掃除屋
翌日、私はスッキリとした気持ちで起床出来た。
朝ご飯を食べゲームにログインしたのだった。休みだから一日いっぱい、ゲームをやれる。
ログインすると、港町の宿屋であり、隣にはワグマが座っていた。
「ようやくログインしたんですね」
「おう。昨日は大変だったな」
「庇ってくれたらあんな思いしなかったんですが」
「人を轢いておいて何言ってんだ。ほら、行くぞ」
オイリから先に王都に戻っているという報告を受けた。
そして、私が宿屋から出た時、横からクナイが飛んでくる。
私は思わずのけぞると、後ろにいたワグマが転ぶ。
「な、なんですか?」
「攻撃受けたんだよ。明らかに私狙ってたな」
どこから投げられた?
私は辺りをキョロキョロしていると、懐に短刀を持った忍者のような格好の女の子。
私は思わず蹴り飛ばす。
「なんだテメェ」
「私は掃除屋センゴク。人を殺める不届き者に成敗をくだす」
「掃除……屋? あっ……」
そういえばログアウトする前、たくさんキルした。
カルマ値がものすごく溜まっており、掃除屋が来るかもとは話した気がする。
「死ぬが良い!」
と、センゴクが巻物を天に掲げたかと思うと、無数のクナイが現れる。
そのクナイすべてが私の方を向いていた。
「破ッ!」
クナイの雨が私に降り注いだ。
私は黄泉平坂を使いゾンビを召喚し盾にする。私はセンゴクの足を掴み、思い切り地面に叩きつけた。
このままやられてたまるかよ!
「抵抗するな! 抵抗すれば私は仲間を呼ばざるを得なくなるぞ!」
「うるせえ! このまま殺されてたまるか!」
まずい。
売られた喧嘩は買う私が招いた種。ここでやられたらまずい。
「ふんっ!」
距離を詰め短刀で切ろうとしてきたのでかわしてセンゴクの頭をロックした。
そのまま倒れ込むように地面に頭を叩きつける。
「この場合、私はどちらに加担すべきなのでしょう」
「味方の私だろうがよ! この程度でやっぱお前は倒せねえよな……」
「はい。食らうがいい」
と、手のひらをコチラに向けたかと思うと、私の喉に何かが刺さった。
針のようなもの。すると、私の身体が言うことを聞かなくなった。ジワジワとダメージを受けている。
「それはベニカブト草という稀少な毒薬草。すぐにこうするべきだった」
「……クソ、このまま死んでたまるか」
「諦め悪いぞ!」
「諦め悪いのが何が悪い!」
こちとら死んだことは一度もないんじゃ。
「チッ、私としては珍しいことするが」
私は感情を振り絞って力を込めてみる。
すると、身体が動き始めた。私はそのまま手を竜変化させ、センゴクの首根っこを掴む。
「なっ……!」
「油断すんじゃねえ! どうせ死ぬなら共に死のうぜ!」
「特攻……! ちょ、放しなさい……!」
「最後の悪あがき! 死ねや!」
私は思い切り叩きつけようとした時だった。
どこからか狙撃される。私の頭に矢が刺さった。私はそちらの方を見ると、なにやらセンゴクの仲間のような奴が立っている。
「クソ……もう無理だ」
このままペナルティを……。
いや、待て。まだ手はあるはずだ。私は、直感で自分の首を竜の爪で掻っ切った。
「なっ……!」
「自害……だと?」
「自害はまずい! 最後の一手が私でなければ……!」
「正解か……。抜け穴用意してくれて、ありがとよ運営」
運営も想定していなかったのだろうか。
私はそのまま意識を失い、ログアウトさせられたのだった。
面白いと思っていただけたならブックマークをお願いします。(テンプレ)