戦犯
先に仕掛けたのはモンキッキ。
あいつも一応不良中学にいたくらいには素行が悪く、強い奴の後ろに立つ男だった。
「俺もね、強いってこと、やっぱ見せなきゃいけねーんすよ。これでも不良なんで」
「そーなんだ。でもそんなのかんけーないよ。私も師匠にいいとこ見せたいし!」
モンキッキはナイフで切り掛かった。
キャツラはヌンチャクを取り出し受け止める。
「ほあちゃあ!」
「お前ヌンチャク使うのかよ……」
私と戦った時使ってなかったよな。
だがしかし、ヌンチャクの扱いが手慣れているように上手く、モンキッキを圧倒していた。
その後ろではミナヅキが矢を放ち、ハーレーが槍で叩き落としている。
「いつになく必死だよね、ハーレー。なに? ゼーレにでも惚れた?」
「んなわけねーだろ。俺をイラつかせようってんならそれじゃ足りねえ。俺はただ単に戦いたいだけだ」
「だろうな。お前が提案してこの戦い始めたもんな」
なんとなく理解していた。
同じ穴の狢ってやつだな。
「ミナヅキ、お前もやっぱ強いけどな」
「……ん?」
「俺が勝つ」
と、槍をぶん投げた。
ミナヅキはかわせず槍が胸に突き刺さる。すぐに引っこ抜こうとしていたが、さらに追撃が襲って、キルされてリスポーン。
「……クソ、ハーレーのやつ」
「悔しいのか?」
「そら悔しいさ……。僕だって、あいつと同じように弓の扱いを練習してきたってのに……。一体何が違う。あいつと」
「そりゃま、経験値だな」
「経験値……?」
「アイツは私と前にやったからな。少しアドバイスもやった。だからだろ。ま、ミナヅキも強かったぞ」
「……慰めはいらない」
「慰めだと思ってるうちはまだまだだぞ」
私は戦いに関してはきちんと評価する。弱いならきちんと弱いと言う。
お世辞なんて言えるもんかよ。
「……あれ、俺だけっすか?」
「そうだぞ」
「あのー、今からでもこちら側にゼーレさんが参戦するってのはだめっすか……?」
「じゃあ第三勢力としてどこにも行かないってので参戦してやろうか?」
「遠慮しとくっす……」
なんだよ。
「ゼーレ……。あなたもしかして」
「行くの面倒って思ってる??」
「はっはっはっ! 面倒だから決められないとはね。まぁ、理解はできるよ」
「面倒とか……。あなたは本当にわからないわ」
やべ、決められない理由がバレた。
いや、めんどくせえんだよ。海は海で山は山で。海行ったらはしゃぐ奴らがいるし、山は山でごねるやつもいるし。どっちもうるさくて疲れるんだよな。
「本当にあなたは……」
「だからこうして見物人になってんだろ。私が一番の少数派ってこたぁわかってんだよ。ほっとけ」
「ゼーレめんどくさがりすぎ!」
悪いかよ。
「話してる場合ではないですよ!」
「お前……一番の戦犯だろ」
「ふぇ? ぷぎゃー!」
と、よそ見してるところをやられていた。
勝ったのはニライカのほう。まぁ、戦犯のせいでだな。