勝てるわけがない
温泉には何があるのかというと、硫黄だよな。
たしか硫黄を使って火薬を作れるんじゃなかったか? その火薬が欲しいというわけだろう。たしかにアルテミスにとって火薬は今すぐにでも欲しいだろうな……。
だがしかし、温泉があるかどうか……。それに、前を進んでいるハーレーたちが先についてしまいそうなのも探しに行けない要因の一つ。
「二人がなぜあそこで立ち止まって談笑しているんだ?」
「私たちの存在に気が付いているか……。それともなにかトラップを仕掛けていてトラップにかかるのを待っているとかだろうねェ」
「トラップとは小癪なことを……」
「私たちは人のことを言えないと思うがね」
大体がお前だろ。
潰すとしたらまず最初はミナヅキからだろう。ミナヅキがいると、アルテミスを狙撃されたら終わってしまう。
アルテミスを一人にすると、隙が生まれてキルされる可能性がある。戦えないのが一人いるだけで少しきつい。
「しょうがねえ。突撃してくるか。死んだらすまんな」
「気にすることはないさ。何度でもやり直せばいい」
私はごちゃごちゃ考えるのもめんどくさくなってきたので二人に攻撃を仕掛けたのだった。
「よぅ、お二人さん!」
「げ、ゼーレ!」
「よりによって会いたくないやつに……」
「まず一発!」
私は地面をける。
なんとなく嫌な予感がしたので、思いっきりジャンプ。よく見ると地面の色が少し違う。落とし穴か。ずいぶんと古典的なトラップだな。
私はミナヅキが放つ矢を手でつかみ取り、まずはミナヅキをキルしようとするが、横からハーレーが邪魔をしてくる。
「そう簡単にはさせてくれねえか」
「当たり前だ。二対一だ。数ならこっちが有利だぞ」
「数なんてあてになんねえよ」
「そうだね。君相手にはね……」
二人は武器を構えなおす。
ミナヅキは矢を放つ。矢をガードしようとすると、ハーレーが横から槍で突いてこようとしていた。ので、私は思い切り足を振って鉄球で両方防ぐ。
「近づいたな?」
「やべ……」
私はハーレーの顔面をつかみ、思い切り地面にたたきつける。一発では死ななかったか。なら追撃。私は肘にトゲトゲ武装をして、エルボーを食らわせた。背中に思い切りトゲトゲの一撃を食らう。
「離れろ! 追尾の矢!」
「追尾……ふぅん」
私は飛んできた矢をつかむ。そして、その矢をハーレーに突き刺した。
「ぐあああっ!」
「本当にこれ僕たち勝てるかな……」
「今の私は割と本気だぞ。ほら、かかってこいよ。まだ遊ぼうぜ」
「死んだほうが幸せだねこれは……」
私は瀕死のハーレーを持ち上げる。そして、思い切り落とし穴のほうにぶん投げると、地面が陥没し、そのままハーレーは落とし穴に落ちていく。
ミナヅキは死を悟ったのだろう。弓矢を置いた。
「また一からか……」
「スタートからがんばれよ」
「ゼーレ君!」
と、背後から声が。
見てみると、アルテミスが誰かに襲われていた。私は近くにあった木の棒を男めがけてぶん投げる。
「こういう心配があるから離れたくなかったんだけどな」
まだまだ安心できねえ。