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異世界転移〜最弱職業「隠密」はチートだった  作者: ツキ
異世界と最弱職業
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第九話

第九話です。お楽しみ下さい。

翌日


窓から差し込んできた朝日で俺は目を覚ました。


「んっ…朝か……ふあぁ〜……眠い」


大きな欠伸をしながら俺はそう言った。元々俺は、朝が苦手なのだ。


そうやって一人、脳内で言い訳をしていると、サリアが部屋に入ってきた。


「夜様、お目覚めのようですね。おはようございます」


「あぁおはようサリア」


「はい。改めておはようございます夜様」


サリアが笑顔でそう言った。


(あ〜可愛いな〜…)


サリアが普段笑顔を、見せるということは、少なく、また日光がサリアの後ろに差し込んでいて、どこか幻想的な空気を纏っていた。


そんな事を考えていると、サリアが眉をひそめてこちらを見てきた。


「どうなさったのですか夜様?お顔がニヤついておられますよ」


サリアがそんな事を言ってきたので、俺は慌てて


「なんでもないぞっ」


と言った。


(どうして分かったんだ?単にサリアの勘がすごいのか、それともそういうスキルか?)


俺がそう思いながら、サリアを見ていると、サリアが俺の耳元で静かに囁いた。


「女の勘……ですよ?」


「なっなんの事だかサッパリだなぁ〜」


俺が焦ってそう答える、サリアは意味深な笑みを浮かべて、上品にクスリと微笑んだ。



その後俺は、食堂に行って朝食を食べた後直ぐに訓練場に向かった。


余談だが、今日の朝食もとても美味しかった。



訓練場に着くと、クラスメイトは誰一人として訓練している者はおらず、ギルベルト騎士団長や騎士団の人達しか居なかった。


「おはようございます。ギルベルト騎士団長」


「夜じゃないか!!おはようさん。別に騎士団長なんて付けずに、ギルベルトだけでいいぞ?」


挨拶をすると、ギルベルト騎士団長がそう言ってきたので、俺は


「分かりました、今度からはギルベルト師匠って呼ばさせて頂きますね」

と冗談交じりで言ったところ、ギルベルト騎士団長が嬉しそうな顔で

「師匠か……悪くないな」

と言ったのでこれからは、師匠と呼ぶことにした。


その後軽く準備体操をした俺は、ギルベルト師匠に尋ねた。


「両手で短剣を使えるようになりたいんですけど、どうやって練習すればいいですか?」


「そうだな……よしっ!!俺が直接見てやろう」


ギルベルト師匠がそう言ってきたので


「いいんですか?」

と尋ねると「俺はお前の師匠だからな!!」とドヤ顔で言われた。


俺は苦笑しつつも、騎士団長に訓練をつけてもらえる事なんてそうそう無いと思ったので、ありがたく教えてもらうことにした。



「いいか?短剣ってのはな、一撃の攻撃を重視するんじゃなくて、手数を重視する武器なんだ。」


「確かに短剣は、一撃の重さが軽いですもんね」


「あぁ。そして短剣は攻撃を刃で受け止めるのではなく、受け流す武器だ。だからお前には、短剣での攻撃の受け流しと、逆手持ちや通常の持ち方で高速で相手に切り込む方法を覚えてもらう」


「分かりました!!」


ギルベルト師匠の言葉を聞いて俺はとても驚いた。ギルベルト師匠は脳筋タイプで、頭で考えるのではなく、本能で動く人だと思っていたからだ。


(意外だな〜)

と思ってみていると、ギルベルト師匠が「失礼な事考えてるだろ」と言ってきた。この世界の人は皆心が読めるのだろうか?



そうして俺は、三時間ほどギルベルト師匠に探検の扱い方を丁寧に教えて貰った。


「ふー……流石に疲れたな」


「少し動きすぎたか?まぁお前は筋が良いからな、短剣術だけでいったら、この国でもトップを狙えるぞ」


ギルベルト師匠がそんな冗談を言ってきたので「師匠は冗談が上手いですね!!」と言うと、「冗談じゃないんだけどな……」と苦い顔で返された。


暫く休憩をした後、もう一度短剣を振ろうと立ち上がると、ギルベルト師匠が「それ以上は振ってもあんまり意味はねぇだろう。素振りは毎日やるとして、訓練内容は俺との打ち合いでどうだ?」と聞いてきたので、俺は「よろしくお願いします!!」とだけ返した。



俺は、訓練用の刃の潰された短剣を両手に持ち、逆手で構えて腰を低く落として隙を探った。


一方でギルベルト師匠は刃の潰された片手直剣を右手で持ち、その手は力無くふらつかせていて全体的にラフな、まるで自然体の様な構えで俺を見てきた。


(まずいな……)


開始早々に俺は思った。


一見隙だらけに見えるギルベルト師匠には、隙が無く、近づけない状態だった。


すると、ギルベルト師匠が「俺が構えていたら受け流しの練習になんねぇよな…。よしっ俺から行くからしっかり構えとけよ」と言うと、物凄い速度でこちらに接近してきた。


「くっ……」


ギルベルト師匠の攻撃を何とかギリギリのところで躱し、俺はお返しとばかりに、左の短剣を軽く、右の短剣を大振りで振った。


リーチをあえてズラして攻撃をすることで、躱しにくい攻撃だと思ったが、俺の攻撃はいとも簡単にギルベルト師匠に剣1本で止められた。その場を動くことなく…だ。


「どうした?何ビビってんだよ?ほらっ…本気で来い」


濃密な殺気を辺りに漂わせながらギルベルト師匠は言った。


(クソっ……ビビってる場合じゃねぇ)


俺は覚悟を決め、そしてギルベルト師匠に向かって走り出した。



左右に体を揺らしながら、フェイント混じりに短剣を横一線に放つが、これも剣で防がれる。


ならこれはどうだと思い俺は、唯一マシなステータス『AGI』を活かし、地面スレスレに体を低くして地を駆けた。


「くらえっ」


そう言いながら、足の健を狙い斬りかかるが体を逸らし躱される。


短剣を振り切ったところでギルベルト師匠が剣を横に振ってきたので、俺は後ろに飛んで躱した。


後ろに飛んだ俺にギルベルト師匠は巧みな剣捌きで連撃を仕掛けてきた。


避けられるものは、体を少しだけ逸らしギリギリで避け、肩や腕を狙った攻撃は短剣を剣の軌道に合わせて、剣に水平になる様に滑り込ませて受け流した。


「やるじゃねぇか、ギア上げていくぞ!!」


「マジかよ!!」


手加減して貰っている今ですら、攻撃を逸らしたり、躱したりがやっとで、反撃すらままならないのに、ギルベルト師匠がギアを上げてきた。


「くっ、捌ききれないっ!!」


速度が増したギルベルト師匠の攻撃を捌ききれず、腕や脇腹などに、連撃を受けた俺は、遂に武器を落としてしまった。


当然ギルベルト師匠がその隙を逃すことは無く、次の瞬間には、俺の首に剣の切っ先が突きつけられていた。


「俺の勝ちだな」


「参りました」


肩で息をしながら、俺が悔しそうに言うと、ギルベルト師匠はこう言った。


「まぁステータスの差もあるし、負けるのはしょうがねえよ。」


「はぁ……はぁ…そうなん…ですか?」


「あぁ。寧ろ、手加減していたとはいえ、俺の攻撃を躱したり、受け流したりとお前の短剣術の技量は凄まじいもんだぜ。攻撃も悪くなかった」


ギルベルト師匠が褒めてくれたので、俺は


「ありがとうございます……」

と返した。


ギルベルト師匠は頷き、そして続けた。


「攻撃も受け流しも悪くはなかったが、最後らへんになると、荒くなってきていたな。相手の動きを良く見て受け流すんだ。短剣を相手の武器に絡ませて巻き上げるっていうのもいいな。攻撃も足の腱だけじゃなく、手首等を狙うといいだろう。」


適切に、俺のダメなところを指摘してくれるので、俺は頷きながらよく聞いた。


「最後に一つだけ。最後に武器を落としたよな?いいか?実戦では誰も待ってはくれない。何がなんでも武器は手放すな」


「分かりました、次からの戦い方の参考にさせて頂きます」


俺がそう言うと、ギルベルト師匠は満足そうな顔で頷いた。


「おっと…もうこんな時間か……今日は風呂に入って直ぐに寝るといい」


「了解です」



そして師匠と別れた俺は、部屋に戻り、風呂に入って直ぐに眠ったのであった。


お楽しみ頂けましたか?これからも頑張っていくつもりなので、応援や感想等よろしくお願いします。

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