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球磨川

 私たちは駅前にある喫茶店で待ち合わせしていた。

 カフェラテを飲みながら、武宮……もといアルテミスを待つ。すると、白衣を着た見たことのある顔のやつが入ってきた。


「やぁやぁ。この世界でははじめましてだね。私は武宮 侑李(ゆうり)。よろしく頼むよ、ゼーレ君、月能くん」

「初めまして」

「私は花音だ。現実では花音って呼べよ」

「心得たよ。もう少しで球磨川さんたちも来るはずさ」


 そういうと私たちと同年代の女の子と、その女の子に連れられて少し若々しく見える婆さんが入ってきた。

 その婆さんは月能を見て。


「そっくりだ」


 と、呟いていた。


「初めまして。自分は球磨川家の長女、球磨川 (ゆき)と申します。年齢は15となります」

「ふふっ。阿久津 月能です。年齢は17で、3年生ですよ」

「やぁやぁ。お久しぶりだね。それと白露さん。来てもらってすまないですね」

「構わんよ。私としてはあの月乃とそっくりの女の子を見れて満足さ」


 これがあの柔道家か。

 体幹が今でもしっかりしているのがわかる。鍛え上げた肉体は年老いても衰えることはないのか?


「それで、そちらは誰でありましょう」

「花音、自己紹介」

「ん? あー、市ノ瀬 花音。よろしく」

「市ノ瀬……? 阿久津家でも夢野でもないのになぜここに?」

「阿久津家の一員なんですよ。これでも」

「……私はややこしい話は聞きたくないぞ」

「お婆さま。これは大事なことではありませんか?」

「花音君は少し色々事情があるみたいだからねェ。まぁ、話してあげなよ、月能くん」

「はい。とりあえず座って注文したらどうでしょうか」

「そうさせていただきます」


 三人は座り、それぞれコーヒーなどを頼んでいた。私も追加でカフェラテを頼む。


「それで、市ノ瀬殿はなぜ阿久津家だと?」

「端的に言えば、私の叔父の不倫相手との子どもですね」

「……月乃の息子が不倫していたのか?」

「みたいです」

「俄には信じ難いな。月乃しか見たことはないが……。月乃はそういうことを許さない厳しいやつだった」

「存じております。悪さをしたらすぐに怒られましたから」

「月乃は不倫を知らなかったのか?」

「知らなかった、みたいですねぇ。お婆さまにすら秘密にしていたみたいです」


 と、私のことで盛り上がっていた。私は窓の景色を見ている。話す内容なんて私にはないしな。


「そんな理由が……。市ノ瀬殿。すまない」

「気にすんなよ」


 私がそういうと、注文していたものが届いた。

 球磨川 雪の前にはたくさんのサンドイッチとオレンジジュースが置かれていた。

 レタスサンドにたまごサンドなどなどたくさん。ていうかテーブルの大体が埋まった。


「それ全部食うのか?」

「そうだが?」

「すげえ食うんだな……」


 と、ムシャムシャと口に含みはじめた。


「不倫して出来たとしたら、幸せではないだろう」

「そうですね。本人もそれを拗らせてました」

「おい。拗らせてねえよ」

「失敬。今も拗らせてます」

「……チッ」


 そういう話じゃねえよ。

 ここにいたらなんか嫌な気持ちになる。今すぐにでも席を立ちたい。

 すると、その時だった。後ろの席に座っていた男が突然テーブルを蹴り上げ、近くにいた女の店員をナイフで切りつけた。


「きゃああああ!」

「騒ぐんじゃねえ! はっはー! 一度人を殺して見たかったんだァ!」


 と、切られて気を失った女店員に馬乗りになり、ナイフを振り上げる。

 私は席を立った。


「月能、この喧嘩はやっていいだろ?」

「存分にやりなさい」

「あいよ」


 私はナイフを蹴り飛ばす。


「な、なんだてめぇ」

「人を殺してえんなら私がまずテメェを殺してやるよ」


 私は顔面を蹴り飛ばした。

 男は痛みで顔を抑える。私は胸ぐらをつかみ、壁に叩きつけた。


「花音、それくらいにするんですよ」

「……ちっ」

「あとは拘束です」

「しょうがねえな」


 私は逮捕術の要領で組み伏せる。


「強いんだな」

「なんとお強い……」

「そんなに強いとは何かやっているのか?」

「やってないはずだよ」

「伝説の不良を舐めないことですね」

「伝説の? もしかして彼女は蒼眼の……。青い目をしているから……」

「ふふ。そうさ」


 だから蒼眼の死神呼びはやめてもらいたいのだが。









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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 武宮 侑李?116話で月能に武宮 或手って名乗ってませんでした?別人?
[一言] 相変わらず強い!
[一言] ちょっとデジャヴを感じた
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