砂漠エリア
私たちは先へ急ぐ。
あの人数のプレイヤーがすべてではない。となると、私たちが戦っている間にも先に進んでいる奴がいたかもしれない。
私たちは走っていると、突然、景色が変わる。森を抜けた先は砂漠。太陽が私たちを強く照らし、砂の大地が私たちを待ち構えていたのだった。
「行こうぜ……」
と、足を踏み入れた瞬間。
ものすごいダメージを食らった。
「うげ、足を踏み入れただけでものすごいダメージ食らったぜ?」
「もしかすると、砂の上に立つと継続ダメージというものがあるのかもしれないねぇ。それほどまで熱いということだ」
「突破するのは難しそうだぜ? これ、なんかアイテム必要だろ」
「こればかりは明確で助かる。だが、そのアイテムを判別できないのが私たちの欠点。鑑定スキル、イベントが終わった後でも取得しておこう」
霧の森のように花とかを装備……というわけでもなさそうだ。
私たちは森を探すことにした。森の中を歩いていると、何やら開けた場所に来て、水色の花が咲いている。
アルテミスは水色の花を摘み、ゴリゴリと潰して液体にしていた。
「よし、クールドリンクの完成さ。この花を食べることであそこにいけるようだ。食べてもいいが、こうやって薬にすると効果が長く続くらしい。説明文に書いてある」
「よし、じゃ、ちょっと量産しておくか」
「わかった。では、しばらく薬の生成に集中させてもらうとしよう」
素材を摘み、どさっとアルテミスの前に置く。
先ほどプレイヤーをだいたい倒したので、ここに来るのは時間がかかるだろう。それに、あの砂漠はノーヒントだと突破は無理だろうな。
私は周囲を警戒しつつも、アルテミスの薬作成を待っていた。
アルテミスが薬を作り続けて十分が経過する。そろそろこの場所を移動しないとまずいかもしれない。十分ごときで着くとは思えないが、それでも警戒するに越したことはない。
十分も同じ場所に滞在していたら見つかるしな。
「アルテミス、十分だろ。いくぞ」
「わかった」
私はアルテミスからクールドリンクを受け取りごくごくと飲み干す。味はというと、気が抜けたサイダーのように甘い。
これにフルーツとか入れたらフルーツポンチにならないだろうか。ただ、これの飲んだ後の清涼感はすごい。
「美味いな」
「まぁ、飲むものだから味は飲めるものにしているんだろうねぇ。ポーションだって緑色だがメロンソーダのような味だろう? 本来薬草を使っているから苦いはずなのだが」
「考えてみりゃそうだな……。さすがに苦いものを飲ませるってことはしねえか」
「私としてはそこが不満さ。甘いものはそこまで得意ではない」
「私は好きだけどな」
二人とも飲み切り、ビンをアルテミスに手渡した。
そして、砂漠に入ると、ダメージは受けていない。クールドリンクの効果でダメージが無効化されているようだ。
やっぱ持つべきものは錬金術師だな。
「砂漠ルートがあるのはここだろう? となると私たちの現在地はここで……。北はあちらか。砂の山ばかりで方角が分からないな。陰で判断するしかないか」
「陰でやんのかよ……」
「夜ならば北極星でもできたけれどねぇ。陰で判断するしか方法がない。方位磁石なんてものはないからね」
「そりゃそうか……」
「私たちの現在地がここだと仮定し、ただ今の時刻は午後16時……。多分こっちだ」
と、南を指さしていた。
地図を見るに、私たちは南にいかなくてはいけないらしい。砂漠コースがあるところとないところがあるみたいで、だれもが砂漠を体験するわけじゃなさそうだ。
「ここは早く抜けたいねぇ」
「まったく」
太陽だけで暑苦しい。