第三十六話
「それで?神やらダンジョンやらは、わかったがこのダンジョンのボスは何なんだ?」
俺がデュークにそう尋ねると、デュークは忘れていたと言いながら、ボスについて話し始めた。
「このダンジョンのボスは『アサシン・リッチ』だよ…生前の俺の骨がリッチになってるんだ……」
俺はその言葉を聞いて驚愕した。
「アサシン、アサシン・リッチ!?聞いたことない!!」
何故なら、異世界物の小説でも、そんな魔物は出てこないので、不謹慎だが、ワクワクしたのだ。
「いや、そこ!?ほら『生前』って?とか期待してたのに、こう……何かないの?」
デュークが少し悲しそうに言う。
そんなデュークに俺は伝える。
「いや、特に……」
「何でだよ!!」
デュークの叫びが、ダンジョン内に響く。
「こらデューク!静かにしろ」
「ごめんね!?でも違うよね?!」
デュークがキレ気味に謝ってくる。
(なんかデューク…キャラ崩壊してるな……)
俺がそうなことを、考えているとデュークがこちらを向いて怒る。
「誰がキャラ崩壊だ!!」
「何で心の声が聞こえてんだよ!?」
「まぁそこは、伝説の暗殺者だからね」
伝説の暗殺者は何でもできるみたいだ。
「はぁ……まぁいい話を戻そう」
「あっうん」
「アサシン・リッチってのが、デュークがリッチになった奴なら、俺はアサシン・リッチに勝てないんじゃないか?」
俺は不安に駆られながら言う。
「いや、それはないよ」
俺の言葉を聞き、デュークはそう言いきった。
「何故そんなことが言いきれるんだ?」
俺のこの言葉は、至極当然の考えだろう。
デュークは続ける。
「暗殺者と隠密って戦闘ではどっちが強いと思う?あっ単純な強さでだよ!」
デュークがいきなりそんな問いかけをしてくる。
「それは暗殺者だろ?」
少し考えた結果俺はデュークの問いかけにそう答えた。
「正解だ!!」
デュークは高らかに言った。
「暗殺者とはその名の通り『暗殺』を最も得意とする職業だからね隠密とは比べ物にならない程に戦闘が強い」
「?そうだな」
「逆に隠密はその名の通り『隠密』を最も得意とする職業だ」
「それがどうかしたのか?」
俺はデュークの考えが読めず、そう聞く。
するとデュークは笑って答えた。
「つまり暗殺者は暗殺、隠密は隠密が得意で互いに、暗殺者は隠密ほど隠密技術が高くないし、隠密は暗殺者ほどには戦えないってことさ」
「でも、それって結局は暗殺者の方が強いってことじゃないか?」
俺はデュークにそう言った。
「いや、それは違う」
「どう違うんだ?」
「確かに隠密は戦闘がてんでダメだ……けど、隠密技術に関しては、暗殺者をも超える技術を持っている」
「それはさっきも聞いたけど……」
俺はそう言いかけたが、デュークの真剣な顔を見て途中で発言を止めた。
「なら暗殺者を超える隠密技術を持っている隠密が暗殺者と同等か、それ以上の戦闘能力を手に入れたらどうなる?」
「っ…!!それってまさか!?」
「あぁ!!理論上は隠密は暗殺者よりも強いということになる」
ゴクリッ!!
俺は思わず唾液を飲み込んだ。
仕方もない。
伝説の暗殺者が今、暗殺者よりも優れていると言ったのだ。
あの最弱職業と呼ばれた『隠密』こそが最強だと、最強だと言われている暗殺者を超えると……
「マジかよ……!」
胸が高鳴る。
血が騒ぐ。
(あぁ、こんなに楽しい気持ちになったのは、何時ぶりだろうか)
気づけば俺は、笑みを浮かべていた。
「あの……話戻していいですか?」
デュークが気まずそうに言ってきた。
「おっおう///」
恥ずかしい…顔に熱が集まっているのがよくわかる。
「ゴホンッ!!それじゃあ話を戻すが、最後のボスはこの俺の骨が魔物となったリッチ…戦闘は職業が暗殺者だったから、強いはずだ!!さらに気配察知も結構得意なはずだ」
「気配察知が得意って、俺の苦手なタイプだ……」
俺が方を落としていると、デュークがさらに追い打ちをかける。
「さらにダンジョンのボスになったんだから、多分暗殺者から暗殺神に職業が上がっていると思う」
「そんな奴に勝てるのかよ……」
「勝てるさ!君の職業は隠密神だろ?」
何故知っているのかは置いておいて、デュークが言う。
「そうだけど……!!さっきの話か!!」
「あぁ、暗殺神は戦闘能力が神レベルで高いけど、君は隠密神でも神にも察知されないほどの隠密技術と、戦闘でも負けることの無いチートスキルがあるだろう?なら勝てる!!」
デュークの目が問いかけてくる。
『お前は勝てるか?』
「いいぜ、殺ってやる!」
「なら!」
「あぁ!!俺がアサシン・リッチを殺してこのダンジョンをぶち壊す!!」
俺はそう言って誓いを立てるのだった。




