モンキッキ
とりあえず、全メンバーが拠点に揃っていた。
ワグマはみんなの前に立つ。
「ニライカは約束通り向かいました。ならば、次はヘヴンレイでしょう」
「いいよー! 私海見て満足! 今度天使ちゃん見たい!」
「天使ってより有翼人だよな?」
「そうらしいね。ただ、懸念する点があるとするならば……」
「高さっすよね……」
翼が生えているということは翼を必要としている種族。ヘヴンレイがどのような高さに位置する街なのかがわからないし、私たちは空を飛ぶ手段がない。
「ヘヴンレイに向かうための航空便とかあればいいんですけどねっ!」
「それなら私心当たりあるぅー!」
「本当? 聞かせてみて……」
「海の街ニライカでねぇ、魔道飛行船を操縦していた人がいて、ヘヴンレイまでいってたそーなんだよねぇ! 飛行船壊れたから運行してないけど、飛行船が欲しいって……」
「またニライカに戻るんすか!?」
「はっはっは! その話はニライカですべきだったねェ! どちらにせよヘヴンレイに行くためにはニライカに行く必要があったわけだ。となると、私たちの選択は正しかったと言えるね! 素晴らしい!」
またニライカか。
とりあえず、キャツラの話が本当ならニライカに再び行く必要があるな。
「じゃあニライカにまた向かうか?」
「その前に〜、王都で私準備するものあるから!」
オイリがそういうと。
「俺も……あるな。少し待ってくれ。あと一日でいい。新しい槍を依頼して明日できるそうなんだ」
「なら先行ける人で先行ってクエストでもこなす? そっちの方が効率いいでしょ。王都に用事ある人たちだけ残ることにしてさ」
「そうですね。そうしましょう。では、王都に残る組は手を上げてください」
オイリ、ハーレー、モンキッキ、デイズが手を上げる。
「モンキッキとデイズも?」
「私、上級職になれるってモンキッキさんから聞きまして! ついてきてもらうんです!」
「というわけっす。俺、これでも情報屋なんで。ああ、もちろんクライノートのメンバーからは金取らないっすよ?」
「知ってますよ。モンキッキは意外と律儀ですから。いつも売り上げの50%を貰ってるんです。別にもう良いのですよ? あなたが手に入れたものなのですから。上納金みたいに払わなくても」
「いやぁ、俺、クライノート……ゼーレさんに全然貢献出来てないっすから。せめて金だけでも、と」
「ふむ……。そういや私モンキッキから情報聞いたこと一つもねえな」
むしろそういうイベントに何もしなくても出会してるからだろうが。
「モンキッキってなんで不良の仲間になってたんだよ。お前そんな悪い奴じゃねえのに」
「あー、成り行きっていうか……。俺妹いるんすけど、俺いたとこのリーダーが俺の情報収集能力に目をつけて、妹を盾にされたんすよ。俺は別に不良に憧れてたわけでもなくて……。そっちの世界に行ってから毎日怪我しないように立ち回ること以外出来なかったんす。まぁ、ゼーレさんには殴られたんすけど」
「私そっちの事情知らねーし」
知らないんだからみなまとめて殲滅するだろ。
「まぁ、悪かったよ。色々と」
「……うす!」
「青春だねぇ〜」
「キャツラ。煽らないでほしいっす!」
モンキッキはもう信用していいかもしれないな。
「あー、だがよ、ひとついいか。モンキッキ。テメェ俺らの情報を流してるって噂もあるぜ?」
「…………」
「ふぅん……」
「ちょ、なんでそのことを……」
「へぇ、事実か。小耳に挟んだ程度の噂だよ」
と、ハーレーが意地悪く笑う。
「その点に関しては問題ありませんよ。私が許可をしてます。それも儲かりますし。まぁ、重大なこととかは言わせてませんよ。それに、PKが来たとしても、戦えるメンツの人たちは充分強いでしょう?」
「ワグマが認めてるのならいいんじゃないか? ただ、こういうのは先に言って欲しかったね」
「す、すまないっす……。ただ、お二方に関しては情報操作もさせていただいてるんで!」
と、ハーレーとミナヅキを見て言った。
「お二人ともアイドルのそっくりさんってことにしてるんすよ。超そっくりだけど別人だって。アイドルってバレたら面倒なんすよね?」
「そりゃ……」
「ふむ、お前のおかげだったのか」
「そうですね。天下のアイドル二人がこう素顔を晒せるわけがありませんから」
そうだ、忘れかけてたがこいつらアイドルだ。いや、忘れかけてたというか忘れていたが。
「お前らそういやアイドルだったな」
「そういやって……」
「へぇ。そうだったのかい。やけにそっくりだなとは思っていたが……。身近に芸能人がいたとはね」
「……賢いくせに鈍感な女」
「はっはっは! 賢いと褒めてくれて何よりだよラプラス君」
「むっ……」
「とりあえず、もうこの話はやめにしようっす! ね? ほら、ニライカに行く人は行った方が……」
「そうだな。私は先向かうぜ」
ニライカに行って、適当に釣りでもしていよう。