錬金術師の武器
アルテミスは戦えない。
それのおかげというべきか、サンライトから追放されたのだが。
「戦う? お前戦えるのか?」
「私としても、サンライトの言うことは割ともっともでねぇ。戦いに参加できないとなると、自分で行く必要があるようなクエストが来た際、困るのだよ。だからこそ、最低限戦えるようにはなろうと決意しわけだ」
「……その心がけはいいけどよ、武器は?」
「ふっ、その点は抜かりない。私は錬金術師だ。それなりの武器はある」
と、何かを取り出した。
球体で投げやすい野球ボールのようなもの。これが武器?
「これ武器にしちゃ弱いだろ」
「そうでもない。たとえば……。この拠点には演習場という機能があるだろう? そこで見せてみよう」
というので、私とアルテミスは演習場に移動した。
アルテミスはその野球ボールを投げた。そして、的に当たった瞬間、爆発が起きる。
「これさ」
「爆弾か」
「野球ボール爆弾。ダメージも与えられるが、味方も巻き込むのでね。考え物だが……。錬金術師の得意武器といえばこれなのさ。そもそも、錬金術師自体不遇の職業ではあるから仕方がないがね」
「ふーん。でもまぁ、悪くないんじゃねえの?」
「これを駆使して、少しばかり戦闘の手伝いをしてほしい。だがしかし、私は戦闘の初心者であるからね。加減は少々頼むよ」
「わかった」
獲物に着弾した瞬間に爆発する爆弾か。厄介といえば厄介だ。
「では、早速始めようか。決闘を。場所を移さないとね。ここでは決闘機能は使えない」
「だがしかし、扉の前にはあれがいるぞ」
「ふむ、そうだったね。どう突破したものか……。いや、いい方法があるな」
「いい方法?」
何か悪いことを思いついた顔をしていた。
アルテミスはアイテムを取り出す。野球ボールのような爆弾。それを取り出して……。
「殺すのか?」
「そんなことはしないさ。脅しの道具に使う」
と、扉のほうに近づいた。そして。
「科学の犠牲になるがいい!」
扉を開けて爆弾を天高く投げる。すると、爆弾が地面に落ちて、爆発が起きたのだった。アルテミスはもう一つ爆弾を取り出す。
扉の前にいた女たちはさっきの爆発を見て、固まっていた。
「さぁ! 私の特性爆弾の餌食になるといい! 威力を検証したいのでね!」
「ちょ、お前……」
「君たちもひきたまえ。私の狙いはこの女のみさ。爆発は全員巻き込むかもしれない。おっと」
と、爆弾を転がした。
「何してんだお前……」
「きゃああああ!」
女たちは逃げていく。
ミナヅキとハーレーがその爆弾を拾い上げた。
「なんだ、ただのボールじゃねえかよ」
「さっきの爆発で本物と思わせたのか……。なるほどね。助けてくれた……わけではなさそうだね」
「当たり前さ。私たちはこれから用事があるのでね。君たちのファンが邪魔で力づくで退かしたっていうだけさ。私たちのことはそうだな……。幼馴染だとでも言っておけば、納得はしづらいだろうがするしかないだろう」
そういって、私に手を差し伸べて行くぞと引っ張り上げるアルテミス。
こいつ、意外と強かっていうかなんていうか。優しいんだよな。
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