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迷いの森

 イベント当日がやってきた。

 私とアルテミスはログインした瞬間、違う場所にいると気づく。いや、宿の中じゃねえし気付くのは当たり前なんだが。


「さて、ここはどこなんでしょうかね……」

「ふむ、の前に気になるのは……ここは浮島のようだね。私たちの背後には何もない」

「こっからどこに……」


 と、下に手紙が落ちていた。

 地図のようなものもあり、君たちにはこの中央の遺跡を目指してもらうと書かれてある。

 あと、細かなルール。


ルールとしては

・片方どちらかが死んだら両方ともスタートからやり直し

・二人同時にゴールしなければならない

・相手を傷つけるような煽り行為、暴言禁止

・拾ったアイテムは使えるがイベント開始前まで所持していたアイテムは使用不可

・錬金術師はアイテムがないと調合等出来ないので錬金術師のみ調合アイテムだけは使用を許可する


 と、大体はこんなルール。


「へぇ。アイテムは拾ったもの限定……。なかなかに厳しいね。一気に私の戦力が無くなってしまった」

「あー。爆弾頼りだもんな。ま、私に任せとけよ戦闘は。ただ……死ぬなよ」

「私はまず生き延びることに全力を捧げようか」


 厄介なのは二人同時にゴールすることと、片方が死んだらもう片方も強制的にスタート地点に戻されるということ。

 なかなか厄介なルール設定だぜ。離れていてもいいが、ゴールするには合流する必要があるということ。

 二人一緒に行動する必要があるのがな。分散したら合流するのに時間がかかる。


「複数のプレイヤーに分かれてそれぞれ迷路に振り分けられてるみたいだねェ。フレンドメッセージ機能はもちろん使用不可。ふぅん……。まぁ、二人で常に行動というのも面白いだろう。早速行こうか」

「そうだな」


 私たちは森の中に入っていった。

 森の中は霧が深い。前が見えず、私たちはお互いの服を掴みながら前へ進んでいく。

 すると、開けた場所についた、が。


「ふむ、来た道を戻ってきたみたいに思えるねェ」

「霧のせいで位置間隔が分からねえな……」

「勘でどうにかなるかい? ゼーレ君」

「いや……どうにもなんねーだろ。勘とかに頼ってちゃ先に進めねえぜ」

「ふむ、となるとまずはこの霧の攻略を考える必要がありそうだねェ。まぁ、ここで時間を食うのは無駄ではないだろうね。この攻略法さえ分かれば死んだ時、ここで詰むことがなくなる。無駄をどんどん消していこうか」


 ということで、まずはこの霧の森を攻略することになったのだった。

 私たちは中に入ってみる。木に触りながら前に進むが、また同じ場所に戻る。


 今度は整備された道ではなく、茂みをかき分けて進んでみる。が、また戻ってきてしまう。


 そして、来た道を戻ってみるが、それもまた戻ってしまう。


「ふむ、仕組みがわからないねェ。もし戻ってくるのならこういう道になっていないと辻褄が合わないが……」


 と、見せてくるのはぐにゃりと曲がった道が描かれている地図。


「それはないだろ。私たちは真っ直ぐ進んでるんだ」

「私もないとは思っているよ。何か不思議な力で戻されているようだねェ。突破はまだ時間がかかりそうだ」

「手がかりもないなら流石に考察はできねえか」

「そうだねぇ。あまりにも手がかりが無さすぎる。せめて偶然でも一度突破できたら考察は出来るのだが……。今の我々には数々の可能性をしらみつぶしにしていくことしか出来ないだろう」

「気が遠くなんな……」


 私たちは迷いの霧の中に入って行く。が、何度試しても、何度行っても同じ場所に戻ってきてしまった。

 途中で分岐点などはなく、一本道。もしかしたら違う場所?という考えもあったが、それも試してみて否定された。


「ふむ、ありとあらゆる可能性は潰してきたつもりなのだがねェ。分からない……ふふ。分からないというのは随分と久しぶりで心躍るじゃないか!」

「テンション高えな……」

「ゼーレ君、他に試してないことはあるかい? こういうのは私一人ではなく、二人で考えよう。新たな発見があるかもしれない」

「試してねえとしたら……そうだな」


 試してないこと、か。


「アイテム、とかか?」

「ほう?」

「この霧を突破するのに必要なアイテムが近くにあって、それがないと突破できねえ、とかはまだ試してねぇだろ」

「ふむ、たしかにそれもある。アイテムとは盲点だった」


 試しに近くにある草を使って薬を作って飲んでみるが、特に効果はなし。


「もしかすると、鑑定スキルがあった方が良かったのかもしれない」

「流石に私は持ってねえな」

「だろうねェ。だがしかしまぁ、数々の可能性を潰してきた我々が言えるのは、アイテムを使うということが必須条件となる。何のアイテムが必要かはわからないがね」

「こういうのは大抵目立つような花なんだよな」


 と、私は付近を見渡すと、森の入り口の近くにピンク色の花が咲いていた。

 私は花を摘む。その瞬間。


「うそ、霧が晴れた……?」

「ふむ、私はまだ霧があるが」

「この花持ってみろよ」


 ニョキっと生えてきた花をもう一度摘み、アルテミスに手渡す。


「ほほう! この花が突破する条件とは! なんとも不可思議! いいねぇ。実にいい。このままこの気分のまま進もうではないか!」

「テンションいつにも増してたっけぇ……」








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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
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