そういうところが
私は家に帰宅し、夕食をそのままとることにした。
すでに月能は帰宅しており、月能は楽しかったかと聞いてくる。
「いや……。泥棒には会うし散々だったな」
「そうですか……」
「何か企んでるんだろ? 用事があるだなんて嘘をついてまで」
私はナイフでステーキを切りながら聞いてみるも、何も答えなかった。
一体お前はなにがしたい。月能。だんまりか?
「お前のそういうところがむかつく」
「そうですか」
「何か企んでるなら言えよ。そういう私たちに関することを秘密にされるのが、むかつくんだよ」
「そうですか」
と、当たり障りなく返答してくる月能。
なんだかものすごくイライラしてきた。私は思わずテーブルをどんっとたたいて音を立てる。
「言えねえならいえねえって一言喋れやボケ! そういうなぁなぁに済ませようとすんのが一番むかつくんだよ!」
「なにをそこで怒って……」
「てめぇは私たちのこと本当に友達だとか思ってんのか? なぜ言えねえって言わねえ。言えないってんならこれ以上は詮索しねえのに、それすらもなぁなぁにしてるのが一番むかつくんだよ!」
「お嬢様、落ち着いてください!」
「落ち着いてられるか! そこがこいつの悪い癖だ!」
「たしかに。月能はそういうところをなぁなぁとしたがるな。そこは私からも悪いところだといわせてもらおうか」
今まで静観していた茂治さんが月能に苦言を呈した。
「だがしかし、そうやって音を立てて威嚇するのは君の悪いところだ、花音くん」
「……すんません」
「いい。とりあえず……食べ終わったら部屋に戻って頭を冷やしなさい」
「そうさせてもらうっす」
私はご飯を食べ終わったので、ナイフを置き、部屋に戻る。
むかつく。イライラする。しばらく月能と顔を合せたくねえな。あいつの顔を見ると少しイラついてくる。
だがしかし、明日も明後日も会うんだよな。どうしたものか。
私はそのままいらつきながらもゲームにログインする。
「お、ログインしたようだねェ」
「ログインしたね」
「……アルテミスにミナヅキ。どうしたんだよ」
「いや、ダンジョンを攻略したくてね。一緒にどうかと」
「……わかった。いいぞ」
という誘いを受けたので、私はアルテミスたちに連れられるまま、ダンジョンに向かったのだった。
浜辺にある洞窟。ここがダンジョンとなっているらしい。
私は中に入ると、早速魔物に出くわした。
「よし、戦闘開始だね」
「私だけでいい」
私は、イラつきを込めながら八つ当たりするかのように、モンスターをぼこぼこにした。いらいらする。あの月能の野郎……。なんで今日こんな私はイラつくんだろう。
疲れてるからだろうか。いや、あいつのせいだ。あいつが嘘をついてまで何かを企んでいるということ。嘘をついていることを否定せず、なぁなぁに回答していること。それがむかつく。
すると、今度は後ろから衣織も現れた。
「衣織、どうした?」
「八つ当たりに来たの! 月能ったらね! ひどいんだよ! なんで今日嘘ついて私たちを二人にしたのって聞いたら、なんでもありませんってだけだよ!? ひどくね!?」
「ひどいよな」
「問いただしてもさ! なぁなぁに回答すんの! それがむかついてねぇ!」
「一体何を企んでるんだか……」
衣織もどうやら嘘をついていることは気づいていたようだ。
それを聞いてもなぁなぁに返答するのがむかついているらしい。
「あいつ、私と衣織を突っ放して何がしたいんだよ」
「わかんない」
「……むかつく野郎だ。あいつは自分のことを見せようともしねえからな」
「探りを入れる必要があるねぇ」
「そうだな」
あいつは一体何を考えてるんだ。




