第四十七話
あの後男を、ギルドの職員に任せて戻ってきたが、あのフードを被った女はいなくなっていた。
「どこに行ったんだ?」
多分、巻き込まれる前に離れたのだろう。
彼女には、悪い事をしたと思いながら、俺は受付の方へ歩いていった。
「すいません登録いいですか?」
俺は受付の女の人に言った。
「は、はぃ……」
受付の女の人は怯えたような顔でこちらを見ていた。
女の人は、獣人のようでしっぽと耳が、不安そうに揺れている。
「そんなに怯えないでください…さっきのはちょっとやりすぎましたけど……」
流石にこうも怯えられると、傷付く。
『夜様……』
エンティアが声だけで母性を発揮するが、俺は無視して受付嬢に微笑んだ。
「大丈夫ですよ? ほら」
ね?と言って手を振るが、受付嬢は怪しむような顔をしている。
(どうしよう……)
『そうですね……』
このままでは、登録ができないと、焦りを感じ始めた時、俺の前に救世主が現れた。
「おう大丈夫か? 兄ちゃん」
そう、おじさんだ。
「それが――」
「なるほどな……よし任せろ!」
そう言うと、おじさんは受付嬢の方へと向かい何かを話しだした。
(何話してるんだろう…)
俺の悪口かもしれないと、不安を感じていると、エンティアが言った。
『大丈夫ですよ夜様、彼はそんな人じゃないはずです』
(だよな……)
おじさんの知らないところで、おじさんの株は結構上がっているのだった。
数分後
「遅くなって悪いな〜兄ちゃん、ほらルル謝れ」
おじさんがそう言うと、さっきの受付嬢がおじさんの体から顔をひょっこりと出して言ってきた。
「その…さっきはごめんなさい!! あの筋肉すごい人を、一瞬で倒してたから、怖い人かと思って……」
ルルと呼ばれた受付嬢は、耳をしゅんと垂れさせていた。
「俺も謝るから、許してやってくれねぇか?」
俺が黙っていると、おじさんが頭を下げて頼んできた。
「頭を上げてください!別に大丈夫ですから、俺もやりすぎたと思ってるし……」
そう言うと、おじさんとルルさんはほっとしたような顔で胸をなでおろした。
(そんなに怯えられてたのか?)
『ノーコメントで』
エンティアに聞くと、その一言だけが帰ってきて、深く俺の心を抉るのだった。
「それで登録はできるのかな?」
俺はルルさんに向かって聞いた。
「はい、可能です」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました!」
ルルさんはそう言うと、何やら紙を持ってきた。
「ルルさんこれは?」
「ルルで結構ですよ、これは登録用の紙です」
「登録用の紙?」
「はい、これに職業は必ず、スキルや魔法属性は任意で書いていただきます」
ルルさんによると、この紙に記入しないと、登録できないらしい。
「分かりました」
俺はルルから紙を受け取って記入する。
「はい、書けました」
「了解です!それでは確認しますね」
ルルは、俺から紙を受け取り、読んでいく。
「職業…隠密!? あの強さで? スキルは、鑑定にアイテムボックス!? 魔法属性は、水と風の2つ!?」
いきなりルルが叫んだかと思えば、ルルは俺の目を見て言った。
「これって本当ですか?」
「本当だけど…」
(スキルとかは、下位スキルを書いといたけど)
俺は間違いないと頷く。
「そんな……隠密であんなに強いなんて…それにスキルもレアスキルばっかりだし、魔法も2属性」
ルルが頭を抱えて座り込む。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです!!」
心配して声をかけたが、怒られてしまった。
しばらくすると、ルルも落ち着きを取り戻したみたいで、すいませんとまた謝ってきた。
「それで登録はできたの?」
「はい、夜さんは、Cランクのボブさんを倒したので、特例で一つ下のDランクからのスタートです」
ルルが凄いことなんですよ〜と続けて言った。
「えっ、いいの?」
俺がそう聞くと、今更ですみたいな顔をされて流された。
「ギルド内では、戦闘は基本的に禁止で、Cランクからはギルドの強制依頼を断れませんが、宜しいですか?」
ルルが最後の確認として聞いてきた。
「あぁ構わない」
俺は頷いた。
「それではこれで登録完了です、ようこそ冒険者ギルドへ!!」
ルルが笑顔で言ってくれた。
こうして俺は、冒険者ギルドに無事登録することが出来たのだった。




