第四話
第四話です。メイドさんの名前を考えるのに、苦戦しました。お楽しみ下さい。
王は部屋の真ん中に青い水晶を置いて言った。
「勇者達よ、それでは『ステータス』を見せてもらえるな?」
その言葉はまるで、断ればどうなるかわかっているな?そんな意味が込められているような気がした。
「うわっすげぇ〜」「これってどうなってるんだろう」「お前風魔法使いなのか?」
クラスメイト達が次々とステータスを表示していった。自分とは違う強いステータスを……
そして光星、武、陽菜、梓がステータスを見せると、
光星は伝説の勇者として、武は珍しい魔拳士として、陽菜は聖女として、そして梓も珍しい侍として……
「次は君だな」
兵士がこちらに近づいてきてそう言った。
(ヤバいッどうすれば…)
そんな考えも虚しく兵士に急かされ、俺のステータスは部屋の真ん中で大きく映し出された。
「これはっ『隠密』じゃないか…これは珍しい」
と王が言った。
珍しい?もしかして……そんな事を一瞬考えたが、そんな考えは王の一言で儚く散った。
「最弱と呼ばれる職業の内の一つでは無いかっ!!こんな無能が召喚されるとは……」
「あの、王様?俺のステータスってそんなに低いんですか?」
俺はそう尋ねた。
「低いのか?だと?ふざけるな!!莫大な資金を使い召喚をしたのにこんな無能が来るとは思わなかった!!あぁどうすれば……」
王が頭を抱えこちらを睨みながらそう言った。
(勝手に召喚しておいて……)
王の言葉に怒りを覚えたが、俺は言い返す事すら出来なかった。
しばらくすると王がニヤリと笑い、言い放った。
「むー…こうなれば、おい貴様!!貴様はここから出ていけ!!」
「なっ…それはおかしいだろ!!」
俺が耐えきれずにそう言うと王は
「えぇい黙れ!!この無能が!!我に逆らう気かァァァ!!」
と叫んだ。
言い放たれた言葉に、戸惑うと同時にフツフツと怒りが込み上げてきた。激しく燃える怒りではなく、心の底で静かに揺らめく様な怒りだった。
そんな時、光星達が声を上げ王に頭を下げこう言った。
「お待ち下さい王よ!!いくら最弱職業とはいえ彼は大切な友達です。どうか考え直して下さい。」「そうだ!!夜は大切な友達だ!!頼むよ」「お願いします」「私からもお願いします」
「お前ら……」
光星達はこちらを見てふっと笑った。
(俺の為に……本当にいい奴らだ)
俺を見捨てること無く、助けようとしてくれる光星達に俺は柄にもなく泣きそうになった。
すると、光星達に頼まれ、また他のクラスメイト達にも頼まれた王は、立場が悪くなると思ったのか「うぅむ……致し方あるまい…おい貴様!!勇者達に免じて貴様もこの王城にいることを許可してやろう」と言った。
「ありがとうございます。皆……ありがとう」
俺がそう言うと、王は忌々しそうにこちらを見て、助けてくれたクラスメイト達は誇らしげに笑った。
(取り敢えずは助かったけど、これからの事を考えないとな……)
そんな事を考えながら、俺は強くなりたいと静かに願った。
あの後直ぐに王が「疲れているだろう今日は部屋で休むといい」と言って女子にはイケメン執事を男子には美女や美少女のメイドを一人付けて俺達を部屋に行かせた。
(多分このメイドや執事達は俺達の行動を監視するためのものだろう……)
そんな事を考え、メイドの事を見ていると、メイドが話しかけてきた。
「今回勇者様のメイドをする事になりましたサリア・アンベルですよろしくお願いします勇者様」
どうやらメイドの名前はサリアと言うそうだ。
「サリア…さん?俺の事は夜でいいですよ」
と言うと
「そうはいきません。私も仕事ですので。あと私には敬称や敬語は不要です。」
と返された。
「分かったサリア。でも、勇者様っていうのはちょっと……」
俺が嫌そうにそう言うとサリアは
「しかし……いえ、わかりました。では夜様と呼ばさせて頂きます。」
と言った。
様もいらないと思ったが、サリアがこれ以上は譲らないという目をしていたので、それで妥協することにした。
サリアと王城の長い廊下を歩いていると、サリアが「夜様、お部屋にお着き致しました。」
と言ってきた。
俺が「ありがとう」と言うと、サリアは頭を少し下げて会釈した。
「それでは、私はこれで失礼させて頂きます。何かご用事があればお呼び下さい。」
「あぁ分かった。ありがとう」
俺がそう言うとサリアは直ぐに行ってしまった。
(クールって言うか、冷めた人だな)
そんな事を考えながら、俺は部屋に入った。
お楽しみ頂けましたか?これからも頑張っていくつもりなので、応援や感想等よろしくお願いします。




