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ペットのお世話は大変

作者: aqri
掲載日:2021/08/21

 友人の壮也が寝不足気味なのが前から気になっていた。いつも眠そうで顔色も悪い。何してるんだ、と聞いても特には、と返ってくる。昔から頼まれると嫌と言えないタイプだから、何か押し付けられてるんじゃないかと心配になる。

 何となく頬がこけてきたなと思ってかつ丼を奢ると勢いよく食べ始めたのでこれは何かあるなと思った。なので、いい加減心当たりを吐けと言うと実は、と始まった。やっぱ何かあった。


「実は、ペット飼って」

「へえ、お前がね。昔飼ってたネズミが」

「ハムスター!」

「ああ、そう。そのハムスターが死んでからぐちゃぐちゃに泣いてもう二度とペット飼わないっつってたのに」

「うん。そのつもりだった。でも犬猫の譲渡会行ってさ、引き取ったんだ」

「……」


雲行きが怪しい。というか、なんとなく読めた。


「お前その譲渡やってる団体に連絡先教えたな」

「教えるルールだからね」

「で、それから連絡来ては見に行って引き取ってるだろ」

「……だって、可哀そうなんだ。飼えない、飽きたって理由で捨てられて……」


 はあ~、と大きくため息をついた。そりゃその団体にカモにされてるだけだ。ペットの譲渡を真剣に行っている団体は多いが、中にはいるのだろう。とにかく数をさばいていい事してますよってアピールする奴らも。目つけられたんだろうなこいつ。


「とりあえずその連絡先今すぐ消せ、着信拒否れ」

「え~」

「あ゛!?」

「あ、いえ、なんでもないです」


壮也がしぶしぶ、俺に睨まれて着信拒否設定をした。俺の目の前でやらないと許さんと目で訴えたからな。


「とりあえず何飼ってるんだよ」

「いろいろ、いっぱい」

「もういい、今から見に行く」


 聞くより見た方が早いなこりゃ。壮也がかつ丼を食べ終わるのを待って家に、と思ったがそうはいかなかった。買い物する、というので付き合えば寄ったのはスーパーで。


「力士がちゃんこ鍋でも食うのかよ」

「そんなわけないじゃん」


 壮也が買った食材は白菜2玉、小松菜10束、ほうれん草5束、にんじん10本、牛、鶏、豚を1kgずつ、ポッキー。たぶん、というか間違いなくペットたちの餌だこれ。ポッキーがお前の飯か、おかしいだろ。

 家に着くとまず犬が5匹くらい走り寄ってきて、猫が数匹走って来たけど俺を見て警戒して奥に引っ込み、何かの鳴き声と飛び回る音と檻を揺らすようなガチャガチャという音と犬がわんわんわんわん……


「賑やかでしょ」

「やかましいっつーんだよこういうのは。ネズミの国のジャングルクルーズだってもっと静かだぞ。近所迷惑にならねえのか」

「クレーム30回は来たし最近は警察呼ばれる」

「アホ」

「どっちが?」

「どっちもだよ」


お前も通報する方もな。

犬にもみくちゃにされながら奥に進んでいく。ただいまーとにこにこしてるが、たぶん犬は懐いてるんじゃなく餌ほしいだけだ。玄関には亀、蛙、ザリガニ、カニの水槽が置いてある。いやこれ譲渡会じゃなくね?誰かに押し付けられただろ。

 コイツのアパートは1LDKだがまあまあ広い。広かった、が正しいか。周りには檻という檻が大量に積み重ねられていて、中央に折りたたんだ布団がぎりぎり収まるスペースがある。まあ、この1畳もないスペースがこいつの生活スペースってことだよな。檻にぐるりと囲まれる形だ、何の儀式なんだと言いたい。


「お前どうやって寝てんの?」

「え、足まげて」

「屈葬か」

「そんな感じ」

「死んだら死後硬直でその形だぞ、棺入らねえから足伸ばして寝ろ。地震起きたら一発で死ぬから葬儀がスムーズに進むようにしておけ」

「えー、無理」

「檻多すぎだろ、詰み方がコストコじゃねえか」


 マジでいろいろいるな。犬、猫、ウサギはまあわかる。あとは大小さまざまなネズミ系、インコやオウムと言った色鮮やかな鳥系、あと部屋の隅にはやたらライトあててる水槽があるので爬虫類か。

きょろきょろしていると突然顔面にベチン!と何かがぶつかってきた。


「ぶへ!」

「あ、むーちゃん駄目だよ」


 顔からはがされてみればそれはムササビだった。すぐにまたどこかに飛び去って行く。むーちゃんてお前、ムササビだからむーちゃん。センスゼロか。いや、数が多すぎて下手に名前つけると覚えきれねえからだな。


「フェイスハガーに取りつかれたかと思ったじゃねーか」

「フェイス??」

「エイリアンの顔に張り付く奴」

「そんなのいるわけないじゃん」

「いてもおかしくねえだろがこの状況」


ムササビだけでなく鳥系は飛び回っている。おかげで羽は舞うわ糞は落ちてくるわ。


「シックハウスになっても知らんぞ」

「もうなってきてる」

「バーカバーカ。出かけてる時に鳥を放し飼いするな」

「かわいそうじゃないか、狭い中に閉じ込めるの」


 可哀そうなのはお前の頭の中だ。じっと見つめると俺の内心を悟ったのかだってさあ、と始まる。それを手で制してため息をついた。


「いいか、ペット飼うのはいいんだよ。でもその動物に対して正しい知識を身に着けてからにしろ。本当にその動物にとって何がストレスになって何がストレス解消になるのか知らんと、ペット自身に逆に負担大きくするぞ」

「はい……」


しょんぼりするが一応素直に聞く。世話大変で体力も削られてるし、あまり厳しい言い方にならないようにしないと。


「狭い檻の中がインコは窮屈かもしれんが、ペット化された鳥は飛ぶのもどこかに掴まるのも下手だ。部屋の中じゃ狭くて激突するし爪が布に引っかかっても無理やり飛ぼうとするから足を怪我したりもする。放すならお前がいる時だけにしとけ。あと手乗りにしつけろ」

「うん」


内容が割と真面目だったからか、壮也は真剣に聞いてくれた。とりあえず飛んでいる鳥をそっと捕まえると一旦鳥籠に戻した。


「ぎゃー!」

「うるせえ!」

「克己、オウムに切れないでよ」


 突然真後ろで叫んだオウムに叫び返すとさすがに壮也がおろおろと止めてくる。鳥と張り合うあたり俺ももうだめだ。でも仕方ない、この部屋に入ってからとにかくストレスマックスだ。うるせえし臭ぇしわんわんにゃーにゃーバタバタガタガタ……


「とりあえず餌あげていくね」


壮也は買ってきた野菜を取り出そうとするが、俺が止める。


「犬猫先にしろ」

「えー、でもこの子たちは待っててくれるよ。他の子は待てないかもしれないじゃん」

「玄関開けた瞬間から餌……お前を歓迎してくれた奴らに感謝して優先したほうがいいだろ。ネズミとか猿とか爬虫類と違って、犬猫は飼い主をより深く認識してくれる相棒たちだぞ。エサもすぐ出せるんだから手間かからんだろうが」

「そっか、そうだよね」


パアっと明るい顔でいそいそとペレットタイプの餌を準備し始める。よし、やっとうるさくて鬱陶しい系を黙らせることができた。


「野菜やる奴らは俺も手伝ってやる。大小いろいろいるげっ歯類は何やるんだ」

「げっ歯類ってさあ。チンチラとマーモットとカピバラとハムスターだよ。乾燥フードと野菜かな」


何だ、意外と楽だな。野菜をわしづかみにすると壮也が包丁を差し出してくるが俺は受け取らずに壮也の頭にチョップした。


「痛い」

「刃をこっちに向けんな俺を刺す気か」

「あ、ごめん」

「野菜なんてちぎりゃいいだろうが、何で包丁使うんだよ」

「え、料理してるって気になるじゃん」

「野菜切るのは料理に入らねえよ」


 さては自炊してないなこいつ。まったく、と言いながら俺は白菜を掴むと思い切り左右に引き裂いて真っ二つにした。芯があるからダメかと思ったけど、意外といけたな。そしてその様子を壮也が呆然と見つめていた。


「なんだよ」

「いや……うん、克己にはあんまり逆らわないでおこうかなと思っただけ。あのさ、僕に注意とかする時はなるべく言葉でお願い」

「今までもそうしてるだろうが。あと手加減もしてる。本気出してたらお前今頃頭蓋陥没してるからな」

「あ、はい、ごめんなさい」


そうして野菜をやりながら檻の掃除も手伝ってやった。ハムスタ―の掃除をするとき、壮也がお玉を持ってきてハムスターをすくう。


「今夜の出汁か」

「違うよ!この子は触られるのが嫌いだからこれですくってあげてるの!」

「どうでもいいけどお前、それやるなら檻を床に下せよ」

「この積み重ねてる状態見てそれ言うの?」

「ネズミはいきなり飛んだりするぞ。ラットとかドブネズミとか平気で1~2メートルジャンプするからな。そのネズミ、1メートルの高さから落ちて無傷でいられるか?」

「え」


 壮也は慌ててしゃがんだ。地面が近づいたことでハムスターはお玉から出ようとしている。どうしよう、とおろおろしているので転がっていた空のペットボトルの上を切り落としてその中に入れてやる。突然狭いところに入れられたハムスターはシャカシャカ動いて軽くパニックのようだが仕方ない。ミネラルウォーターのペットボトルだから汚くないし良いだろ別に。


「ネズミじゃなくてハムスターのハムちゃん」

「はいはい」


そこは訂正するのか。一応可愛がってはいるんだな、ネーミングセンスはともかく。……昔飼ってたのも名前ハムちゃんだったじゃねえか。

「ギエー!」

「ご飯食べたいって」

「鳴き方でわかるんか」

「全然」

「馬鹿野郎」


自己主張が激しいオウムの檻に餌を入れようとする壮也の腕をガシっとつかんだ。


「何? 折らないでよ?」

「檻にエサ入れたらあの鳥が戻って来るだろ」

「うん、それはそうだね。折らないでよ?」

「籠の掃除が先だろうがどう考えても。何で先に餌入れるんだ、その間お前何してるんだ」

「お腹空いてるかと思って食べ終わるの待ってる。ねえ、いい加減折らないって言ってよ」

「そこは気遣いじゃなく効率重視しろ。はい、以外の返事だったら折る」

「はーい……」


 壮也の快い返事を聞き届けてから檻の掃除をして餌を入れた。オウムは檻に戻り大人しく餌を食べるので、その隙に扉のロックをかける。他にもフクロウが4羽いてこいつらはさっき買った肉を与える。全員好みが違うらしい。しかも落ちている肉は食わないのでくちばしまで肉を運んでやらないといけない、めんどくせえ。


「毛むくじゃらどもの掃除とかは大方終わったな」

「毛むくじゃらって……」

「じゃあ次は毛がない奴らだ」

「男はその言葉に心臓痛くなるからやめない?」

「俺は痛くない。何故ならハゲは遺伝だ、俺のじいちゃんも親父もふっさふさだから心配ない」

「僕のお父さん20代後半からキテたらしいから嫌なんだよ」


そんなアホ会話をしながら爬虫類エリアへと足を踏み込む。いるのはカメレオン、トカゲ……でけえな、トカゲ。あと小さい蛇とやたらでかい蛇。


「でかすぎねえかこの蛇」

「ボールパイソン。小さいのはコーンスネーク。かわいいでしょ」

「まあ、顔は愛嬌あるな。譲渡会じゃねえよなこいつら」

「この子たちはペットショップでお勧めされて買った」


ペットショップにもカモにされてんじゃねえか。


「何食うの?」

「冷凍マウス」

「冷凍じゃねえのがさっきいたな」

「だめだよ、ハムちゃん一回本当に食べられそうになってそれ以来触られるの怖がるようになったんだから」

「ネズミのトラウマお前のせいじゃねえか」

「隣に檻置いたのがやっぱり駄目だったね」


何でネズミと蛇の檻を近くに置いたんだこいつは。それで今は対角線に置いてるのか。壮也は冷凍庫をガサガサ漁り冷凍マウスを取り出すとついでにアイスも取り出す。


「あ、食べる?」

「いるわけねえだろ」

「ネズミじゃなくてアイスだよ?」

「言われるまでもなくわかってるし本気で俺にネズミすすめてきたんだなって思ったら今頃蹴り殺してる。アイスいらん」

「ちゃんと包装されてるよ」

「一緒に入れてると言う事実が生理的に嫌なんだよ」

「寝ぼけてると間違えるんだよね。一回冷凍ネズミかじったことあってさすがに叫んだよ」

「もう冷凍庫はネズミ専用にしろや。アイスはコンビニで買ってこい」

「食べたいときに食べたいじゃん」

「外出て30秒の距離だろうが」


 ネズミは冷凍のままではあげられないのでどうするのかと思えばレンジの解凍機能便利だよ、と言いながら本当にレンジを使い始めた。こいつの家でレンチンするのはやめようと心に誓った。

 解凍したネズミを蛇に与える。穏やかそうに見えてネズミ入れた瞬間に巻き付きながら飲み込む姿はやっぱ蛇なんだなって思う。

 カメレオンやトカゲなどはゴキブリやコオロギが餌ということでそれを増殖させている水槽を見せてもらったが、さすがにエグイので俺はやらなかった。ゴキブリ苦手なの、女の子みたいで可愛いなあという壮也に水槽の中に顏を押し込んでやろうかと思ったがやめた。多少のゴキブリは平気だがそれが動く蓮コラみてーな光景広がったら誰だって気持ち悪いだろうがよ。

 すべての餌やり、掃除が終わって気づけば2時間たっていた。これを普段一人でやるならその倍かかるしやたら効率悪いやり方してるのでもっとか。そりゃ寝る時間ねえな。


「お前の餌は何食ってんだ」

「餌って」

「悪い、素で間違えた。メシ」

「えーっと、アイスとかポッキーとか」

「相変わらず甘いのが好きなんだな。野菜あんだけ買ってるんだから野菜食えよ」

「草はちょっと」

「野菜を草って呼ぶんじゃねえ、吊るすぞ」

「あ、そっか克己のおじいちゃん農家だった。お野菜ね」

「結論から言うぞ。ペット減らせ、適した数まで」

「そんな」


 まずはちゃんとした団体でのペット譲渡を申込してみる案を出した。壮也は渋ったが、「お前が面倒見切れてないのは明らかだろ。動物たちが可哀そうだ」と言うとしょんぼりしつつ、やっぱりそうだよねと納得した。心のどこかではわかっていたのだ、可哀そうだからと引き取っても逆に可哀そうなことになっていると。


「お前が引き取ってるのはぬいぐるみじゃない、命だ。こいつらは予想以上にでかくなるし長生きもする。犬猫なんかは年取って来ると人間と同じように介護も必要でぼけてくると夜鳴きもする、糞尿を漏らすようになる、24時間つきっきりになる必要がある。お前の生活を100%こいつらに捧げない限り可哀そうなのは同じだ。できるか? そんなこと」

「……できない。働かないと生活できないし……」

「将来結婚して子供も生まれて、もしかしたら引っ越すかもしれない。お前のライフスタイルは一生のうちで何度も変わる。奥さん動物嫌いかもしれないし子供はアレルギーもって生まれるかもしれない、転職するかもしれない。その中でも変わらずに最後まで世話を自分でできると断言できないなら、今すぐペット飼うのやめろ。お前もペットも関わった奴も全員不幸になるぞ」


ちょっと涙目になっているが、正論は言っておかないとな。その場の気持ちだけでどうにかなることもあるが、ペットとはどうにもならないことの方が多いのだ。世に放てば野生化して増殖し、環境問題へと発展する。


「本当に世話できるやつだけ選べ。優劣じゃないし愛情が傾いてるわけでもない、悪い事じゃないから罪悪感は置いとけ。お前の身の丈にあった奴を、その最後を看取れる奴を、だぞ」

「克己……」

「よしブチ殺す」


胸ぐらをつかむと不思議そうな顔をしていた壮也がやっと気づいたらしく顔色を白くした。


「ち、違うよ!今のはペットとして呼んだんじゃなくて!感動してつぶやいただけですぅぅぅうう!」

「ならいい」


 ぱっと手を離し、壮也に時間を与える。酷な事を言っているのはわかっているからだ。無理しながら世話をしていても、それでも一匹一匹に愛情を注いでいたのもまた事実なのだ。思い出もたくさんあるだろう。見た感じちゃんと動物たちはこいつになついているようだ。

じっくり1時間以上考え、そしてようやく決心したようだ。


「やっぱり仕事してる時間が長いから、つきっきりになる子は難しいかもしれない。僕の生活の中で無理なく世話できて、注射とか避妊とかとにかく出費が重なることもなくて、もし出張があっても数日間なら餌を多めにいれておけばなんとか生きられる、他の人に世話を頼まなくても大丈夫。そんな子は」


手にしたのは。


「やっぱハムスターか」

「やっぱりこの子たちになっちゃうんだよね。ごめん、みんな」


本当に涙を流しながら、犬猫たちを撫でて鳥たちを覗き込み、ヘビやトカゲ、げっ歯類たちを愛おしそうに眺めてゴキブリとコオロギも覗き込む。


「おい、そこは餌だろ」

「いや、一応愛情もって接してたよ」


いやまあ、畜産農家だって愛情もって牛や豚を育てて出荷するわけだから似たようなもんなのか? あまり理解できない思考だ。

 その後。譲渡会にも参加し、ネットでペットを引き取ってくれる人を募集した。この際転売目的などでないことや長く飼ってくれそうな人かを見抜くため、相性がいいかを見る為という名目で実際に会う事と住所と連絡先を教えてもらうことを条件にした。いかにもペット業界のバイヤーのような奴もいたのでそういうのははじいた。

 犬猫や爬虫類、珍しいやつなんかはすぐに飼い主が決まったが、最終的には亀と意外にもボールパイソンが残った。蛇は人気があるものだが、転売目的っぽい奴しか応募がこなかったのだ。

 じいちゃんにその話をしたところ、俺が飼おうと言ってくれて亀と蛇はじいちゃんに貰われていった。何で? と聞いたらそいつら吠えないし散歩必要ないだろ、俺が死ぬくらいに丁度寿命迎えそうなやつらだし年寄りは体力かからない方がいいんだよ、と返ってきた。いや、世話って結構体力使うし、あんたカボチャがつまった20kgのコンテナ一日何個も運んだあと筋トレしとるやん。

 しばらく経ってじいちゃんが蛇と亀の写真を送ってくれた。蛇はびっくりするくらいでかくなって、じいちゃんにマフラーみたいに巻き付いている。


「これ、絞め殺そうとしてない?」

「よく見ろ、餌のネズミにとびかかった時の巻き付き方と全然違うだろ。エサの時は玉結びみたいな締め付け方してたけどこっちは完全にゆるゆるだ、懐いてるんだよ。いや、暖が取れる動く木か何かだと思ってるのかもな」

「よく見てるねー克己」


 亀は庭にある小さな池で飼っているらしい。田舎は無駄に土地があっていいだろ、とじいちゃんが自ら池を作っていたのだ。住処がでかくなって悠々と過ごしているようだ。お相手がいないので繁殖しないだろうとは思うが、近くに用水路やため池もあるし亀は意外と陸上を歩く。うっかり別の亀がきて交配したら増えるからそこはちゃんと対策してくれよと言っておいたが。

小さな手紙も一緒に入っていた。


『蛇飼ったら家からネズミが消えて快適だ。あと、亀はこの間どっからか侵入してきたワニガメを退治してくれて役に立ってるぞ。今更だが、こいつすっぽんだったんだな』


「え、凄い!」

「どこの世界にワニガメに勝つすっぽんがいるんだよ、どうなってんだ。あと蛇を家の中で放し飼いにするんじゃねえよ」

「飼い主変わるとこんなに変わるんだね、おじいさんに亀ちゃん食べないでねって言っておいて」

「変わりすぎだろ、何でこんなに戦闘力があがったんだ、ドラゴンボールの住民か」

「わかる気がするな、克己のおじいさんだし」

「今の言葉をわかりやすく20文字以内で説明しろ、俺が苛ついたり納得できなかったら前歯引っこ抜くからな」

「そういうところだよ!」


 叫ぶなり壮也は全速力で逃げた。まあ余裕で追いつくけど。びくびく隠れていた以前と違って回し車を発電しそうな勢いで回しているハムスターを見ながら、マジで飼い主とペットって似るんだなと思った。



END

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