず……お父様にも言っておきます。見張りなどをすべて調べ上げて行けばきっと犯人はわかるでしょう」

「なるべく早急に頼むよ。多分……」


 と、私たちに近づくようにと指示を出す。

 私に三人が顔を近づけた。


「衣織くん。復唱はするなとだけいっておく」

「わ、わかった」

「この一連の会話を犯人が扉の前で聞いているのなら……。おそらく犯行は今日か明日。阿久津家ということもばれているだろうし、調べられてほしくないだろうからね。だからこそ、犯人は犯行を急ぐはずさ」

「なるほど……。派遣した履歴とかを見れば一発でわかりますものね」

「正義の味方を名乗るなら、きっと花音くんを殺してから捕まりたいはずさ。だから今日の夜は眠らないほうがいい。私たちが見張っておくから今からでも花音くんは昼寝しておくべきだ」

「もう夕方ですけどね……」

「ああ。だがしかし、摩天楼ダンジョンで眠れてないだろう? 話を聞いて眠ってもないはずだ。だとすると、ものすごく眠いんじゃないかい?」

「あ、ああ」


 確かに今日は眠ってない。

 摩天楼ダンジョン攻略が仇となったのか……。


「それじゃあ、おやすみだ。寝ないと夜、対処できないだろう。明日は朝イチで衣織くんと私がお見舞いに来よう。私たちが来るまで眠るんじゃない」


 といわれたのだった。











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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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