天貫山
家に帰っていざログインということになった。
月能も素材は集め終わったということで、帰ってきて素材を手渡した。すぐに飛行船づくりに取り掛かるといって、翌日。飛行船が完成していた。
バカでかい飛行船。私たちは飛行船に乗り込む。すると、ふわぁと地上を離れたのだった。
「すっげえ! 浮いてる!」
《ヘヴンレイへの飛行船が使用可能になりました》
そういうアナウンスが聞こえ、私たちはとうとうヘヴンレイにいくことになったのだった。
ヘヴンレイはニライカに近い山で、雲を突き抜けるほど高い山、天を貫く山ということで天貫山と呼ばれているらしい。
天貫山の頂上には背中に翼を生やした有翼人が住んでいるのだとか。
「うっほぁ! すごいすごい!」
「空の旅ってのも悪くないね」
「これは絶景ですね!」
と、私たちは窓の外の景色を眺めていたりして、ヘヴンレイ到着まで待っていた。
飛行船が止まり、おじいさんがついたぞという。私たちは外に出ると、そこには背中に翼を生やした人たちが住んでいる村があった。
人の数はそこまで多くないが、農業などにいそしんでいるようだった。
「おや、客人かね」
「そうっす」
「ほっほっほ。ようこそ、有翼人の村へ。歓迎しますぞい」
と、白いひげを蓄えた爺さんの背中にも翼が生えていた。
翼は少し小刻みに動いている。どうなってんだろうな。そもそも、人間に翼があったところで空が飛べるのか?
「早速出申し訳ないのですが、宿屋というものはありますでしょうか」
「あるぞい。一軒だけじゃがな。案内しよう」
私たちは宿屋に移動する。しばらくの間の拠点となるらしい。
三部屋程度借りて三部屋をわけるということになった。男たちで一部屋、私、オイリ、ワグマ、アルテミスで一部屋。ピーチ、ラプラス、デイズ、キャツラで一部屋。
まずは私の部屋に全員集まり、ワグマが指示を出す。
「まぁ、ともかくいうことはありません。各々好きなように探索してください。この有翼人の村周辺では鳥系の魔物が多いようですので、遠距離攻撃できる人と行動したほうが良いかもしれませんね。また、まだ山を登ることができまして、真の山頂にはボス級の強さがある魔物がいるらしいです。くれぐれも気を付けてくださいね」
ワグマが言ったのはこの周辺の魔物のことなど。
鳥系の魔物が多いっていうのも理解できる。ここに来れるのは鳥ぐらいしかいないだろう。あとはドラゴンとかそういう空を飛べる魔物。
遠距離攻撃か。私は遠距離攻撃がそこまで得意じゃない。接近戦に特化している分、遠距離攻撃二は乏しい。
「となると、ピーチ、アルテミス。一緒に行動しようぜ」
「ふむ、だろうね。ゼーレ君は遠距離技を持っていないのだからそう来るとは思っていたよ」
「いいですよ! まずはどこいきましょう!」
「まずは……。ま、近くの探索だな」
具体的にはどういう魔物がいるかは知っておきたいしな。