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異世界転移〜最弱職業「隠密」はチートだった  作者: ツキ
異世界と最弱職業
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第十一話

第十一話です。途中で何を書いてるのか分からなくなりました(笑)お楽しみ下さい。

その日、俺と陽菜は公園で友達と遊んでいた。


鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたりととても楽しい時間だった。


()()、悲劇はその後に起きた。



公園には、遊び始めた時からベンチに座っていた。四十歳ぐらいのおじさんがいた。


俺は最初、(あの人ずっとベンチに座ってるな〜)位にしか思わず、特に気にも止めていなかった。



おかしいと思い始めたのは、遊び始めて二時間が経過してからだった。


その男は俺達、正確には陽菜をずっと見ていた。


当初から優れた容姿を持っていた陽菜は、いつも誰かの視線を集めていた。


なので最初は(いつもの事だ)と自分に言い聞かせていたが、二時間も見続けているとなると、話は別だ。


俺が陽菜に、「あのおじさんは危ない人かもしれない。気をつけろ」と言ったが、陽菜は「気にしすぎだよ〜夜君〜」と笑った。


陽菜の言葉に、気にしすぎかと思ったが、頭の中には、その男の事がずっと離れないでいた。


やがて日が暮れ始めた頃、陽菜が「帰る前にトイレに行ってくる」と言い一人トイレの方に歩いていった。


俺は「分かった。ここで待ってるよ」と言った。


陽菜がトイレに行ってから、五分が経過した。


ここからトイレまではそう離れておらず、走れば二十秒〜三十秒でトイレに着けるはずだ。それに陽菜はいつも五分もすれば帰ってくる。


『何も心配する事は無い』

頭ではそう思っていても、体が自然と動いていた。


(大丈夫…今日はたまたま遅いだけだろ?何も無いはず、何も無ければそれでいい)


俺はトイレに向かって走りながら、ベンチを見た。


「居ない……」


陽菜がトイレに行った時はベンチに座っていた男は、いつの間にか居なくなっていた。


(まずいまずいまずいまずい)


「陽菜っ!!」


俺は考えることも止めて、トイレへと全速力で走った。多分かかった時間は十五秒も経っていないだろう。


トイレの前に着いた俺は陽菜の名前を呼んだ。


「陽菜っどこだ!!返事しろ!!陽菜ぁー!!」


その時だった。


女子トイレの方から、微かに声が聞こえたのだ。


「夜……君っ…た……けて」


「陽菜?そこに居るのか?」


俺はトイレに向かってそう叫んだ。


すると、今度はハッキリと聞こえた。


「夜君!!助けて!!」


「うるせぇぞガキが!!」

バキッ


「ウッ……助けて…夜君!!」


俺は迷わず女子トイレへと駆け込んだ。


そこに居たのは……ベンチに座っていた男だった。


「陽菜から離れろォ!!」


俺は近くにあった箒で男の頭を力一杯に殴った。


「グッ…ガキガァ!!」


「今のうちだ!!こっちに来い陽菜!!」


「うんっ!!」


俺は陽菜を背にして男を見た。


陽菜は俺の背に抱きつきながら泣いていた。


「うっ…グスッ……ッグスッ…ウワァーン!!怖かったよぉ!!」


陽菜はその大きな目から、ポロポロと涙を零した。


「大丈夫だ陽菜…俺が守ってやるから」


「うんっ……」


陽菜を抱きしめていると、背後から男の声がした。


「お前ェェエエ工!!生きて帰れると思うなよぉぉぉぉぉぉ!!」


「嘘だろ!!もう動けるのかよ!!結構な力で殴ったはずなのに……」


「夜…君?」


陽菜が何かを言おうとしたが、俺はそれを静止し、そして力一杯叫んだ。


「陽菜!!逃げろ!!逃げて誰か大人を呼ぶんだ!!」


「でっでも…」


「でもじゃねぇ!!早く行けェェエエ工!!」


俺がそう叫ぶと陽菜は泣きながら頷き、走り出して行った。


「チッ…カキが行かせるわけねぇだろがぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁ!!」


男は獣の様な声で叫んだ。


いや、獣の様なでは無い。コイツは獣だ。理性を失い、陽菜に手を出し、今は……俺を殺そうとしている。


コイツは獣だ!!


次の瞬間俺は近くにあったバケツを男に向かって蹴飛ばし、その隙に蛇口のホースを男に向けて、一気に水をぶっ掛けた。


バシャアァァ

「コイツ……やりやがったな!!」


奮闘虚しく…俺は男に一瞬で地面に叩きつけられた。


「こうなったら……殺してやる!!」


男はポケットから黒い物体取り出すと、パチンッという音を立てて銀の刃を伸ばした。


男が取り出したのはナイフだ。


男は迷いなく俺にナイフを振り下ろした。


(これ、死んだな……)

俺は思った。


(でも、まだ死にたくない……抗いたい……最後の一秒まで!!)


「ウォー!!」


俺は何とか男の拘束を抜け、体をよじった。


ザシュッ

「ぐわぁあぁぁあああぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁ」


どうやら避けきれなかったようだ。


でも、構わない。俺はまだ死んでいない!!


切れた額から血が垂れてきて、俺の視界の半分を赤く染める。


出血のしすぎなのか、頭を打ったせいなのか、目眩がしてきた……


「もう…駄目か」


男がナイフを振り下ろそうとしたその瞬間だった。


バァァーン


甲高い音と共に発砲された弾は、男の手を撃ち抜き、男は痛みのあまりナイフを落とした。


「警察だ!!大人しくしろ!!」


男が警察に手錠をかけられて連れていかれた。


一人の警官が話しかけてきた。


「君っ大丈夫か!?全く…何て危ないことを……」


掠れゆく意識の中で俺は謝った。


「すいません……」


「いや…君は良くやった。君があの子を守ったんだ」


(あの子?)


警官が指さした方を見ると、泣きじゃくっている陽菜が居た。


「ごめんなさい……夜君がっ…気をつけろって……危ないって言ったのに、私…私」


「だから……危ないって…言ったんだ……全く…」


「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさっ」


「もう……謝るなよ…お前が無事なら、それで良い」


「夜君っ!!」


「ごめんて何か眠くなってきた……少しだけ…寝る」


夜君っ夜君っ!!

おいっ起きろ少年!!目を覚ませ!!

死ぬな!!


微睡みに落ちる意識の中で、そんな声が聞こえてくる。


「俺はまだ死ねない……生きなきゃ…()()()()()()()一人には出来ないからな……」


そこで俺の意識は途切れた。


お楽しみ頂けましたか?これからも頑張っていくつもりなので、応援や感想等よろしくお願いします。

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