クライノートメンバー四連戦 二戦目
モンキッキたちも鍛えていたらしい。
モンキッキとキャツラはどちらも盗賊職だったはず。素早い身のこなしを武器にしてきそうな感じはある。
開戦の合図が鳴り響く。
「先手必勝っす!」
ナイフを振りかぶるモンキッキ。私は受け止める。
「ゼーレさんは不意打ちに弱いっすよね」
「まぁな。オラ!」
と、背後にいたキャツラを蹴った。
「予想済みなんだよ。受け止めさせんの。信号がもろに出てんだよ」
「たはー。やっぱうまくいかないっすねー」
「でも、武器うーばい……♡」
と、私の足についていた鉄球がいつの間にか取られていた。
少し足が軽くなった気がする。私は足を少し動かしてみる。
「お、重りが消えたから少し動きやすいぞ」
「ですよね! やっぱ武器外したらそうなるっすよね!」
私はキャツラに追撃。
キャツラを蹴り上げ、空中に舞うキャツラ。
「そうはさせないっす!」
「うるせえ」
私は裏拳でモンキッキを吹っ飛ばす。なすすべなく落ちてくるキャツラ。私は拳に力をため、そして、思いっきり正拳突きを放った。
正拳突きはキャツラのどてっぱらにあたり、キル。
「いよし、体も温まってきた」
「くそ、やっぱ手も足も……」
「モンキッキ。今から攻撃するからな。避けろよ」
「へ?」
私はモンキッキと距離を詰める。
まず一発。脳天にかかと落とし。だが避けられる。想定済みだ。
避けたモンキッキの頭をつかみ、頭突き。そして、ひるんだところに体をつかみ、膝蹴りを数回食らわせる。
モンキッキは膝をつく。私は頭を思いきり蹴り、モンキッキはKO。
「喧嘩殺法。モンキッキももともと不良軍団と行動していたし、アリだろ」
「いや、なしっすよ!?」
復活したモンキッキがつっこんだ。
「俺、ただの情報屋みたいな役割だったし! どこどこのこいつの弱点はとか、警察が見回りに来ない情報とか! 喧嘩なんて弱いって前に言ったじゃないっすか! 知ってるじゃないっすか!」
「そうだっけ。まぁ、いいだろ。モンキッキ。お前はもうちょい作戦をひた隠す努力とか動揺を消す努力をしろ。ニライカ、天貫山のどちらかにいくために喧嘩した時も同じようなことで負けてるからな」
「うぐっ……」
「泣き言とか後悔とかは戦闘が終わってからにしろ。その隙が無駄だ」
「その通りっす……」
「あと、顔がちょっとむかついたから余計に力込めたかも」
「顔がちょっとむかつくはひどくないっすか!?」
いや、お前普段の顔が少しニヤついてる顔じゃん。なんかたまにむかつくときあんだよ。
「前半の戦闘のアドバイスはともかく、後半は無理っすよ!? 親からもらった大事な顔っす!」
「ああ、そうだったな……」
「なんか途中までいい雰囲気だったのに俺んときだけボケるんすか!?」
「いやぁ、うちらのメンバーにそうやって大声でツッコミを入れるタイプってモンキッキぐらいしかいないからさ」
「いや、ほかにも……いねえ……」
うちのメンバー、基本的に冷静なやつばかりだしな。
しいて言うならオイリは情熱的なほうだけど、あれはツッコミできない。
「こいつら、私と同い年ぐらいのはずなのに妙に大人だからな。モンキッキじゃないとこういうボケとかはできねえ」
「大人ねぇ……」
「俺たちもそこまでだけどな。おい、次は俺らだろ。早くやろうぜ」
と、ハーレーたちが壇上に登ってきたのだった。