月能さんって何者ですか?
ゲームにログインし、私たちはとりあえず一足先に素材を手渡しておいた。
あとはキングモス班の到着を待つだけ。私たちはそれまでニライカで暇つぶしすることになったのだった。
「ゼーレさん」
「ん? なんだよピーチ」
「目、大丈夫ですか?」
「ゲームだから大丈夫だろ」
「いえ、ゲームと現実の感覚が違うのは大丈夫かという意味でして」
「あー」
そういうことか。
たしかに、感覚が違うから少しやりづれえってのはあるが、まぁ、これに関しては慣れだと思う。
「今まで両目で見てきたし今更だ。たしかに感覚に差異はあるが、そこまで気にするほどじゃねえかな」
「そ、そうですか。ならよかったです!」
ピーチは心配性のようだ。
「キングモス班のほうはまだなんでしょうか」
「そういや報告受けてねえな」
私たちは一応、木材のほうは終わったと報告したが、ワグマのほうからそういう報告はない。だからまだ戦っていて集めている最中だろうな。
数も80と多いし。
「まぁ、数が多くて手間取ってんだろ。あいつらが終わるまで何して暇つぶしするか……」
「あ、暇つぶしなら食べ歩きしませんか? ゲームでの醍醐味って戦闘や生産などもあると思うんですが、食事も楽しめると思うんです!」
「食事か、いいかもな」
「ちょうどいい店を以前見つけたので行きましょう! ニライカは海の街なので海鮮系がおいしいんですよ!」
と、私の手を引っ張り、たくさん屋台が並ぶ屋台街につれてきたのだった。
たしかに牡蠣やホタテなどが売られているし、魔物の魚の串焼きとかも売られている。とてもこうばしそうでおいしそうなものばかりだった。
私たちが何食べようか話していると。
「あら~。奇遇ですわね~」
「フロルアージュ?」
「はい~。その節はどうもありがとうございました」
「あ、いや、いい。私の影が迷惑をかけたな」
「いえいえ。仕方ないですよ~。あ、そうだ。それよりワグマさんはいらっしゃらないんですの? 少々話したいことがあるのですわ」
「ワグマはちょっとやることやりに東のほうにな。いつ戻ってくるかはわからん。伝えておきたいことなら伝えておくが」
「そうですわね~。なら、音声通話をつなげていただけますか~」
というので、私はフレンド一覧からワグマの名前をタッチし、音声通話を始めるという項目をタッチする。
ベストフレンド設定するとこういうことができるらしい。少しのコール音のあと、ワグマが応答した。
『なんですか? ゼーレ』
「こんにちは~。聞こえておりますか~」
『あ、ふ、フロルアージュ。どうしたんですか?』
「私とフレンドになりませんか~?」
『あっ、いいですよそれくらいならば!』
「ふふ。そんな堅苦しくなくていいんですのよ~。ではフレンドコードをいいますので、申請してください~」
フロルアージュはフレンドコードを口頭で述べていく。ワグマは通話先で必死にメモしているに違いない。
フロルアージュはそれだけといい、通話を閉じてもよいといった。
「ワグマ、あとどれくらいかかる?」
『そうですね……。あと30なのでまだ少しかかります』
「わかった」
私はそう言って通話を切った。
「あのー、前々から気になってたんですが、ワグマさん……もとい月能さんって何者なんですか? ただものじゃないですよね?」
「あー、有名な阿久津家のご令嬢だぞ」
「え」
阿久津家はさすがに知っているらしく。
「え~~~~~~~!?!?」
と、驚いていた。