闇の謎
船が近づいてくる。
ワグマは驚いた顔をしてこちらを見ていた。私たちはそのまま、水面に激しく打ち付けられたのだった。
水柱を立て、海になんとか着地。ぷはっと海面から顔を出す。
「なぜ空から降ってくるんですか!?」
「いろいろ訳あんだよ!」
「それは後で聞きますわー。それより、アルテミスさんはどうしたんですの?」
「え? いない……?」
と、隣にブクブクと気泡が浮いてきていた。
「あいつ泳げねえんだ!?」
私は潜ってアルテミス救出に向かう。
アルテミスは泳げない人特有のもがく行為をしており、そのおかげでどんどん沈んで行っているようだ。
浮くためには何もしないということが大事なんだよ。
私はアルテミスの手を取り、上に引っ張り上げる。
「助かったよ」
「今ロープのはしごを垂らしたのでそちらから上がってきてください~」
「おう」
私はアルテミスを連れて泳ぎ、甲板の上に上がる。
すでに日が暮れており、探索に数時間かかった。
「それでなにがあったんですの?」
「いや……帰ろうとしたときに無数の手に祭壇らしき場所に引きずり込まれて、マンモスと出会って戦ってたら男の邪魔が入って……ボコってた」
「男? ここ無人島じゃないんですか?」
「無人島だよ。あの男は外部から来たみたいだ」
「マンモス!? 見たい見たい!」
「また戻ることになるのはめんどくせえよ……」
私は起きたことを事細かに話す。
「始祖獣……。ガイアマンモスですか」
「ああ、確かにそういっていた」
「マンモスがいるってことはここは古代の島なのですね~。ふふ、神秘的ですわ~」
そうか?
「んで、お前らも上陸すんのかよ」
「マンモスが魔物のくせになぜか敵対しないっていうのでしょう? こんな闇の中なのに」
「まぁ、そうだな。暴れてたのはなんか理由がありそうだったが……。最後は友好的にはなっていたな」
「それが気になるんですよね。アルテミスの仮説だと」
「魔物はこの闇のせいで狂暴になるだろう? どうやら、その仮説をもう一度考え直す必要があるみたいだ」
「うーん。もしかして効かないのもいるんじゃない? ゲームだからさすがにテイマーにテイムされてる魔物は絶対狂わないだろうしねー」
「メタ的な話をするとそうだよな」
ゲーム的な話をするとそうだ。
テイマーがテイムしている魔物が狂ったらテイマーは戦えなくなるし、狂う条件というものがあるのかもしれない。
「ふふ、あなた方はこの世界の謎を解こうとしてるのですか~?」
「気になるだけですよ。この闇がどういうものなのか」
「そうなんですのね~。私もこの闇が何なのかはいまだに理解できておりませんが、一つ言えるのは……我々に対する救いではないということでしょうか~」
「だろうな。うれしいものでは決してない。この闇のシステムは」
「これはうちのものが得た情報なのですけれど~。この闇はたまーに魔物をシャドウ化するみたいです~。シャドウになるとなんらかのステータスが超強化されてものすごく強くなるみたいですわ~」
「シャドウ化? 出会ったことないから知らなかったな」
「ふふ、たまにですからね~」
シャドウ化……。
なんらかのステータスが超強化されるって……確かに我々にとってうれしくはないかもしれないな。
すると、その時だった。天から私のほうになにやら黒いものが飛んできた。その黒いものは私を包み込んでしまったのだった。
《スキル:シャドウ を取得しました》
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