修学旅行の班決め
眠たい昼下がり。
この時間はロングホームルームが入っていた。というのも、高校三年生のメイン行事が七月にある。それは修学旅行。
その班分けを決めることになっていた。
「花音、一緒に行動しましょうよ」
「おう」
「女子は私と花音でいいですが……男子ですよね。仲いい男子いませんもんね私たちって」
「むしろ私たち二人はだれからも遠ざけられてるだろ」
「今はそんな空気感じませんけどね」
クラスの人数も人数なので、男子三人の女子二人で一班という感じになる。
そして、組ごとに行先も違うので、衣織、桃、日向は私たちとは違うところに行くらしい。私たちは海外……というのもよかったのだが、国内旅行。沖縄に行くらしい。
沖縄のきれいな海。夏真っ盛りに行くのでものすごく暑いだろうな。
「よぅ、市ノ瀬サン。俺らと組まねえ?」
「いいですよ。えっと、田中くんに秋原くんに土井くんですね」
「おう、改めてよろしくな」
「決まったか。んじゃ、名前書いとくぞ」
私は班のメンバーの名前を書き、先生に提出したのだった。
修学旅行か。
「修学旅行、楽しみだな」
「え、意外……。こういうのだるいとか言いそうだけど」
「いや、私この街からほとんど出たことないし。ってか、旅行行ったことなんて数えるくらいしかねえぜ?」
中学の時や小学生の時も修学旅行という行事はあったが、その時の親は旅行に行かせる金がもったいないといわれて出さず、旅行なんて行かなくてもいいという考えだった。
あの児童養護施設も、あの親も、私を旅行になんて一切連れて行ってくれなかったので、旅行すんのはそこまで嫌いじゃない。
「沖縄つったら首里城か?」
「あと、シーサー!」
「あの狛犬みたいなやつな」
「ちんすこうも食いてえし、サーターアンダギーか?」
「あと沖縄といえば……台風でしょうか」
「そっち方面は出すなよ。台風直撃していけませんってなったらちょっと落ち込むぞ」
沖縄は確かに台風が多いけどもよ。
「まぁ、大丈夫でしょう。多分。それより、着ていく服はありますか? 花音、休日は基本的にTシャツ短パンで過ごしているでしょう。外行きの服ありますか?」
「……前一緒に買いに行っただろ」
「ああ、ありましたね。ならばよし」
「市ノ瀬さんって普段どんなかっこしてんの?」
「動きやすい格好。基本的に休日は外はほとんどでねえし」
「ゲームでもしてるの?」
「最近はな」
「もしかしてフリファン?」
と、フリファンの名前を出してきた。
「ああ、そうだ」
「となると、ゼーレって名前でやってたりする?」
「ああ」
「トッププレイヤー……。どっかで見たことあるなって思ったんだよ。俺らもやってんだ。俺はまあ、安直にタナカって名前でやってるが」
「俺はハーツって名前でやってる。ゲームでフレンドになろうぜ」
「僕はドグウです。僕もフレンドになりたい」
「おう。いいぞ。今私たちは天貫山のとこにいるからな」
「あそこか……」
やはり結構やっているのかすぐに頭の中に地図が思い浮かんでいるようだ。
「んじゃ、俺ら向かってみるか」