手合わせお願いします
ゲームにログインした。
天貫山の山頂に私とアルテミスは今現在いる。
「さて、私はワグマ君の許可ももらったし薬草畑を作りに拠点に戻りたいのだが……。一人じゃ少し時間かかりそうでね。手伝ってくれると助かるのだが」
「ああ、いいが……ちょっとだけ待ってくれ。リアルのクラスメイトがくるって話はしてるんだ」
「そうか。では、待つとしよう。急ぎではないからね」
そういって、ワグマは地面に座り火をおこし始めた。
そして、何かを入れている。コーヒーのようだった。コーヒーを淹れ、私にも一杯手渡してきた。
「ワグマ君たちの修業はどうやら天貫山をおりてやるらしい。もっと強いところに向かうのだとか」
「もっと強いとこ?」
「私の考察だと……。比呂口の沼というところだろう。そこは強力な魔物が多いとプレイヤー間で言われている。実際、そこの攻略は結構難しいそうだ。なにせ、トリッキーに戦う魔物が多い」
「ああ、なるほど。力で直接勝負してくるようなやつらならまだしも、絡め手も使ってくるとなると結構対応が厳しくなるよな」
そこで対応力を身に着けるつもりか。
私たちはそういう話をしながら時間が経過するのを待っていると、見慣れた男たち三人組があっちから歩いてくる。
一人はものすごく重装備。フルアーマーで、兜ぎっしりかぶって顔が分からない。
そして、一人は一般的な狩人。
そして、ハーツはテイマーのようでいたって普通の防具だった。
「よぅ、そこの鎧の奴は……まぁ、消去法でタナカだな?」
「正解だ。とりあえず、申請させてもらおう……。それにしてもすごい装備が薄い。それで戦えるのが不思議だ」
「いや、私としてはあんたみたいな重装備無理だし……」
「現実だったら汗とかひどそうだよね」
「視界とかどうなの? ちゃんと見えてる?」
「見えてる」
どうやら見えているらしい。
フレンド登録を終える。
「んじゃ、フレンド登録したし、やることあるから私行ってもいいか?」
「……の前に手合わせだけ頼む。俺ら三人と」
「手合わせ? ま、しゃあねえな」
私はとりあえず戦闘態勢をとった。
三人もそれぞれの武器をとる。
「コロシアムじゃねえから決闘システムが採用されねえ。寸止めでやろう」
「わかってる。ここでカルマ値稼ぐことはしねえよ」
「では、私が合図役を務めようか。双方、準備はいいかい?」
「いつでもこい!」
「ま、ぼちぼちやるか」
私はこきこきと関節を鳴らす。
「では、初め!」
私は開幕の合図とともに、まずは狩人をつぶす。
「はや……」
「まず一撃」
私は膝蹴りを寸止め。
「……さすがに死んだだろうから俺脱落~」
「つづいて……」
「こい! アマルルス!」
と、召喚したのは一頭のティラノサウルスのような魔物。私は攻撃してくるアマルルスを蹴り上げた。
一撃でのしてしまい、私はそのままドグウに一撃。
「……参った。一撃で倒されるとは思ってなかったよ」
「よし、じゃ、一騎打ちだな」
「これ、俺に勝ち目あるか?」
「勝負には絶対はねえからわからねえぞ。とりあえず、お前は防御高そうだから少し殴っても大丈夫だよな」
私はそう判断して、まずは掌底。
体勢を崩すタナカ。私はそのまま追撃。鉄球をぶつけると、さすがに体力が減っているのか、ギブという声が聞こえてくる。
「勝負あり、だねぇ」
「……さすが、伝説の不良」
「敵わないか……」
「一発は攻撃を与えられると思ったんだがな……」
「ま、戦闘のド素人に負けるようなやわな鍛え方してねえよ。それより、もう要件は済んだろ? いっていいか?」
「ああ」
「ありがとね。そして、またよろしく」
「ああ、修学旅行、いい思い出にしような」
私はアルテミスとともに、拠点に戻るのだった。