表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/241

また死にかけた

 オイリに負けた翌日、私は滝行を受けていた。

 自分への戒めも込めて、滝に打たれること10分。なんとなく精神が統一できた気がする。ただ、目にちょっと水が入って痛いけれど。


「あー、クソ、クソが……」

「気が済みましたか」

「気が済んだよ、畜生……。さっぶ」


 夏だというのに。

 

「もう修学旅行も間近なんですから。風邪、ひかないでくださいね」

「わあってるよ」


 私は月能からタオルを受け取り、体をふく。

 少しは冷静になれた。うん、もう立ち直れた。負けたのはしょうがない。次に進まなくてはいけない。

 私は自分の頬にビンタをかまし気合を入れる。


「さて、腹減ったな」

「もう昼時ですもんね。この時間、ファミレス行こうにも混んでそうです」

「なら近くにいいお店がありますよ」


 と、滝行をさせてくれた寺の坊さんが話しかけてきた。


「東屋という蕎麦屋があるんです。そこの蕎麦はおいしいですよ」

「蕎麦、いいな。月能、大丈夫だったら行こうぜ」

「あー、いいですね。最近蕎麦食べてませんし、行きましょう。奢りますよ」

「おっけー」


 私は東屋に移動し、蕎麦を注文。

 ざるそばが届き、私はネギをつゆの中に入れて、一口食べる。やっぱうまいなと思い啜っていると、少し頭がくらくらしてきた。

 それに、呼吸が……。私は思わず首元を抑える。


「どうしたんですか!?」

「ちょ、くるし……」

「まさか……でも、ええ!? とりあえず救急車!」


 私は意識を投げだしたのだった。



 気が付くと、病院にいた。

 桃と衣織、月能と茂治さんが座っていた。


「目が覚めたか!」


 茂治さんが私の肩をつかんで確認してくる。

 私はなぜここにと思って、思い出してみると、蕎麦屋で倒れたんだったか。


「重度の蕎麦アレルギーみたいですよ」

「……マジ?」

「はい」


 蕎麦アレルギー……だと。


「私、ガキの頃は蕎麦食べられてたぞ?」

「大人になって発症するというパターンもあるそうだ」


 どうやら私は大人になって蕎麦アレルギーが出たらしく、重度の蕎麦アレルギーのせいで呼吸困難に陥り倒れて運ばれたのだという。

 まぁ、なんつーか。


「今年何回死にかけるんだ?」

「もうこれ本格的に呪いかなんかじゃないんですか?」

「退院したら一回お祓い行こう」

「えっと、車に轢かれて、拳銃で目を撃たれて、蕎麦アレルギーで倒れてで三回目だね」

「殺意マシマシすぎますね……」

「こればかりはまあ仕方ないにせよ……。一応アレルゲンを調べておいたほうがよさそうだ」


 蕎麦アレルギー……。蕎麦好きなんだけどな。


「ねぇ、花音ちゃん。なんか恨まれることしてるんですか?」

「昔、喧嘩ばっかしてたからそん時は恨みばっか買ってたけど……」

「今更それの呪いが?! マジでお祓いいこ、ね!? てか修学旅行大丈夫なの!? 退院できる!?」

「父によれば修学旅行前日に退院予定らしいです。旅行先でも蕎麦は気を付けてくださいね」

「気をつけなきゃ死ぬからな。気を付ける」


 今年、何度死にかければ気が済むんだろう。

 二度あることは三度あるというが、こういうの複数回あってほしくないだろ。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 祝!二百話ですね これからも楽しみに読ませもらいます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ