フコクからの勧誘
私はフコクたちと少し話した後、下に降りる。
下ではハツネは出来た!といって完成品を掲げたのだった。そして、私のところに持ってきて、どうぞと渡してくる。
出来上がったのはCランクの武器の根性の包帯というものだ。この包帯を巻き付けることで威力が上がるらしい。
「ん、ありがとよ」
「いえ!」
私はお金をまず取り出した。
「いくらだよ」
「えっ、お金なんていりませんよ! 私が誘ったんですからっ!」
「そうだな。それに、先ほどのこともある。金は無用だ」
と、フコクが告げる。
無料、無料か。そういうのはな……。
「無料って言葉が嫌なんだよ私は……。だから金払わせろや!」
「なぜに!? ま、まぁ、そうですね……。では100グランで……」
「わかった」
私は100グランを取り出しハツネに渡す。
これで交換だ。
「……蒼眼の死神殿。提案があるのだが」
「提案?」
帰ろうとするとフコクがそう話を切り出してきた。
その目は真剣。
「貴殿の強さは身に染みた。どうだろう? フコククランで用心棒として入ってくれないだろうか。もちろん、毎月給料は出すし、悪い待遇はしない。先ほどのような奴も現れるからそういうときに用心棒として貴殿が欲しい」
という勧誘だった。
用心棒として雇われろということ。たしかに今後あんな奴が来たら困る。金を払わず逃げるような奴はろくでもない。ろくでもない奴は基本暴力沙汰が得意。
ろくに戦えないこいつらじゃ割と勝機はないかもしれない。だから用心棒を、というのはわかる。わかるが。
「すまねえな。私はもう友人と組んだクランがある。入ることはできねえよ」
「……そうか。無理を言うわけにもいかないからな。話を聞いていただき感謝する」
「ああ。ま、フレンドにはなっておくから困ったら呼んでくれ。近くにいたら駆けつける。あと、素材とか集めてほしい時があったら手が空いてたらうちのクラン、クライノートで受け付けるぜ。もちろんそれ相応の金はいただくけどな」
「ああ。それでいい。フレンドになろう」
私のフレンド欄にフコクという文字が追加された。
フレンド欄を閉じようとすると、オイリとワグマの名前に明かりがともる。二人はログインしたようだ。
「私の友人もログインしたし私は行くよ。ありがとさん」
「こちらこそ」
私は玄関から出てあいつらのもとに向かう。
二人は私を見ると、駆け寄ってきた。
「よぅ、お目覚めかよ」
「はい……。薬を嗅がされて気絶してたみたいですね……。こういう危険があるから車なんです」
「今回は運転手もろとも気絶させられてたから避けられなかっただろ」
「あなたは無事だったじゃないですか」
「そりゃ私も狙われたから返り討ちにしたまでだ。ったく、手間かけさせんじゃねえよ」
おかげで警察の人にゃゲンコされるわで散々だ。
「それだけで済ませるなんてやっぱ私たちのこと好きなんだねぇー!」
「うるせえオイリ。おめえを気絶するまで殴ってもいいんだぞ」
「すいませんでした」
「ったく、あまり私をワグマの家に行かせんなよ。金持ちの家はどうも息が詰まって嫌になんだからよ」
「あなたたちは別に無礼講ですよ? 家のものを破壊しても別に大丈夫です。二人は私の親友ですから」
親友ねぇ。