男とマンモス
でかいマンモスが私たちの行く手を阻む。
そのマンモスは私たちを見つけると、突然その長い鼻をたたきつけてきたのだった。
「これ倒せるか?」
「わからないけどやってみるしかないだろうね」
「本気で行くことにしよう」
私はとりあえず黄金武装。
たたきつけようとしてきた鼻を蹴って軌道を逸らす。
「パオーーーン!」
「効いてる」
痛がるそぶりを見せたマンモス。
だがしかし、その一撃が怒りを買ったのか、マンモスは私を睨んで、その巨体で踏みつぶそうと足を振り上げて、私めがけて振り下ろしてきたのだった。
私は鬼神スキルを発動。全力の力を込めて、足をぶん殴ると、あまりの痛さでのけぞったようだった。
「マンモスはやっぱ狂暴なのか?」
「いや……。今は世界が闇に包まれているというのもあるだろうね。この闇は魔物全部を狂暴にする」
「そうか。そうだったな今は」
マンモスも魔物か。
きついなこれは。
「パオーーーン!」
「ちぃ……」
戦えるメンバーがもう一人ほしいところだ……と思っていると、そういえば前に魔物をテイムしていたことを思い出した。
今こそ呼び出してみるか。
「カイザー! いくぞ!」
と、カイザーレオを召喚してみる。
ゴリラの体躯のライオンが現れた。しゅしゅっとシャドーボクシングをしている。そして、マンモスを見ると、やる気が出たようだった。
「ガルルガァアアアアア!」
「カイザー、やろうぜ」
「ガルァ!」
カイザーはいきなりマンモスの足に渾身のパンチ。
マンモスは足が折れたのか、そのまま地面に倒れ伏せる。だがしかし、その長い鼻を使ってカイザーレオをたたきつけたのだった。
「次は私の番だ」
私は足についた鉄球を思い切りたたきつけた。
「パオーーーン!」
マンモスは痛がり、そして、攻撃の手を止めていた。
泣いている。目から涙があふれだしている。なんだかそれはマンモスの悲痛な叫びのように感じて思わず手を止めてしまった。
カイザーも手を止める。
「ガル……?」
「様子がおかしいねェ。魔物と会話出来たらよいのだけれど、私たち人間はそういうことはできないから何が言いたいかはわからない」
「パオォオン……」
一体何なんだ?
私たちは戸惑っていた時だった。後ろのほうに気配を感じる。ざっざっと足音を立ててやってきたのは人間だった。
モノクルをかけて、気持ち悪い笑みを浮かべている男。男はマンモスに近づこうとする。だがそれをやってはいけないような気がして。
「死ね」
私は黄金で武装した鉄球を男にたたきつけた。
「まだ推定無罪だろうその男は」
「いや、なんか嫌な予感がしたんだよ。近づけさせちゃいけねえ気がして」
「疑わしきは罰するのかい?」
「そっちのほうが煩わしさはねえ」
私は吹き飛んでいった男を追い、追撃に向かう。
男はナイフを構えており、何かするつもりだった。だがしかし、その脅しは私には効かない。私はもう一度、鉄球をプレゼントしてあげた。
「ぐふっ……。私はお前らには何もしてないのに……なぜ邪魔をする……!」
「気に食わねえから」
「その程度の理由で……。私の邪魔を、するなぁああああ!」
と、男は背中に翼を生やし、肉体の筋肉が膨張し始めて、皮膚が赤く染まる。血管がちぎれそうなくらい浮き出ており、いかにも化け物といった見た目になったのだった。
「お前らが俺様の邪魔をしなければ死ぬこともなかったのに……。死ねぇ!」
と、殴り掛かってくる。
私は躱して蹴りを加えた。
「喧嘩なら私の領分だぜ。かかってこいよ」
化け物との喧嘩の始まりだ。




