食い違い
とある日のクランでは。
「次に行くのは絶対天高い街のヘヴンレイです!」
「いや、港町!」
オイリ、ワグマが論争していた。
次に向かう街について。ワグマは標高5600mにある有翼人が住む街であるヘヴンレイに向かいたいと、オイリは海が広がり漁が盛んな港町ニライカに行きたいということで意見が食い違っている。
「最古参のゼーレ。お前はどっちだ?」
「私はどっちでも……」
「僕はそうだな……。有翼人を早く見たいからヘヴンレイかな」
「海は広くていいんです! 海がいいです!」
「私もどちらでも構わないよ。強いて言うのなら錬金術の材料が豊富そうなニライカかな」
「俺っちヘヴンレイ! 天使みーたいー!」
「私もヘヴンレイ!」
「私もヘヴンレイよ。有翼人なんていうのは見たことないもの」
「俺はニライカかな。なんとなく」
皆で意見が割れた。
オイリ、ハーレー、アルテミス、デイズがニライカ。
ワグマ、ミナヅキ、モンキッキ、キャツラ、ラプラスがヘヴンレイ。
意見が半分に分かれており、多数決の原理も使えねえ。
「ゼーレ! どっちがいいの!」
「ゼーレはどちらですか?」
「だから私はどっちでもいいんだっての……」
「そんなんじゃ困ります。決めていただかないと」
「知るかよ……。私はどっちでもいいんだよマジで」
「……決められませんね。私も譲れませんが、オイリも譲れないと」
「なら、バトルで決めようぜ」
とハーレーが言い出した。
「4対5……。人数差があるが、そっちはワグマが戦えねえ。こっちもアルテミスが戦えねえが……。まぁ、なんとかなるだろ」
「私も戦えるがね。ゼーレ君のお墨付きさ」
「なら、4対5で戦おうぜ?」
「そうですね。そっちの方が手っ取り早い。ゼーレは審判をお願いしますよ。不正がないように」
「はいはい……」
不正もクソもないと思うが。
コロシアムに移動し、決闘機能、チーム戦を使う。赤チームと青チームに分かれ、バトルが始まった。
その瞬間、アルテミスがいきなり爆弾を投げる。爆弾はワグマにあたり爆発。ワグマはキルされて、私のそばでリスポーンした。
「よわ」
「うるさいです。サポーターでレベルもそんな上がってないので防御力がほとんどないんです」
「はっはっはっ。じゃあ実質4、4だったわけだ」
私は座りながら戦いを眺めていた。
オイリがモンキッキとキャツラのナイフ攻撃をその身で受け止めて攻撃。
だがしかし、横からミナヅキの矢が飛んで突き刺さる。
「ファイアー!」
と、ラプラスはアルテミスめがけて火の魔法を放っていた。
「予想済みだよ。ラプラス君」
「ファイアー! ファイアー! 喰らいなさいな!」
「させっかよボケ」
と、背後から槍でひとつき。ラプラスはキルされて、こちらにリスポーン。
優勢なのはオイリチームか。
「隙だらけっすよぉ! キャツラ、連携っす!」
「OK」
キャツラが身軽な身のこなしでアルテミスとの距離を詰め、蹴り上げた。
アルテミスは宙をまう。そして、モンキッキがすかさず追撃。アルテミスは叩き落とされキル。
「はーっはっは! さすがに複数を相手取るのは厳しいね!」
「殺されたのにポジティブなのむかつくわ……!」
「ま、私は元より戦闘職ではないからね。気にするほどではないさ」
二人が喧嘩を始めそうだ。
「その連携厄介だな。一人潰そうか」
「そうですね! ならば私がやります!」
デイズも身軽に動く。
距離を詰め、キャツラに近寄り、そして剣で突き刺した。そして、キャツラがキルされ、リスポーン。
「負けた!!! くやちい!!!」
「なんだよちいって……」
オイリチームは残りデイズとハーレー。
ワグマチームはモンキッキとミナヅキ。ま、勝負あったかな。
「ワグマ、ニライカだ」
「……どうして?」
「モンキッキとミナヅキじゃ、あの二人は無理だ」
「そう言い切れないでしょう?」
「言い切れる。デイズは私も認めるくらい強いし、ハーレーもこの前戦った時は非常に厄介だ。あの二人は戦いの才能がある」
「……そうですかりゼーレがそういうのならそうなんでしょうね」
「ああ。だから十中八九、ニライカだ」
「残りの一、ニに期待しますよ。最後まで諦めませんとも」
そうだな。
勝負に絶対はねぇ。私だって死ぬ。誰だって死ぬ。明日死ぬとは誰もが思わないが、死は平等に訪れるものだ。
番狂わせがあるとするならば、ミナヅキだろう。ミナヅキの弓はなかなかのものだ。戦ったことがないからわからないのもあり、ミナヅキは見た感じ以上の実力をまだ隠している気もする。
「デイズ、俺とミナヅキでやらせてくれ」
「いいですよー! 私はモンキッキさんですね!」
「お手柔らかに頼むっすよー?」
「ハーレー。いい機会だ。どちらが格上か白黒つけようか」
四人ともやる気満々。