通せんぼ
翌日、私は朝起きる。
「学校行かなきゃな……」
「何言ってるんですか。あなたは停学中でしょう」
「そうだった」
と、ベッドの横に月能がいることも慣れた。
朝はやっぱねみぃ……。私は起き上がり、パジャマから着替える。バスローブみたいなパジャマを脱ぐと、月能が。
「可愛らしい下着付けてますね」
「おう。衣織が選んだのだ」
「衣織、こういうのはセンスあるんですけどねぇ」
「ネーミングは本当に謎だよな」
他愛のない話を続けていた。
私はいつも通りTシャツにジャージとラフな格好にすると、月能が。
「あなた、いつも服装は適当ですよね」
「着れりゃいいしな。それに室内だし気にしなくてもいいし」
「もうちょっとおしゃれしましょうよ」
「興味な」
と言いかけたが考える。
オシャレか。
「いいかもな」
私がそう言うと、月能が目を見開いていた。
「んだよ」
「いえ……。興味ないというと思ってましたので」
「月能といるんならおしゃれも学んでおいたほうがいいと思っただけだよ……。まぁ、今の私にゃ服もそんなねえし出来ねえけど。後で衣織でも誘って選んでもらうかなぁ……」
「そうですね。では放課後行きましょうか」
「三人で?」
「三人で」
三人で再び買い物に行くことになった。
時間が来て、月能は行ってきますと告げて車に乗り込んでいった。私はその様子を見届け、ヘッドギアを被りログインする。
ゲームの中の空はとても暗かった。闇に包まれてるから当たり前だが。
「さて、闇の神に出会うってどうしたらいいかね」
そんなことを考えていると、私の前に剣が突き付けられたのだった。
目の前を見てみると、プレイヤー二人が剣を構えて、ここは通さないと抜かしていた。この私に喧嘩うるたぁいい度胸してるじゃねえか。
私は売られた喧嘩は買うまで。拳を構えようとすると、月能がやめろと言っているような気がする。ここはそうだな……。カルマ値をあげないようにするには。
「お前ら一発ぶん殴れや」
「そうか?」
「ならばお望みどおりにィ!」
と、剣が私を切りつける。
ちくしょう、それなりに食らうな。だがしかし、これで正当防衛というのが成立する。これでカルマ値があがらない。
先に手を出したのはそっちなんだからな。
「手を出さないほうが幸せだったのにな」
私は足を黄金で武装し、鉄球をぶち当てた。
男は吹っ飛んでいき、崖から落ちていく。私はあっけにとられているもう片方の男にも鉄球をぶつけてあげた。
鉄球の威力はすさまじく、一瞬で二人がやられる。
「うおー、すげー」
「お強いのですねぇ」
と、ひょいっと木の陰から誰かが現れた。
金髪の髪で、私と同じ青い目をしている女性。おしとやかな雰囲気のプレイヤーだった。
「あ、ああ。あんたは?」
「私は先ほどあなたたちに倒された方に通せんぼされていたフロルアージュと申します~。あなたのお名前も聞かせていただけると嬉しいですわ」
「ゼーレ」
「ゼーレ様! ふふ。いい名前ですね。ドイツ語で魂でしたか」
「よく知ってるな」
「ふふ。勉強しておりますから。ゼーレ様。ここで会ったのも何かの縁、ともに行動しませんか?」
「ん? ああいいけど、私昼から用事あるからそこまでいれないぞ」
「それまででよいので~」
と、いうことで私はフロルアージュとともに行動することになった。




