生意気なガキども
全員倒し終わり、私はアルテミスを追わないといけない。
私がまだスタート地点に戻っていないということはアルテミスはまだ生きているということだ。私は急いでアルテミスが走っていった道を走ると、アルテミスは絶賛ピンチの様子。
というのも、プレイヤーに組み伏せられていた。
「残党がいたか……。ここは不意打ちしないと助からなさそうだな」
幸いあいつらは私に気づいていない。
プレイヤーはアルテミスを組み伏せながら、そのアルテミスの上にまたがっている。
「ほら、ゲームやめなよ。君には向いてないよ」
「……ゲームをやるのは人の自由だろう?」
「あのねぇ。学生はのんきにゲームとかしてる場合じゃないでしょ。勉学にいそしまなきゃ。社会人になったら困るよ~? あの時勉強しておけばよかった~なんて後悔するよ?」
「そんなの私には関係ないな」
アルテミスはまだ余裕そうだった。
その余裕がその男プレイヤーのイラつきに触れているようで、男はナイフを突きつける。
「あのねぇ。僕は善意で言ってあげてるんだよ。君みたいな若いガキがゲームやってるのを見るとむかつくんだよねぇ……。うちのリーダーもガキなんだけどさぁ……。ほんと、ガキはお気楽にゲームやれていいよねぇ」
「あれ、見たことあると思ったらあのSky Rimのリーダーのメンバーの一人か」
ぼさぼさ髪の男。
「そんな感情に身をゆだねて私に八つ当たりしているお前のほうがガキだと私は思うねェ。少しは感情を殺すことをおすすめするよ」
「生意気なガキだ……。今ここで殺されることも知らねえでのんきに……」
「殺される、ねぇ。それはどうかな」
「おいおい。まだ状況を理解できてないの? ガキ以前に頭悪いね君。あのねぇ、今組み伏せてるのはあいつらの指示に従って殺すのが嫌だからってだけなんだよ? その気になれば今でもお前を殺せる。こんな風に」
と、ナイフをアルテミスの真横の地面に突き刺した。
「ナイフを突きつけられたところでビビるわけがない。それに、今私を殺さなかったこと、後悔するだろうねぇ」
私は飛び出して、男の顔を蹴り飛ばす。
「は? ゼーレ……」
「お前、私に気づいてたな」
「ちらっと視界に入ったからねぇ。それに、あの程度でやられるようなタマではないことは理解していたさ」
「あの人数だぞ……?」
「おう。さっさとアルテミスを殺しておけば私もスタートに戻っていったのにな。戦犯野郎が。お前むかつく性格してんな」
私は拳を構える。
「ガキが! なにがむかつくだぁ? 社会のごみごときが俺にたてついてんじゃねえよ!」
「セリフも三流だな」
私は足払いして転ばせ、そのままかかと落とし。
地面に倒れる男。私は髪を持ち上げ、追い打ちの顔面に膝蹴り。
「な、なんで……」
「おー、タフだな。じゃ、もっとやるか」
「こ、降参!」
と、ナイフを投げ捨て両手を上げる。
「降参? 勝負の世界にそんなものはねえよ。ガキだとか何とか言ってたが、社会人で降参なんてあんの? 知らなかったわ。社会人はやっぱちげえな」
「まぁ、降参=負けだからね。どの世界でも同じだろう。嫌なことがあればすぐ降参するタイプと見た」
「君らほんとむかつくことを……」
「ま、私は降参なんてさせないけどさ」
私は男の腕をがっしりつかむ。
そして、頭にまず頭突きを食らわせた。そして、肩をつかみ、腹部に何度も膝蹴りを加える。
「がふっ」
「降参がすべてまかり通るなんて思ってねえだろ。勝負は生きるか死ぬかだ。涙目敗走なんてのは私は優しいからさせてやらねえ」
「優しくはないねェ」
何度も殴り続けていると、男の体力が尽きたのか、そのまま消えていったのだった。
「あれは性格悪かったんだな」
「むしろ、子供を見下してる感じだねぇ」
ああいう大人にはなりたくねえな。