古代兵器のうわさ
要塞の中はとても広かった。
門があり、中は空もあるが、建物がずらりと並んでおり、要塞だった時の名残なのか、風化した大砲などがそのまま置かれている。
コロシアムも一応あるらしく、コロシアムのほうでは大歓声のような騒ぎ声が聞こえてきた。
「暗いな」
「ですね。要塞の大きな壁が太陽を遮っているからでしょうか」
「そうだろうね。四方八方大きな壁で囲っているから太陽が当たる時間も少ないだろう。中央は日当たりはいいだろうけれど、端は太陽が当たらないだろうね」
壁に囲まれた要塞都市ヴェルディア。
なかなか一筋縄じゃいかなさそうだな。
「さてと、要塞都市ヴェルディアでまずは何をしようか。私としてはこの都市の歴史を調べてみたいのだが」
「そうしよう」
「えっと、マップみますね。図書館は……あちらのようです」
と、図書館に案内してくれるピーチ。
私たちは図書館に入り、それぞれ気になる本を調べてみることにした。
私が手にしたのは戦争についてのこと。
戦争の終結という本を手に取り調べてみた。要塞都市ヴェルディアはもともと戦争のために作られたもの。
私としては昔にこんなバカでかい要塞を作れる技術があったのかという疑問がある。
ただただ壁を建てればいい、という話でもなさそうだから。
「12111年、隣国であるブリキッシュとの戦争が終わった……。我が国の勝利だ。領土をもらったはいいものの、戦争のためにと作った要塞が無駄になってしまった」
ブリキッシュの元国王は死刑、王妃と王子は幽閉、王女はこの要塞の領の領種であるモハメド・アリントン辺境伯へと嫁がされた。
12111年葉の月に元国王の処刑が執行された……。
私は本を隅々まで調べていく。
すると、気になったところがあった。
「元国王は我が国の武器におびえていたようだった……」
武器におびえていたって……。どうしてだ?
戦争なのだから剣などを持っていても何ら不思議ではない。怯えこそすれど記載する必要は全くないはずだ。
死ぬ覚悟がないやつだったのか、それともこの武器がおびえるような代物だったのか。
「古代兵器があるようだよ、この要塞都市のどこかには」
「古代兵器?」
「この書物を見ると、古代兵器という記載がある。この要塞都市のどこかには古代兵器が眠っていて、発見したものにはくれてやる、と。古代兵器は人にとって喉から手が出るようなものだ、という記述がある」
「へぇ……」
古代兵器か。
「そんなのあるんですね。見つけるんですか?」
「そりゃ、気になるだろお前」
「ふふ、好奇心はあるね。古代兵器とは一体なんなのか……」
「うーん。でも、見つけるにしたってヒント少ないですよね? どこかにヒントがないでしょうか」
「この図書館の書物を全て調べつくす必要があるだろうね。最低限のヒントがあれば私は推測はできる。我々で古代兵器を見つけようではないか」
アルテミスはものすごくノリノリだった。
宝探し、か。確かに私もちょっとうずうずしている。