第八話
第八話です。お楽しみ下さい。
訓練場の中は熱気で溢れていて、外と比べると、体感温度が2〜4度ぐらい上がっているような気がした。
俺達が訓練場で剣を振っている人や、槍を構えている人等を見ていると、筋肉がはち切れんばかりに鍛えられている体をした男性が、話しかけてきた。
「うん?お前らが勇者達か?ふーん…ヒョロヒョロだなぁ〜こんなので戦えるのか?」
(出会って早々に失礼な男だな)
と思いながらジトリ見ていると、男が俺の目線に気づいたようで、頭を掻きながら
「いや、すまねぇな。悪気は無かったんだ許してくれ」と言ってきた。
こうも素直に謝られると何も言えないので、俺が「別にいいですよ」と言うと男は、「お前良い奴だな!!言われたことをあまり気にしている様子も無いし、そういう性格はいいと思うぞ!!」と言ってニカッと笑った。
その後も、男と話を続けていると、男は何と騎士団長だという。
そして改まったように名乗ってきた
「俺の名はギルベルト・スパーダ。この国で騎士団長をやっている。」
挨拶をされると、返してしまうのが日本人の性
「俺は影峰 夜、こっちではヨル・カゲミネかな?」
「僕は如月 光星、こっちではコウセイ・キサラギだね」
「私は綾瀬 陽菜、ヒナ・アヤセって何か変だね」
「俺は金剛 武、タケシでいいぜ!!」
「私はアズサ・シノノメよ」
そう返すと、ギルベルトは嬉しそうにはにかみ、そして「よろしくな!!」と言ってきた。
俺達も「よろしくお願いします」と返した。
そんな話をしていたら、どうやらクラスメイトが集まっていたみたいだ。
俺はギルベルトから一回離れてクラスメイト達の方に近づいて行った。
少ししてギルベルトが簡単な自己紹介をした後、素振りをしろと言った。
俺はアイテムボックスに収納していた鋼の短剣を取り出して、素振りをした。
一時間位時間が経つと、周りの奴らが、疲れたと言って部屋に戻って行った。
(俺よりもステータス高いくせに……)
そう思った俺は、負けてたまるかという気持ちで素振りを続けた。
暫く振り続けていると、段々と振り方が分かってきたので、脇を閉めて肘を使い、体全体の力を短剣に乗せるようにして短剣を振ると、「スキル短剣術がLv5になりました。」と言う声が聞こえた。
(どうして二も上がったんだろう)
と思っていると、ギルベルト騎士団長が話しかけてきた。
「お前三時間位ずっと短剣振ってたけど、大丈夫か?」
俺はその言葉に驚きつつも納得した。
(三時間も振り続けていたからレベルが5に上がったのか)
その後も、ギルベルト騎士団長に教えて貰いながら、短剣を降っていたがレベルは上がらなかった。
しかし、レベルは上がらなかったが、短剣の扱いはとても上手くなった。
「明日から短剣二刀流を練習してみようかな」
と冗談めかして俺が言うと
「そりゃあ良い!!専門外だけど俺が頑張って教えてやるよ!!」
とギルベルト騎士団長が豪快に笑いながらそう言った。
その後俺は部屋に戻り、部屋に付いている風呂に入った。
「あ〜!極楽極楽〜。それにしても今日は結構短剣振ってたな。明日筋肉痛にならないといいけど……」
風呂から上がるとサリアが待っていたので、サリアと一緒に食堂に行った。
今日の晩飯は分厚いステーキとパン、それにデザートでシャーベット状の果物が出てきた。
ステーキは分厚いのに柔らかく、箸で持とうとすると割れてしまうぐらい柔らかかった。口の中に入れた瞬間に暴力的な野性味溢れる美味さが、口内を蹂躙し、濃厚な肉汁が口の中を満たした。
「うんめぇ!!」
お次はパンに挟んでステーキを食べてみる。パンにステーキのタレと肉汁が絡み、ふわふわのパンと柔らかいが、噛みごたえがあるステーキの組み合わせは、控えめに言って最高だった。
また果物のシャーベットもとても美味しかった。
果物の草原を抜ける風の様な爽やかな香りが、鼻孔を擽り、下の上でじわじわと溶けていくシャーベットは果物の甘みを閉じ込めたような甘さだった。
その後部屋に戻った俺は、腕立て伏せや腹筋、背筋を100回したり、柔軟をしたりした。
(ギルベルト騎士団長も体が柔らかいと怪我もしにくいし、短剣による攻撃範囲が広がるって言ってたしな)
一人筋トレに燃えた俺はその後も暫く筋トレを続けた。
筋トレを終え、睡魔に襲われた俺はステータスを確認してから寝ようと思いステータスを確認すると、鑑定のLvが3になっていて、短剣術がLv5とスキルのレベルが結構上がっていた。
スキルのレベルが上がっていたことに喜びを感じつつも、この程度で満足しては駄目だと自分に言い聞かせてから俺は眠りについた。
お楽しみ頂けましたか?これからも頑張っていくつもりなので、応援や感想等よろしくお願いします。