喧嘩が出来たので満足
テーブルを壊したことは茂治さんにもきつく搾られた。
テーブルを破壊するほどの力を込めていたのは反省した。今度からは壊さないようにするか。
「ふあーあ……。ねっみぃー……」
「朝弱いですねぇ」
「朝は誰だって弱いだろ……」
欠伸をしながら窓の外の景色を眺める。
登下校歩かなくていいのは楽ちんだな。何で思っていたら学校に着いたようだった。
「おっはよー! かのちーん、つきのーん!」
「朝強い人がここにいますよ」
「お前別クラスだろ」
何でここにいんだよ。
「お前自分のクラス戻れよ」
「だってまだ友達できてないしー? それより、ちょっとやばい情報手に入れたんだ」
「やばい情報?」
「なんかね、一年生が昨日、有名な不良高に喧嘩売っちゃったんだって。それでピリピリしてるらしいよ」
「昨日入学式なのにもうやらかしたの?」
「早いですねぇ。RTA更新しましたか」
「話によると、今日凸してくるとか……」
「…………」
なるほど。来るのか。
私はニヤリと笑う。月能は頭を抱えていた。
「っし、現実世界でそろそろ喧嘩がしたかったところだ」
「だめで」
「出てこいゴラァアアアアアア!!」
と、校門の方からたくさんの人数の男が押し寄せてきていた。
あいつらか。
私はすぐに下に降り、靴を履き替える。
「出てこねえと貴様らの校舎ぶっ壊すぞ!」
「出てきてやっただろコラ」
「あ? んだてめぇ。昨日のやつじゃねーだろ。女は……」
「うるせえな」
私は一発ぶん殴った。
殴ったことで、周りの奴らが私を敵と見做している。私は指を鳴らす。
こんな大人数は久しぶりだな。
「死ね!」
「テメェがな!」
私は顔面に思い切り蹴りを与えた。そして、ダウンした男生徒の足を掴みグルグルと回転。
やっぱ楽しい。この刺激が一番快感だ。
「私がいる学校に喧嘩ふっかけてきたのが運の尽きだぜ!」
「な、なんだこいつ! バカみてえに強え!」
「その青い眼……。金髪の髪……。お前蒼眼の……!」
「やっぱ知ってるか。ほら、かかってこい。私はお前たちの死神だぜ?」
「や、やべぇ! ボス、こいつやべえですぜ!」
「蒼眼の死神といやぁ……伝説の……。に、逃げるぜ!」
「逃すかよ」
喧嘩ふっかけてきておいて敵わないから逃げます、なんてのはつまんねえだろ。
私は近くにあった男のカバンをぶん投げる。そのカバンはボスと呼ばれた男の後頭部に当たった。
「全員、逃がさねえぜ?」
そして、全員をぶちのめしたとき、校舎から男の子三人が歩いてくる。
「な、なんだ。口ほどにもねえやつらだ。女一人に負けて……」
「てめえか、こいつらに喧嘩売ったの」
「あ、ああ! そうだぜ? だってダセェだろ」
イキってる割には声が震えているぞ。
ダセェのはどっちだか。
「それよりお前、強いんだな。俺の子分にしてやってもいいぜ? 何組だ?」
「誰がなるかよ。あと、てめえの先輩だ敬語使えやボケ」
「は? タメだろ」
「先輩だつってんだろ。殺すぞ」
「や、やってみろ」
「わかった」
私は男の後頭部を掴み、叩きつけようとした。すると、男はひいい!?と情けない声を出してビビっていた。
チキン野郎が。
「な、なんだてめえ! 子分にしてやるって……」
「だからならねえつってんだろ。あと、敬語」
「だから……」
「敬語」
「……っす」
「それでいい。私は三年だ。お前より年上だよ新入生。わかったか? あと、お前弱いからイキるなよ。面倒ごとを呼ぶだけだ」
「んなっ……」
「それより、ここにいるとやばいぜ? 先生がそろそろくんだろ」
「あっ……」
こんだけの騒ぎだ。来ないわけがない。
私は逃げようとした男の襟を掴む。
「お前が蒔いた種だ。ケジメはしっかりつけねえとな」
「やめろ!」
「私も停学か退学になんだ。お前のしでかしたことなのにお前だけお咎めなしってのは違うだろ」
男の子は暴れた。が、先生が到着する。
「市ノ瀬! お前また……」
「萩野先生。今度は退学っすか?」
「いや……。それはできねえんだよ。お前阿久津家が後ろにいるのはずるいだろ」
「はっはっはっ。また停学?」
「しかないだろうが……。お前何度目だ?」
「数えてないけど……5?」
「7だ。サバ読むな」
7回も停学食らってるのかよ。ある意味すげえな。
ただ、阿久津家……もとい、月能が後ろにいるため、退学処分にも出来ない。
あいつと知り合ってよかったのはこれぐらいか。
「ただ……今回の主犯は原野、お前だ」
「俺は何もしてねえ! こいつが……」
「喧嘩ふっかけて喧嘩しにきたのを私は返り討ちにしただけっすよ」
「だそうだ」
「俺よりこいつを信じるんすか!?!?」
「こういうことには嘘つかないんだこいつ」
「喧嘩が出来たので満足っす」
「お前な……」
先生も呆れるしかない。
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