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従順

 パーティがおわり、今日から私は後継ぎとして生きていくことになった。

 東山が帰り際に声をかけてくる。


「せいぜい頑張れよ」

「……おう」


 両親が後ろにいるから仲良くしてはまずいということだろう。

 高圧的なのは今はしょうがねえか。私は東山たちを見送り、客が帰ったあと、私たちも屋敷に帰ることになった。


「あー、明日は牧場に行くのか……」

「田中くんと乗馬体験ですよね」

「本物の競走馬に乗らせてやろう」

「……マジすか?」

「ああ。引退した三冠馬に乗せてやる」

「三冠馬……?」

「競馬詳しくないなら知りませんよね。皐月賞、日本ダービー、菊花賞全部で勝った馬がそう呼ばれるんです。三冠馬なんて数えるほどしかいないんですよ。クラシックのレースは一度きりですからね」

「ほぉーん。競馬ねー……。私はよく知らねえな」


 ただ、競走馬だときちんと調教はされてるんだろ? 結構すんなり乗れそうな気がするが。

 私の考えは甘いものだろうか?



 と、考えながら次の日を迎えた。

 私は乗馬に適した格好に着替えさせられ、集合場所にいくと、黒毛の馬と芦毛と呼ばれる馬と栗毛と呼ばれる馬がいた。

 どれも茂治さんが持っている馬らしく、黒い毛の馬以外はおとなしめだという。


「よし、じゃ、俺この栗毛のやつ」

「私はアークムッムス号に乗らせていただきます」

「じゃあ私はこいつ?」


 と、私は黒毛の馬に触る。

 すると、馬はいなないてこちらを見てきた。足で蹴ろうとしてきたので私はぎろりと睨んでみると大人しくなった。


「あの、もう遅いのですがあまり威嚇しないように。馬は繊細ですから」

「あ、わりい」


 私は試しに跨ってみる。

 思ったより高い。私は手綱を握りしめ、走らせてみる。


「いくぞ、えーと、アークパイレツオー号!」

「ヒヒィーン!!」


 アークパイレツオーは元気よく走り出した。

 速い……! すげえ。テンション上がるぞこれ。私は手綱を右に引っ張ると右に曲がる。

 よし、いいぞ。


「柵をジャンプだ!」

「ヒヒィン!」


 柵を飛び越える。

 すげえ高くまで飛んだ。綺麗に着地し、アークパイレツオーは元気よく走る。

 

「って、柵を飛び越えるのはダメだよな。パイレツオー。戻るぞ」


 そういうと、くるっと周り助走をつけまた再び飛び上がるパイレツオー。

 私は二人の元に戻ると、牧場の人含めあんぐりと口を開けていた。


「あの、よくその気性難の馬を操れますね……」

「三冠馬だけど騎手すらもう乗りたくないっていうほど暴れん坊だぞ……?」

「そうなのか? すげえ言うこと聞いてくれるけど」

「本能的に上に見られてんだな……」

「こいつ本当に気性難か?」


 私はパイレツオーの首筋を撫でる。

 私はパイレツオーから降りて現役の時のレースを見させてもらった。

 日本ダービーの映像らしく、ゲート内でものすごく暴れて出遅れている。が、ラストでものすごく加速し牛蒡抜き。


「ゲートができないんですよ。この馬……。暴れるので……」

「よくゲート審査通ったな……」

「審査の時だけ大人しくなるんですよ。なんなんですかね」

「わからん……。ただ、お嬢ちゃん何者だぁ……? 俺らですら手を焼いてんのに。世話役として来てほしいくらいだ」

「パイレツオーはいい子なんだけどな。頭も下げてくれてるし」

「それはあなただけにです……」


 呆れたように頭をおさえる月能。

 うーむ。やっぱ私がおかしいのか?










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変態、ゲームに立つ!
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