クライノートメンバー四連戦 四戦目 ①
勝負が終わった。
集中するとやっぱ疲れる。最適解を常に出し続けているということなので、ものすごく消費するのだ。
これ、最後の相手の二人を相手取る燃料残ってるかな。
「とうとう最後ですね」
「……本気出させたのは消耗させるためか」
「いや、単に本気のゼーレを見てみたかっただけだと思いますけど。私は戦えないので、オイリ。あなたが戦うんですよ」
「わかってるぅ! ゼーレ、楽しんでこーね!」
と、オイリは笑顔で大盾を構えていた。
開戦の合図が鳴る。私はとりあえず回復職のワグマを倒そうとするが、ワグマは最小限の動きで私の攻撃をかわす。
何発も、何発もよけられたのだった。
「お前、回避術身に着けたのか」
「さすがにつったっているわけにはいきませんから。デバフ、降下の霧!」
と、黒い霧が私を包み込もうとしてきたので、一歩身を引く。
あれはデバフスキルだろう。降下ってことは能力がダウンするとかそういう感じかな? ワグマは闇魔法を覚えていて、神官。デバフやバフには気を付けたほうがいいか。
「そっちだけに集中してちゃいけないよぉ!」
と、大盾を構えて突っ込んでくるオイリ。
それはまるでブルドーザーのように、ものすごく豪快に突っ込んできていた。私は躱すと、デバフを翔けようとしてくるワグマに当たりそうになったので、盾の攻撃を一発もらう。
ここで大事なのはデバフをもらわないこと、だ。多少のダメージは仕方がねえ。
「よし、初ダメージ!」
「やっぱお前ら二人はコンビネーションとしては最高だからな……。あと、すんげえ今消耗してる」
さすがに四連戦はきつい。
集中力もさすがに落ちてくる。
「弱音吐くなんてらしくないなぁあああ! せいやっ!」
と、盾の後ろから斧を振り下ろしてくるオイリ。斧をかわし、オイリがもつ盾の裏に回り込んだのだった。
私はとりあえず一発ぶん殴る。
「いだっ!」
「ちょっときついなこれは……」
この二人のペア、相当厄介だ。
オイリは防御力が高い。一撃加えても体力はそこまで削れない。武装系スキル、鬼神スキルが禁止されているので火力がものすごく落ちているのが要因だろう。
その程度の攻撃力じゃオイリの防御力は貫けないか。
「……参った、こりゃ無理ゲーかもしれねえな」
一応勝機はある。
回復を封じ込めればいい。だがしかし、ワグマもワグマで私の攻撃を熟知して躱してくるから倒すのが困難だろう。
だがしかし、回復されるのは何より厄介だ。
私はもう一度ワグマと距離を詰める。
そして、ワグマめがけて渾身の一撃を放つが、避けられた。でも、避けられるのは想定内。その程度で避けたつもりになられちゃ困る。
私は右手を伸ばし、ワグマの装備をつかんだのだった。
「きゃっ!」
「私は負けるわけにはいかないんだっての!」
私はワグマに一撃。
オイリは助けようとしてたが、そんな悠長に待ってあげることはない。ワグマは防御力はぺらいので、一撃で沈む。
あとはオイリだけになった。
「オイリ、タイマンだな」
「むうう……。やるしかないよねぇ」
「ああ、やるしかない」
オイリは武器を構えたのだった。