空に翔ける
カイゼルの背にまたがり、有翼人の村に戻ってきたのだった。
宿屋に行く前に、私たちは尊重を訪ねようとすると、私たちを見かけた村長が驚いた顔でこちらに駆け寄ってきたのだった。
「ゼーレ殿! なぜカイゼルペガサスをお連れに!?」
「ん? ああ、テイムしたんすけど」
「なんと……!」
「村長、そちらはエンプレスペガサスです!」
「二頭のボスが両方とも人の仲間に……?」
驚きを隠せていないようだった。
「なんか神獣的なものでしたか? テイムしてすいません……」
「いや、いいのじゃよ! だが、珍しいのは確かじゃな。カイゼルとエンプレス。皇帝の異名をもつだけあり、そんじょそこらの人には懐かん。テイムすることなど夢の夢じゃった」
「そうなんすか」
「おお、従えることができた人を見るのは初めてじゃ……!」
と、感涙していた。そこまでかよ。
私はそんな村長にものを頼む。
「鞍とかつけたいんだけど物あるっすか」
「お、おお! 鞍じゃな。あるぞい! 今すぐ持ってこさせよう! 三匹分じゃな?」
「うっす」
「持ってきて取り付けさせよう!」
と、そばにいた人に鞍を持ってこさせて、鞍がもってこられ、そしてカイゼルたちに鞍がつけられたのだった。
私はまたがり、手綱を握る。カイゼルは元気よくいななくと、走り出したのだった。それについてくるエンプレス。私たちは空を走っていた。
「なぁ、アルテミス。カイゼルたちにテイム条件あったのかね?」
「そうだと私は思うねェ。なんらかのステータスが条件となっているのか……。はたまた、スキルか。まぁ、なんにせよテイムできたのは幸運だったじゃないか」
「そうだな。ま、このまま飛んでワグマたち探そうぜ」
「そういや別行動でしたね。ワグマさんたちも何か見つけたんでしょうか」
私たちは空から地上を見下ろしてみる。ワグマたちの影は見えない、が、なにやら魔物のようなものに襲われている人がいる。
でかい熊に追いかけられている有翼人の女の子。
「カイゼル、助けようか」
「ヒヒン」
カイゼルにそういうと、カイゼルはそちらの熊のほうに飛んでいく。地上に降り、走って熊を追いかける。
熊に追いつくと、カイゼルはそのまま一発足で熊を蹴った。私はカイゼルから降りて、右手を黄金に変える。そして、そのまま熊をぶん殴った。火力だけは高いので、一撃で沈めることができ、熊は毛皮などをドロップして、消えていく。
「よぅ、無事だったかよ」
「あ、ありがとうございます!」
「なんでお前さん熊に追いかけられてたんだよ」
「あ、えっと、実はこの先にある薬草が欲しくて……」
「薬草?」
「私の母が重病なんです。この先にあるサンキウの薬草がないと治らないって村の医者が言って……。取りに行こうとしたら、グリズリンの生息地で……」
「なるほど。で、採れたのか?」
「いえ……。ま、また行きます」
「無茶すんなよ。私も付いて行ってやるからさ」
「い、いいんですか?」
「おう。目の前で死なれても寝ざめが悪いからな」
まぁ、見ちゃったし無視するわけにもいかねえし。私はそこまで人の心を失っちゃいない。
追いついたアルテミスたちに事情を話すと、納得したようで、私たちは一緒にサンキウの薬草を採りに行くことになったのだった。
私はペガサスに乗せようとしたが、ペガサスは私以外を乗せないのか、強く反発して、エンプも同様だったので、とりあえずピーチクに乗せた。
「それで、サンキウの薬草はどこらへんにあるんですか?」
「えっと、この森をまっすぐ行ったら開けた場所があって……そこに」
「わかりました。飛んでいったほうが見つけやすそうですね」
「そうだな。カイゼル、空から探そうぜ」
そういって、再び空を翔けるカイゼル。空から探すとあっという間で、開けた場所があった。森の中の開けた場所。
そこに私たちは着地し、そのサンキウの薬草を探すことにした。