クライノートメンバー四連戦 四戦目 ②
最後に残ったのはオイリ。
オイリは立派な大盾を構え、私と対峙している。オイリにとって重要な回復役がいなくなったこともあり、あとはダメージレースだ。
防御力では負けてはいるものの、攻撃力なら私のほうが断然ある。
「先手必勝!」
私はオイリに攻撃を仕掛けたのだった。
勝つ。喧嘩で私は負けるわけにはいかない。負けたら、私のアイデンティティがなくなってしまう。喧嘩にも負けたら私は何も残らない。
私は相手に攻撃の隙を与えないように、なんども攻撃を当てていた。
「むうう、ガードしてるだけじゃだめだぁ!」
「気づいたか! だがガードといたら殴り合いだけになるぜ! 殴り合いなら私のほうが有利だ!」
「上等だぁ!」
と、大盾を捨て、斧を構えるオイリ。
私はとりあえず顔面をぶん殴った。顔で私の拳を受け止めたオイリは私から視線をそらさない。オイリは何も言わず、私のほうを見ていた。
それがなんだかちょっとむかついて。
「何見てんだよ」
「……なんか、必至だなって思って」
「そりゃ、私は負けられねえからな」
「どうして?」
「負けたら……私は何もなくなりそうだからな」
「今まで負けを知らなかった弊害だよそれは! 私は絶対勝つもんね! ゼーレを超えてみせる!」
と、強く意気込んでいた。
意気込みを語るだけならだれでもできるんだよ。私はオイリの顔面にもう一発パンチを食らわせると、オイリは左腕で私の腕をつかんでくる。
つかまれるのは想定済みだ。私は落ち着いて、抜け出そうと力強くオイリを蹴るが、オイリは離そうとしない。
そして、オイリは私を空中にぶん投げ、斧を構える。
「くそ、空中移動スキルがねえから何もできねえ……!」
しょうがない、斧を真剣白刃取りみたいにとって対応するしかない。
私は精神を集中し、斧の一撃を見切る。だがしかし、オイリは斧の側面で私を思いきりぶん殴る。白羽取りが意味をなさず、私はもろに攻撃を食らってしまった。
「バットみたいに扱いやがって……!」
「不意打ち! 効くでしょ?」
「くそ、マジでしてやられた……」
くそ、防御はそこまで私もないからな。それに、あの斧。固定ダメージ付きか? すごいダメージを食らった。
急所に当たったというのもあるかもしれないが。
「でも、正直に言うと、私、あと一撃で沈むよ!」
「奇遇だな。私もだ」
オイリ、予想外に攻撃力が高い。
あと一発。もらえないだろう。それは相手も同じ。ワグマを先に潰しておいてよかった。あと一撃、与えるだけでいいのならば全然勝てる。
私は立ち上がり、オイリめがけて走って向かう。
「オラぁ!」
私は拳を振りかざした。
その時、オイリは思いっきり頭突きをしてきたのだった。頭突きで私の攻撃がひるみ、そしてそのまま斧が振り下ろされたのだった。
斧は私の体を切り裂く。
ああ、クソ。負けた。
私の意識はそのままなくなり、気が付くとリスポーンしていたのだった。