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漆 検索。

 色々、雑談してその後各々の作業に戻った。

 私はやはり宿題をやりながら唐津部先輩のことを考えていた。

 わかっているのは妹を亡くした(殺した?)ことだけ。それも噂話だからどうしようもない。そして、星山先輩の抑制。

 絶対に唐津部先輩には何かあるということが証明されてはいる。

 とはいえやはり、宇宙より大きなものが存在することがわかってもそれが結局なんなのかはわからない(そもそも宇宙より大きなものとして確実なのは直径1なんとかの円ということだけだが。後は空想というか理論的なものだ。)ことと同じように結局、唐津部先輩の過去そのものはわからないわけだ。

 どうにかしてこの噂話のウラをとらないといけない。とはいえ、こんな(こんなというのは失礼だが)噂話が流れていたことは事実で、火の無いところに煙は立たぬ、噂話の内容も事実だろう。

 そうなれば後は簡単かもしれない。事故だとするならば新聞にちょっとだけでも載っているはずだ。

 ニュースもいいが・・・。いや、ニュースにしよう。市立図書館は国営地方放送のニュースのテープがあって、それを再生する機器もある。それを見れば真実がわかるかもしれない。

 明日は休み。

 図書館に行く時間はある。

 これで、漸く唐津部先輩の過去がわかりそうだ。


 *


 翌日。

 私は忘れることなく市立図書館に来た。

 市立図書館でビデオを見るにはまず、ビデオを借り、次にコンピュータールームに向かう。そのコンピュータールームでビデオを再生する。

 だが、私は重大なことに気がつく。

「唐津部先輩はいつ妹を亡くしたんだ?」

 さっぱりわからないが、コンピュータールームに行くんだからそこで調べよう。

 受付に行き、コンピュータールームを一つ借りる。(コンピュータールームは仕切りで分かれている。)

 時間は一時間。それを越えるなら再度受付に行き、延長届を出さなければならない。

 うーん、予め出して置いてもいいのだが・・・。

 出しておこう。

「あの、多分長くなるので延長届出していいですか?」

「わかりました。では、こちらに名前と電話番号、住所をお書きください。」

 受付に言われた通りに書き込む。

 延長時間は二時間なので、最高三時間そこに居れる。

「では、コンピューターの番号は13番ですので、お間違いの無いように。」

 よし、まずはここ十年の交通事故の資料を調べよう。

 まず、検索する。

 が、とんでもない問題が発生した。

「さすがに実名は無いか。」

 思わず独り言が出てしまった。

 そう、大手新聞社のネット用記事を見てみたのだが、実名での報道ではなかった。そして、有料記事であるため、ここで見ることは出来ない。(無料記事を見てみたところ、実名ではなかった。)

 困った。

 こうなると過去のニュースを全て見るハメになる。

 ここで得意な数学でも使えるといいのだが・・・。


 うーん。

 こんな噂が流れたってことはまあ、何かしらの手段で知った者がいるのは確かで、それが一体どういう形かというのがわかればいいのだが。

 例えば朝会。

 校長先生の話により知った可能性。

 十分にあり得る。

 となると、同じ学校に居た人がその場で一斉に知ることができる。

 ただ、小学校なのか中学校なのかがわからない。私としては中学校がよくて、三年間の記事を漁ればどうにかなる。

 六年は流石にキツい。

 ん?

 益田さんの話では確か、

「妹を亡くしたん()()()。」

 人から聞いたような口調だ。

 まあ、その人というのが校長先生だとしたらまた話は変わって来るのだが、仮に何かしらの方法···例えば陰口とか。

 そうだとすれば「人殺し」の謎も解ける。

 うーん。

 しかし、ここでは何も解決できないな。どうやら見切り発車をしてしまったらしい。

 また益田さんの出身小学校と唐津部先輩の出身小学校を聞かなきゃ。

 ええ。

 延長するって言ったのに、結局30分くらいしかここに居なかったよ。まあ、規則に反している訳ではないからいいか。

 何か変な後ろめたさを感じながら受付で手続きをして、図書館を出た。

 あれ、副会長だ。

「あ、木内さん。どうやら唐津部さんのことを調べるつもりだったのかな?」

「え、あ、はい。結局、どうにもならなかったですけど。」

「そっか、あんまり遅いと、私も卒業してしまうからね、じゃ、木内さんがとっても欲しそうなヒントをあげる。」

「え、本当ですか?」

 しかし副会長は不敵に笑ってこう言った。

「でもタダじゃだめ。」

「え、カラダを売るとかは無しですよ。」

 冗談のつもりだったが、副会長は残念そうな顔をした。

「えー。木内さんにその気があるなら私、ある程度のことならシてあげられるけどなあ。」

 どんなことをされるのかは訊かないでおこう。(でも、ちょっと気になる。)

「今回は買い物に付き合って欲しいの。」

「買い物?」

「そ、まあ、ちょっと恥ずかしい買い物だからちょうど共犯が欲しかったんだよね。」

 その後連れて行かれたのはとあるレンタルビデオショップの黒い幕をくぐった先、というのは副会長が私に言った冗談で、本当はデパートの上の遊園地だった。

 理由を訊くとどうやら前から気になって居て行きたくてどうしようも無かったらしい。

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