要塞都市ヴェルディア
私は病院でゲームにログインする。
天貫山の宿屋には全員集まっており、私のログインに皆が視線を向ける。
「昨日、悔しくてログインしてなかったんですか?」
「ふふふ……当然よ……」
「いや、アレルギーが出て呼吸困難になって死にかけてた」
私がそう言うと、みなが唖然とした顔になる。
「アレルギーあるの!?」
「昨日知ったんだよ。滝行して、ワグマと飯食って帰ろうって思って蕎麦屋いったら私蕎麦アレルギーみたいでさ……。呼吸が苦しくなってぶっ倒れた」
「死にかけるの何回目だよお前」
「もうお祓い行こうよ……」
と、ハーレーとミナヅキがあきれたように肩をすくめる。
「んで、なんでこんな集まってんの?」
「次に行く街を決めてるんです!」
「次はどこに行くかってなってまして、要塞都市ヴェルディアか、学園都市ヴェルサイユか」
「学園都市か要塞都市か……。どうせどっちも行くんだからどっちでもいいぞ。今回も戦って決めるのか?」
「いや、今回は話し合いなのですが……。ゼーレ、最初どっち行きたいですか?」
「ゼーレが行きたいところに行くよ今度は」
と、私に行先を押し付けてきたのだった。
私は地図を見せてもらう。ここから近いのが、ヴェルサイユで、真反対のほうにヴェルディアがある。
学園も気になるが、私としては要塞というのが一番気になるところだった。
「要塞都市行ってみようぜ。気になるし」
「わかりました。要塞都市ヴェルディアですね」
「私たちは早い移動手段ありますし、先に行っててもいいでしょうかっ!」
「そうだねぇ。私とピーチ君とゼーレ君はペガサスがいる」
「いいですよ。先に向かっていてください」
「現地集合か。わかった」
ということで、私たちペガサスを所持している三人はペガサスにまたがり要塞都市ヴェルディアに向かうことになった。
アルテミスは要塞都市についていろいろと調べたらしく、現地でいろいろ解説してあげようと意気込んでいる。
私たちは早速ペガサスにまたがり、ヴェルディアに向かった。
「うっわ……でっか」
「都市が要塞だからねェ」
「この建物が都市……。すごいな……」
「この要塞はもともと戦争のために建てられていたそうだよ。はるか昔、この辺りは隣国との境目だったんだ。国防の重要拠点。だからこそ、こんなどっしりとした要塞ができたそうだよ」
「へぇ。戦争の名残か」
「そう。戦争がなくなるとこの要塞の役目もない。とはいって、取り壊すのも費用がものすごくかかる。ならばどうするか。人が住むようにしてしまえばいいということだったらしいね。戦争に勝利してもお金がなかったようだから」
「まぁ、こんだけバカでかいとそうですね。中入ってみませんか。要塞の中。入れるんでしょ?」
「入れるだろうけどねぇ……」
私たちは要塞の入り口の前に立つ門番さんに話しかける。
「あのー、ヴェルディアに入りたいんですけどいいですか?」
「入りたいのなら通行料1000グランを徴収する」
「あ、はい」
「その馬は入れないぞ」
「そうかい。では、戻るといい、エンプレス」
「カイゼルもありがとな」
私たちは馬を一度戻す。
1000グランを門番に渡し、私たちは要塞の中に入っていったのだった。




