助けてくれてありがとう
サンキウの薬草はすぐに見つかった。
というのも、自生している畑があり、そこにたくさん生えていた。
サンキウの薬草はヨモギに近い見た目をしており、試しに一つ食べてみると、ヨモギの味がする。
「これ餅とかにしたらいいかもな」
「ヨモギ餅ですか? いいですねぇ」
私たちも持って帰ろうとすると。
「へぇ。これはエリクサーの材料になるらしいねぇ。今レシピが手に入ったよ」
「そうなのか」
「今まで材料がわからず作れなかったが……。これでエリクサー作りに着手できるね。悪いが種も持って帰って育ててみようか」
「わかった」
きっと種はこの葉っぱについてる細かな粒みたいな奴だろう。
取り分けてみると、サンキウの種というものが手に入った。私たちはサンキウの薬草をどんどん摘んでいく。
「ああ、ワグマ君に頼んでみよう。薬草を育てる部屋が欲しいと。余っているだろうか!」
「随分とテンション高いな」
「エリクサーは私も作ってみたかったからね。ついにレシピを手に入れた。これほど嬉しいことはないねェ!」
「そうかよ。ま、そういうことなら貰えんじゃねえのもう一室。あと一部屋余っていたはずだしよ」
「ふむ、まぁ、君がそういうのなら貰える前提でいようか」
サンキウの薬草を十分集め終えたので、私たちは戻ることにした。
少女を再びピーチクに乗せ、有翼人の村に舞い戻る。
「お姉さんたち、ありがとう!」
と、元気に走っていった。
私たちもそろそろワグマを見つけようと再びカイゼルに乗ろうとすると声をかけられる。
「うちの孫をありがとのぅ。これ、お礼の品じゃ」
と、髭を蓄えた垂れ目の男性が髭を摩りながら何かを手渡してきた。
それは何かの巻物のようで。
「それは錬金術師の全てが書かれておる巻物じゃ。見たところ、そなたが錬金術師みたいじゃからのぅ」
「よくわかったな。自己紹介もしてねえだろ」
「わしだって昔は錬金術師をしておった。経験からなんとなく分かるんじゃよ」
ほう。
「うちの孫を助けてくれてありがとのう」
と、お礼を受けた。
私はもらったアイテムをアルテミスに投げ渡す。アルテミスは受け取り、巻物を広げたのだった。
「いいことはするものだねェ。おかげでこんなものが手に入るとは。神様はいるのかもしれない」
「何を馬鹿なことを……。信じてもいねえくせに」
「はっはっはっ。まぁね。神はあくまで人間たちが創り出した偶像でしかない。何かに縋りたいから全知全能の神というものを生み出したのさ」
「ラプラスが聞いたら怒るぞ」
「それはそうだろうね! だがしかしまぁ、信じるも信じないも人の勝手なのだよ。さて、立ち話は後にしてワグマ君ところに向かおうか」
「そうですね。ですがどこにいるんでしょう。私たちが一番乗りで飛び出しましたから……」
「ま、適当にいきゃみつかんだろ」
私はカイゼルに跨る。
そして、天をかけていき、地上を探す。ワグマたちはどこを冒険しているのか。
すると、ミナヅキとハーレー、キャツラとモンキッキがいた。
「お前、なにそれ……」
「テイムした。便利だぞ。移動に」
「すっげえガタイがいい馬っすね……。翼生えてるし……」
「天馬というやつかな? 君はつくづく想像を超えてくるね」
と、呆れられていた。
「みなさんもテイムできますよ。群れの居場所は私メモしてますし!」
「どうするよ」
「うーん。いたら便利だろうけど」
「テイムしてみるっすか?」
「そうしましょぉ?」
四人ともテイムするようだ。
ピーチはピーチクに乗りながらついてこいと四人に言った。
「乗せてくれよ」
「無理。このカイゼル、私以外乗せようとしねえの」
「じゃあそっちのユニコーンは?」
「同じ理由で無理だねェ」
プライドが高いからな。
「しょうがない。走るぞ」
「えぇー!」
と、走ってついていくようだ。