第三十三話
「ついに辿り着いたか……」
俺の目の前には、黒い金属らしきものでできたものに、金で装飾された、つまり扉がある。
扉は重厚な作りで、見ているものを引き込むような、それでいて威圧するような雰囲気を醸し出している。
「っ…!!」
俺はその威圧感に耐えきれず、思わず一歩下がってしまう。
「いや、恐れるな……今までのボスもちゃんと倒せただろ?」
俺は自分を奮い立たせて、扉に手を着いた。
扉に魔力を少しばかり注ぐと、扉がほんのりと青く光った。
ゴゴゴッ!!
そんな音と共に、巨大な扉は開いた。
扉の先は闇に覆われていてよく見えない。
「こ、ここから出るんだ!」
俺は踏み出す。
恐れを勇気に変え、余裕が油断とならないようにしながら。
バタンッ
扉の中に入ると、扉は勝手に閉まった。
「ここからはもう逃げられない」
俺は覚悟を決めて隠密神を発動させる。
「敵は…っ!?」
敵の気配を探ろうとして、俺は驚いた。
「敵の気配が……しない?」
そう、この部屋のどこからも敵の気配を感じ取ることが出来ないのだ。
「いや、そんなはずは…もう一度隠密神を使えばっ……!!」
俺はもう一度隠密神を発動させた。
「いない………!!いたっ微かにだが、気配を感じる」
俺は気配を感じた方向に鴉の黒羽を放った。
漆黒の刃が、気配の持ち主の身体を貫きに行く。
「オレの気配を探るとは中々やるじゃねぇか」
気配の主が言う。
「だが、使いこなせてねぇからダメだ!!」
その言葉は衝撃だった。
「使いこなせていないだと?どういうことだ!?」
「さあな……」
気配の主はそう言いながら、易々と鴉の黒羽を全て避けた。
「これは当たったらやばそうだな〜」
『当たったらやばい』
その言葉を聞いた俺は、鴉の黒羽を大量に撃つ。
「いけっ!!」
俺は勝利を確信した。
黒い羽が辺りを舞い、煌びやかに散っていく。
砂埃で敵の姿が確認しにくいため、俺は神眼をパッシブに切り替える。
「殺ったか?」
俺がそう言った瞬間に背後から声が聞こえた。
「殺ってないよ……」
俺は反射的に前に跳ぶ。
「おっいい反応だ!」
俺の反応に男は嬉しそうに手を叩く。
「何で生きてる?」
俺がそう問いかけると、男はニヤリとして答えた。
「殺ったか?って言った時は、やってないのがお決まりだろ?」
男の姿が消える。
「後ろかっ!!」
微かな気配を捉えて後ろを向く。
「アニメでもゲームでも、お約束ってものがあるんだろう?」
「っ!?何故アニメやゲームのことを知っている?」
男の発言に俺はそう返す。
「質問をしているのはこちらなのだが…まぁいいだろう……」
男は腕を大きく広げて高らかに名乗った。
「俺はかつて勇者暗殺の依頼を受けたことがあるからな……」
「お前はいったい……」
「暗殺ギルドで働いていた『デューク・ステールス』だ!!伝説の暗殺者と言った方が良いかな?」
「デュークってこのダンジョンのっ!?」
「いかにも!!」
「伝説の暗殺者!?」
「いかにも」
あぁもう嫌になる。
どうやら100層、デュークダンジョン最後のボスはデュークのようだ。
「勝てるわけがねぇだろ!!」
俺がそう言うと、デュークは衝撃発言をした。
「俺と戦うわけじゃないぞ?」
「じゃあ何で居るんだよ!?攻撃してきたよな?」
「それは…楽しそうだからつい……」
「子供かっ!!」
「すまん……」
全くこの男は……伝説の暗殺者のイメージが崩れる。
「じゃあ何で居るんだよ?」
「俺がここにいる理由は、これから話す話を聞けばわかる」
「話?」
俺はそう聞くとデュークは頷いた。
「あぁ…伝説の暗殺者と言われた男の人生さ」
その言葉に俺は思わず言ってしまった。
「いや、興味無いけど……」
「いや、そのね?聞いてくれないとね…先に進めないと言いますか……まぁとりあえず聞け!!」
そう言ってデュークは強制的に話し始めた。




