ゾンビ鳥
まず大事なのは周囲の探索。
地理的な関係もそうだが、敵の強さも把握しておくことは大事。私はアルテミスから爆弾を数個だけもらい、投げる練習をしてみるが。
「やっぱアルテミスのように計算して投げるのは無理だろ。やっぱ着弾式が一番扱いやすいわ」
「まぁ、物理法則の計算を瞬時にやるのは難しいものさ。それより、私としてはピーチ君の武器が気になるねぇ。魔導銃、だったか。この世界に銃を作れる化学力があるとは驚きだね」
「あはは。なんか武器リストにあったんで知り合いの生産職に作ってもらったんですよ。小さいころから射的は得意だったので」
といって、ピーチは狙いを定め銃弾を放つ。
もちろん銃弾は魔力を装填するので、弾を買う必要はなく、撃つたびに自分のMPがちょっとずつ減っていくという仕組みらしい。
一種の魔法攻撃みたいなものなのだとか。
「ふぅん……。興味深いね」
私たちが話していると、上からぽたぽたと何か液体のようなものが垂れてくる。上を見ると、でかい鳥が私たちの上を羽ばたいていた。
鳥というには少し不気味な見た目をしている。ところどころ骨が見えており、まるでゾンビのような鳥だった。
「んだこの鳥。ゾンビ!?」
「ここまででかいと……相当厄介そうだねェ」
「が、がんばりましょう!」
私たちは戦闘態勢をとる。
ゾンビのような鳥はその足で私をつかもうとしてきた。私は逆に足をわしづかみ、そのまま地面にたたきつける。
「ゼーレ君。巻き込まれたくないなら離れることをお勧めするよ」
と、アルテミスが言うので、私はすぐにその場を離れる。すると、ゾンビ鳥は空を飛んで、投げられた爆弾をかわそうとしていた。
だがしかし、その瞬間、爆発が起きる。
「いやぁ、さすがだ。ピーチ君。狙撃して起動させてくれるとは」
「えへへ。ありがとうございます。動体視力だけはいいので。まだあの爆弾一発で倒せるとは思いませんし、気が抜けませんね」
「そうだな」
体から妙な液体を垂れ流しているゾンビ鳥が再び起き上がり、またこっちに攻撃に来たのだった。ピーチは慣れたように銃で撃つが、ひるまずその足のかぎづめで攻撃しようとしてきた。私は鉄球をたたきつけ、攻撃の軌道を逸らす。
「た、助かりました!」
「近距離なら私は大得意だから守りは任せろ」
「はい!」
「ゾンビ鳥君。これでも受け取りたまえ」
爆弾が複数個投げられ、一つが体に当たって爆発。ゾンビ鳥はあまたもの爆弾の攻撃を受ける。
ぷすぷすと体が焦げていた。だがしかし、しぶとい。
「コケエエエエエエ!」
「死ね!」
捨て身で突進してきたゾンビ鳥。私は黄金武装で金ぴかな足になり、そのまま鉄球をぶつけたのだった。
ゾンビ鳥は近距離戦で私と撃ち合い負け、そのまま、地面に墜落し、消える。素材をドロップしたのだった。
「ふむ、なかなかおいしいねぇ。経験値としてはものすごく得られたようだ。ボスモンスターというやつだろうねぇ」
「何とか倒せましたね。よかったよかった」
「よかったのか? いきなり襲われるって幸先悪くねえ?」
よくないだろ。